海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
順調に進んでいたはずの計画が、あるきっかけで急にこじれて、思わぬ方向へ転がっていく——仕事でもプライベートでも、そんな瞬間に出くわしたこと、ありませんか。
その「うまくいっていたものが急におかしくなる」感覚を表す「go sideways」、つまり(計画などが)うまくいかなくなる・おかしな方向に転がるという意味の表現を、『CHUCK/チャック』シーズン4第10話の終盤、チャックが義兄デヴォンに事情を詫びるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「go sideways」の意味とニュアンス
go sideways
意味:(計画・状況が)うまくいかなくなる、おかしな方向に転がる、破綻する
go sideways は、順調に進んでいたものが、急に悪い方向へそれて混乱に陥ることを表す口語表現です。「計画がこじれる」「取引が崩れる」「状況が急変する」といった、予期せぬ悪化を語るときに使われます。
鍵になるのは sideways(横向きに)という語です。本来はまっすぐ(=順調)に進むべきものが、真横=予期せぬ方向へそれてしまう。そのイメージが、「うまくいかなくなる・制御を失う」という意味につながっています。まっすぐ進んでいた車が、突然横滑りする——そんな絵を思い浮かべると分かりやすい表現です。
似た意味の go wrong より口語的で、こなれた響きを持ちます。しばしば「コントロールを失う」「急に混乱する」というニュアンスを伴い、ビジネスの会議からカジュアルな日常会話まで、幅広い場面で使われます。
【ここがポイント!】
- 核は「まっすぐ(順調)に進むべきものが、真横にそれる」こと
- 「急に・予想外に崩れる」という混乱・制御喪失のニュアンス
- go wrong より口語的でこなれた響き
『CHUCK/チャック』S04E10のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
危険を伴う出来事を切り抜けた後、チャックは義兄デヴォンに事情を詫びます。妊娠中の妻エリーを守るため嘘をつかされたデヴォンは、珍しく強い怒りをあらわにします。
Devon: What the hell were you thinking? Not only are you spying again, but you bring it back to our apartment? I had to lie to Ellie, and I hate lying.
(一体何を考えてたんだ? またスパイをやってるだけじゃなく、それを俺たちの家に持ち込むなんて。エリーに嘘までつかされて、俺は嘘が大嫌いなんだぞ。)Chuck: I’m sorry, okay? I really am. I was trying to protect my mom. Things went sideways…
(悪かったよ、本当に。母さんを守ろうとしただけなんだ。それが妙な方向に転がって……)Devon: Stop, okay? Just stop. I don’t wanna know.
(やめてくれ、頼むから。もう聞きたくない。)
シーン解説と心理考察
チャックは「母を守ろうとしただけ」と釈明し、計画が意図せぬ方向へ崩れたことを things went sideways と表現します。もともと真横にそれる=正道から逸れるこの口語が、「善意で始めたことが制御を失って暴走した」という後ろめたさをにじませます。
ふだん温厚なデヴォンが見せる強い拒絶が、チャックの二重生活の代償を静かに突きつけます。「もう聞きたくない」という一言ににじむのは、家族を巻き込まれた者の疲れと怒りでしょう。言い訳を最後まで言わせてもらえないチャックの気まずさと、それでも家族を思う気持ちのすれ違いが、短いやり取りに表れています。
『CHUCK/チャック』流・覚え方のコツ
まっすぐ前に進んでいた車や船が、突然ハンドルを取られて真横にズルッとそれていく——そんな絵を思い浮かべてください。本来まっすぐ(=順調)に進むはずのものが「横向き(sideways)」に逸れる=物事がおかしくなる、というイメージです。
劇中では、チャックが母を守ろうとした計画が「went sideways(妙な方向に転がった)」と義兄に詫びていました。善意で始めたことが制御を失って横滑りする、あの気まずい場面ごと覚えておくと、「順調だったのに急に崩れる」という語感が、記憶に残ります。
例文で覚える「go sideways」
商談から日常のトラブルまで使えるこの表現を、3つの場面で見てみましょう。
The negotiation was going well until it suddenly went sideways.
(交渉は順調だったのに、突然おかしくなってしまった。)
順調だった商談が急に崩れる場面です。「順調から急変へ」という、この表現の最も典型的な流れを示しています。
Our vacation plans went sideways when the flight got canceled.
(フライトが欠航になって、旅行の計画が台無しになった。)
身近な予定が崩れる場面です。日常のちょっとしたトラブルにも、気軽に使えます。
If anything goes sideways, call me right away.
(もし何かおかしくなったら、すぐに電話して。)
未来の不測の事態に備える条件文の例です。「何かトラブルがあれば」というニュアンスで使えます。
あわせて覚えたい関連表現
go wrong
(うまくいかなくなる、失敗する)
go wrong は「失敗する」全般を指す中立的な語です。go sideways はより口語的で、「急に・予想外に崩れる」という混乱のニュアンスが強く出ます。
go south
(状況が悪化する、下り坂になる)
go south はほぼ同義のアメリカ口語で、「下降・悪化」の方向イメージを持ちます。go sideways は「横滑り・制御喪失」のイメージで、両者は近いものの、思い描く方向が異なります。
fall apart
(崩壊する、ばらばらになる)
fall apart は「完全に崩れ去る」という結果に焦点があります。go sideways は「おかしくなり始める・こじれる」という、急変やプロセスに焦点がある点で違います。
Note|方向で「悪化」を表す英語の発想
go sideways を理解するうえで面白いのは、英語がしばしば「方向」で物事の良し悪しを表す、という発想です。この表現は、その発想がよく表れた一例だと言えます。
英語には、状況の悪化を「本来の方向からのズレ」で描く言い回しがいくつもあります。go sideways(横にそれる)がまさにそうですし、go south(南=下へ向かう)も「悪化する」を意味する定番の口語です。どちらも、まっすぐ・上向き=順調、横・下=破綻、という空間の感覚が土台にあります。物事がうまくいっている状態を「まっすぐ前へ進む」ととらえ、そこから逸れることを「悪くなる」と表現しているわけです。
go sideways が「物事が崩れる」の意味で広く使われるようになったのは、比較的近年のことだとされています。ビジネスの現場やカジュアルな会話で、go wrong のこなれた代替として急速に定着してきました。「間違っている(wrong)」と直接言うより、「横にそれた(sideways)」と描くほうが、急な混乱や制御を失う感じを、生き生きと伝えられるからかもしれません。
まっすぐ進むはずのものが横にそれる——その一つの空間イメージをつかむと、go sideways が持つ「急に崩れる」という語感が、はっきりと手に取れるようになります。
まとめ|チャックの言い訳に学ぶ「うまくいかなくなる」の一言
go sideways は、順調に進んでいたものが急に悪い方向へそれて、混乱に陥ることを表す表現です。「まっすぐ(順調)に進むべきものが、真横にそれる」という発想から生まれ、go wrong より口語的な響きを持ちます。
この一言を知っておくと、商談や計画が急に崩れた場面や、予定が思わぬ形でこじれた場面を、こなれた英語で言い表せるようになります。
母を守ろうとした計画が「妙な方向に転がった」と詫びる、チャックのあの気まずい言い訳とセットで、この「うまくいかなくなる」の一言を、あなたの英語の引き出しに加えてみてください。
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