海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
何かを決める前に、「いったん上の人に確認しておきますね」と、その場での即答を避けた経験はありませんか。
そんなときにぴったりの「run something by someone」を、『CHUCK』シーズン2第15話の序盤、親友のモーガンから「家に泊めてほしい」と頼まれたチャックが、すぐに返事をせず姉夫婦に確認しようとするシーンから、一緒に見ていきましょう。
「run something by someone」の意味とニュアンス
run something by someone
意味:(人)に〜を相談する、〜について意見や了承をもらう
「run something by someone」は、案や情報を相手に一度「通して」、感想や許可をもらうことを表します。最終決定の前に、関係者にワンクッション置いて確認しておく、という場面で使われます。
ポイントは、重々しい「相談する(consult)」よりもずっと口語的で軽いことです。会議で企画を上司に通す前の根回しから、友人に「ちょっと聞いてもいい?」と切り出すカジュアルな場面まで、幅広く登場します。by の後ろには相談する相手が入り、「run + 相談したいこと + by + 相手」という語順になります。
書類を相手のそばを通り過ぎさせて、ちらっと反応をうかがう——そんな動作のイメージを持っておくと、意味がすっと入ってきます。
【ここがポイント!】
- 「run by」の核は、案を相手のそばに一度「通して」反応をもらうイメージ
- consult より軽く、日常でもビジネスでも使える便利な一言
- by の後ろに相談相手を置く語順を押さえておくのがコツ
『CHUCK』S02E15のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
母親とビッグ・マイクの交際に耐えられなくなったモーガンが、しばらくチャックの家に泊めてほしいと頼み込みます。即答できないチャックの返しに、このフレーズが登場します。
Morgan: I was just wondering if I could just crash with you for a little till this whole thing blows over.
(この騒ぎが収まるまで、ちょっとの間きみの家に泊めてもらえないかなって思ってさ)Chuck: Uh… uh, yeah. You know what, buddy, I’ll run it by Ellie and Awesome.
(えっと…ああ、うん。なあバディ、エリーとオーサムに一応聞いてみるよ)Chuck Season2 Episode15(Chuck Versus the Beefcake)
シーン解説と心理考察
親友の頼みを無下にはできない一方で、その家が自分ひとりのものではなく姉エリー夫妻と暮らす家であることを、チャックはよく分かっています。即座に「いいよ」と言わずに「二人に通しておく」と返すところに、優しさと板挟みの両方がにじむ場面です。
「I’ll run it by Ellie and Awesome」という一言は、断りでも承諾でもない絶妙な中間地点に立っています。決定権が自分だけにないことをやわらかく示しながら、親友を突き放さない——チャックらしい気配りが、この軽い言い回しに重なっています。相手を立てつつ自分も逃げ道を残す、その絶妙なバランスが見どころと言えます。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
書類を一枚持って、相手のデスクの「そば(by)を走り抜ける(run)」場面を思い浮かべてみてください。立ち止まって正式に相談するのではなく、通りすがりにちらっと見せて反応をうかがう——その軽さが「run by」の手触りです。
チャックが「エリーとオーサムに一回通してから返事するね」と、決定をいったん家族の前を通過させる姿と重ねると、覚えやすくなります。何かを誰かの前に「走らせて(run)」、そばを「通す(by)」。この動作の軽やかさごと記憶に残しておくのがコツです。
例文で覚える「run something by someone」
ビジネスでも日常でも、即答を避けて一度確認したいときに重宝するフレーズです。3つの場面で使い方を見ていきましょう。
Let me run it by my manager before I confirm.
(確定する前に、上司に一度確認させてください)
取引先に即答を求められたビジネスの場面で使えます。自分の一存では決められないことを、角を立てずに伝えられる言い回しです。
She ran the proposal by legal just to be safe.
(念のため、彼女はその提案を法務に通しておいた)
慎重に物事を進める場面です。by の後ろが部署名でも自然に使え、「念のため通しておく」という配慮がにじみます。
A: Can I run something by you real quick?
B: Sure, what’s up?
(A:ちょっと相談してもいい?)
(B:もちろん、どうしたの?)
友人や同僚に軽く意見を聞きたいときの、定番の切り出し方です。something を使うと「ちょっとした相談ごと」のニュアンスが出ます。
あわせて覚えたい関連表現
consult someone
(〜に相談する)
専門家への正式な相談に向く、よりフォーマルで重い表現です。run by のような「ちょっと通しておく」軽さはありません。
check with someone
(〜に確認を取る)
許可や都合の確認に重点があります。run by は確認に加えて「意見・感想をもらう」ニュアンスも含む点が違いです。
bounce something off someone
(〜にアイデアをぶつけて反応を見る)
相手の反応を試す実験的なニュアンスが強い表現です。run by が「了承をもらう」色が濃いのに対し、こちらは「反応を見る」色が濃くなります。
Note|run by / check with / consult、相談の「軽さ」の三段階
「相談する」と一口に言っても、英語では場面に応じて表現が分かれます。今回の run by を入り口に、その温度差を整理してみましょう。
いちばん軽いのが run something by someone です。案を相手のそばに通して、感想や了承をさっともらうイメージで、「ちょっと聞いてもいい?」というカジュアルな場面によく合います。次に check with someone は、許可や都合を確かめる確認寄りの表現です。「予定を確認してから返事するね」のように、相手の都合を尋ねるニュアンスが前に出ます。そしていちばん重いのが consult someone で、専門家や上位者に正式に助言を仰ぐ場面で使われます。医者に診てもらう、弁護士に相談する、といった文脈が典型です。日本語ではどれも「相談する」の一語にまとまってしまいますが、英語ではこの三つが軽さの順にきれいに並びます。
チャックがモーガンに返した「I’ll run it by Ellie and Awesome」が、いちばん軽い run by だったことにも意味があります。重々しく consult するのではなく、家族にさっと通しておく——その軽さが、断りでも承諾でもない宙ぶらりんな返事にぴったり合っているのです。
相談の「重さ」を選べると、英語の表現はぐっと細やかになります。
まとめ|チャックの宙ぶらりんな返事から学ぶこと
「run something by someone」は、案や情報を相手に一度通して、意見や了承をもらうことを表す表現です。consult ほど重くなく、日常でもビジネスでも使える軽やかさが持ち味と言えます。
即答を避けたいとき、自分ひとりでは決められないとき、この一言があれば、角を立てずに「いったん確認しますね」と伝えられます。会話にワンクッションを置ける、便利な表現です。
決定をいったん誰かの前に通す、チャックのあの宙ぶらりんな返事を思い出しながら、表現の引き出しに加えてみてください。
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