海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
台所で危ないものから子どもを遠ざけたり、嵐の前に大切なものを安全な場所へ移したり。誰かや何かを危険から守るために動いた経験は、誰にでもあるはずです。
そんなときにぴったりの「out of harm’s way」、つまり危険の及ばない安全な場所へという意味の表現を、『CHUCK』シーズン3第9話の中盤、ショウが巻き込まれそうな人々を退避させようとする場面から、一緒に見ていきましょう。
「out of harm’s way」の意味とニュアンス
out of harm’s way
意味:危険の及ばない所へ、安全な場所に
out of harm’s way は、人や物を危険から遠ざけて安全にすることを表す表現です。harm’s way は「危害(harm)が通っていく道筋・危険地帯」を指し、その外(out of)に置く、つまり危険の通り道から外すことで「安全にする」という意味になります。
keep、get、move、stay といった動詞と組み合わせて使われます。keep children out of harm’s way(子どもを危険のない所に置いておく)、move residents out of harm’s way(住民を安全な場所へ避難させる)のように、守りたい対象を間に挟む形が一般的です。
人だけでなく、貴重品やデータなど物を「被害の及ばない所へ」移すときにも使えます。保護・避難・予防の場面で広く登場する、落ち着いた響きの表現です。
【ここがポイント!】
- harm’s way(危害の通り道)の「外へ」=安全にする、がイメージの核
- keep / move / get / stay などの動詞と組み合わせて使う
- 人だけでなく、貴重品やデータを安全な場所へ移すときにも使える
『CHUCK』S03E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
リングが「寝返らせる標的」を狙っているとの情報を受け、チームはホテルで警戒にあたっています。ショウは、無関係に見えるチャックの義兄と姉を念のため危険圏から離そうと判断します。一方、基地に残ったチャックは焦りを募らせています。
Shaw: We’ll go down to the pool, get Devon and Ellie out of harm’s way.
(プールへ行って、デヴォンとエリーを危険のない場所へ移そう)Chuck: Come on, flash! Uh… no.
(頼む、フラッシュしてくれ! ……だめか)Chuck Season3 Episode9(Chuck Versus the Beard)
シーン解説と心理考察
ショウの指示は、冷静なプロの危機管理として響きます。無関係に見える人々まで先回りして安全圏へ移そうとする判断には、彼の経験と慎重さが表れています。
ところがこの場面には、別の緊張も流れています。観客は、この一連の動きそのものが仕掛けられた罠であり、本当の狙いが手薄になった基地だと薄々感づいているからです。「危険から守る」ための out of harm’s way という言葉が、皮肉にも「守ろうとして肝心の場所を空けてしまう」展開の伏線として機能しているのです。一方で基地に残されたチャックの焦りも対照的に描かれ、保護と危機が同時進行する不穏さがにじむ場面です。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
harm’s way を「危害が通り抜けていく一本道」と捉えるのがコツです。弾丸や嵐や危険が走っていく道筋があって、その道の上(in harm’s way)に立っていれば危ない、道から外れた脇(out of harm’s way)に移れば安全——という空間の絵で覚えます。
劇中では、ショウが大切な人たちを「危険の通り道」であるプールサイドから、安全な脇へ引っぱり出そうとします。危ない一本道から人を外へ連れ出す動きを思い描くと、out of(外へ)という方向まで自然に頭に入ってきます。
例文で覚える「out of harm’s way」
人にも物にも使えるこの表現を、場面の異なる3つの例文で見てみましょう。
Parents should keep small children out of harm’s way in the kitchen.
(親は台所では小さな子どもを危険のない所に置いておくべきだ)
育児・家庭の安全を語る場面です。keep … out of harm’s way の定番形で、危険源から遠ざける配慮を表します。
We backed up our files to keep them out of harm’s way.
(万一に備えて、ファイルを安全な場所にバックアップした)
データ管理の場面です。人だけでなく、ファイルのような物を「被害の及ばない所へ」置く使い方もできます。
A: Should we stay and watch the argument unfold?
B: No, let’s step back and stay out of harm’s way.
(A:このまま残って口論の行方を見てようか?)
(B:いや、一歩下がって巻き込まれないようにしよう)
友人同士のやり取りです。stay out of harm’s way で「自分が危険を避ける」という使い方を示しています。
あわせて覚えたい関連表現
in harm’s way
(危険にさらされて、危険地帯に)
同じ harm’s way を in と組み合わせると、正反対の「危険の中に」という意味になります。out of harm’s way とセットにすると、in と out の対比で両方まとめて覚えられます。
out of danger
(危険を脱して、峠を越して)
病人が「危機を脱した」結果の状態にも使われる表現です。危険源から物理的に遠ざける予防・保護に重きを置く out of harm’s way とは、focus が少し異なります。
safe and sound
(無事に、安全に)
「無事である」という状態そのものを描く言い回しです。「危険から遠ざける」という移動・配置の動きを含む out of harm’s way とは、表す内容が違います。
Note|harm’s way という古風な言い回し
out of harm’s way の harm’s way とは、文字どおりには「危害の道」です。なぜ危害に「道」があるのでしょうか。この少し風変わりな表現には、古い英語の発想が残っているとされます。
harm’s way は、harm(危害)を擬人化し、「危害が進んでいく道筋」と捉えた言い回しです。in harm’s way の形で、軍事や航海といった、実際に身の危険が伴う文脈で古くから使われてきたと言われています。やがてその対として、危険の道から外れる out of harm’s way が定着しました。英語には in / out の前置詞の対比で正反対の意味を作る表現が多く、ネイティブはこの空間的な対比を直感的に使い分けています。harm’s way の in と out も、まさにその発想の上に成り立っています。
由来をたどると、危険を「道」として捉える古風な感覚が、今も表現の奥に息づいていることが見えてきます。
危険にも、通り道があると考えられていたのですね。
まとめ|「安全な場所へ」を運ぶ一言
out of harm’s way は、人や物を危険から遠ざけて、安全な場所へ置くことを表す表現です。
子どもを危ないものから離す、住民を災害から避難させる、貴重なデータを守る——守りたい対象を間に挟むだけで、保護や避難のさまざまな場面に応用できます。in harm’s way と対にして覚えれば、「危険の中へ」と「危険の外へ」を一度に押さえられます。
危険の通り道から、大切なものをそっと外しておく。そんな静かな守りの感覚が宿る表現なのですね。
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