海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
なかなか手強い交渉や、行き詰まっていた問題が、少しずつでも前に進み始めた――そんな「ようやく進展してきた」手応えを感じたことはありませんか。
そんな場面にぴったりの「make headway」、つまり(困難な状況で)進展する・前進する、という意味の表現を、『CHUCK』シーズン4第14話の中盤、任務を途中でやめずに続けようとチャックが主張するシーンから、一緒に見ていきましょう。
「make headway」の意味とニュアンス
make headway
意味:(抵抗のある状況で)進展する、前進する、はかどる
make headway は、簡単には進まない物事が「着実に前へ進んでいる」ことを表す表現です。交渉、研究、問題解決、説得――何らかの抵抗や難しさを伴う場面で、少しずつでも前進しているときに使われます。
ポイントは、ただの「進む」ではなく「向かい風の中を前進する」ニュアンスがあることです。平坦な道をすいすい進むのではなく、抵抗をかき分けて距離を稼ぐ、という手応えが含まれています。そのため、順調そのものというより「難しい中でもなんとか前進できている」という文脈にしっくりきます。
make some headway(いくらか進展する)や make good headway(かなり進展する)のように、量を添えて使うのも定番です。似た意味の make progress よりも、「困難を押しての前進」という含みが強い表現だと覚えておくとよいでしょう。
【ここがポイント!】
- 核は「抵抗をかき分けて前へ進む」という向かい風の中の前進イメージ
- 交渉・研究・説得など、難しさを伴う場面で使うのが自然
- make progress より「困難を押して進む」含みが強いのがコツ
『CHUCK』S04E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
窮地に陥ったチームの中で、サラは早く事態を打開しようと動こうとします。しかしチャックは、仲間のローンが交渉相手をうまく懐柔しかけていると見て取り、ここは口を出さず任務を続けさせるべきだと、サラを押しとどめます。
Sarah: We have to get out of here.
(ここから抜け出さないと。)Chuck: I think Roan is making some good headway here, and we should let him finish. The mission — let’s finish the mission.
(ローンはいい線までいってると思うんだ。最後までやらせよう。任務だよ、任務を完遂しよう。)Chuck Season4 Episode14(Chuck Versus the Seduction Impossible)
シーン解説と心理考察
焦って動こうとするサラに対し、チャックが making some good headway という言葉で「今は待つべきだ」と論す場面です。ここで headway が効いているのは、ローンの説得がまだ完了していない、しかし確実に前進しているという「途中経過」を的確に表しているからです。
もし成功や完了を意味する言葉を使えば、まだ結果が出ていない状況とはかみ合いません。make headway が持つ「困難の中で少しずつ進んでいる」という含みが、この緊迫した膠着状態にぴたりと合っています。任務を最優先に考えるチャックの冷静な判断が、この一語ににじんでいると言えます。焦りと冷静さのせめぎ合いを、フレーズ選びが静かに支えている場面です。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
向かい風を受けながら海を進む帆船を思い浮かべてください。風は前から吹きつけ、簡単には進めません。それでも船首(head)は、波をかき分けて少しずつ前へ距離を稼いでいく――その「稼いだ前進の分」が headway です。すいすいではなく、抵抗の中を押して進むこの絵が、make headway の核です。
劇中では、行き詰まりかけた状況でチャックが「ローンは making some good headway だ」と、途中の前進を評していました。あの「膠着した場面で、それでも少しずつ進んでいる」という手応えごと覚えておくと、「困難の中で前進する」という意味が語感ごと記憶に残ります。
例文で覚える「make headway」
難しい局面での前進を表すこの表現を、3つの場面で見てみましょう。
We finally started making headway in the negotiations.
(交渉でようやく進展が見え始めた。)
難航していた交渉が動き出す場面です。抵抗を伴う状況での前進を表す、典型的な使い方です。
Despite the setbacks, the research team made good headway this year.
(いくつもの障害にもかかわらず、研究チームは今年かなりの進展を遂げた。)
困難を押しての前進を語るビジネスの場面です。make good headway で「かなり進展した」と量を添えられます。
A: How’s the project going? Still stuck?
B: Actually, we’re finally making some headway.
(A:プロジェクトはどう? まだ行き詰まってる?)
(B:実はね、ようやく少し進み始めたんだ。)
停滞からの脱却を報告する会話です。make some headway で「少しずつ前進している」という手応えがよく伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
make progress
(進歩する、進展する)
make progress は「前進する」全般を広く指す標準的な表現です。make headway が「抵抗をかき分けての前進」という含みを持つのに対し、こちらは順調な進み具合にも普通に使える点で、より中立的です。
gain ground
(勢力を伸ばす、有利に進める)
gain ground は「陣地を得る」という軍事的な像から、競争や議論で相手に対して優位を広げるニュアンスがあります。make headway の「難しい物事が進む」とは違い、対抗関係の中で差を詰める・広げる場面に向きます。
move forward
(前へ進む、話を進める)
move forward は「先へ進める」という前向きな動きを表します。make headway のような「向かい風の中で」という含みは薄く、計画や話し合いを次の段階へ進めるときに広く使われます。
Note|headway は船の「前進」だった ―― 航海用語から日常表現へ
make headway の headway は、なぜ「進展」を意味するのでしょうか。その答えは、この語がもともと船の世界の言葉だったことにあります。
headway は航海用語で、船が前方(head の方向)へ進むこと、あるいはその進んだ距離・速度を指しました。head は船首を表し、そこが向かう方へ船体が進んでいく――その前進の量が headway です。帆船の時代、船は必ずしも思うように進めませんでした。向かい風、潮の流れ、波の抵抗をかき分けて、ようやく前へ距離を稼ぐ。この「抵抗を押しての前進」という航海の実感が、そのまま言葉に刻まれています。ちなみに、船が止まっているときに使う under way(進行中で)も同じ航海由来で、海の言葉が日常表現へ流れ込んだ一例です。やがて headway は海を離れ、交渉や研究といった「簡単には進まない物事の前進」を表すようになりました。向かい風の中を進む船の像が、困難を押して進む比喩へと自然に広がったわけです。
この由来を知ると、make headway が「ただ進む」ではなく「抵抗をかき分けて進む」という手応えを含む理由が腑に落ちます。劇中でチャックがこの語を選んだのも、膠着した状況での「それでも前進している」感覚を言い当てるのにぴったりだったからでしょう。
海を進む船の一押しを思い浮かべると、この表現の奥行きが見えてきます。
まとめ|チャックの判断に学ぶ「進展」の伝え方
make headway は、簡単には進まない物事が着実に前へ進んでいることを表す表現です。船が向かい風をかき分けて前進する像が核にあり、交渉・研究・説得など、抵抗を伴う場面で活きます。make some headway、make good headway のように量を添えて使うのも定番です。
この一言を知っておくと、「難しい中でも少しずつ前に進んでいる」という手応えを、英語らしい比喩でそのまま伝えられるようになります。行き詰まりからの一歩を報告するときにも、困難な交渉の途中経過を語るときにも役立つ表現です。
焦るサラを押しとどめ、「ローンは前進している」と冷静に見極めたチャックの判断とセットで、この「進展する」の一言を、あなたの英語の引き出しに加えてみてください。
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※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


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