海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
チームやグループの中で、いったい誰が最終的な決定を下しているのか。物事を仕切り、采配を振っているのは誰なのか ── そんな「主導権のありか」が気になる場面は、仕事でも私生活でもよくありますよね。
そんなときにぴったりの「call the shots」を、『フレンズ』シーズン5第2話の中盤、レイチェルの恋愛の決定権を任されたモニカが、その権限を思いきり行使しようとするシーンから、一緒に見ていきましょう。
「call the shots」の意味とニュアンス
call the shots
意味:仕切る、決定権を握る、采配を振る
call the shots は、直訳すれば「ショット(shot)を号令する」。この shot には「発砲」「射撃」といった意味があり、もともとは軍隊や射撃の場面で「撃て、という合図をかける」ことに由来すると言われています。撃つタイミングを指示する立場の人 ── そこから転じて、「物事を取り仕切り、最終的な決定を下す立場にある」という意味へと広がりました。
このフレーズの核にあるのは、「誰が主導権を握っているか」をはっきり示す働きです。組織やチーム、あるいは人間関係の中で、実際に決定を下しているのは誰なのかを明確にしたいとき、この表現が使われます。名目上のトップではなく、実質的に采配を振っている人を指せるのも特徴です。
【ここがポイント!】
- shot(発砲・撮影カット)を「号令する」人=物事を仕切る人、というイメージが核
- 誰が主導権・決定権を持っているかを、はっきり示せる表現
- 名目上の立場ではなく、実際に采配を振っている人を指せるのがポイント
『フレンズ』S05E02のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
自分の決断をすべてモニカに委ねると宣言したレイチェル。ところがそのレイチェルが、モニカの勧めたDaveとのデートをすっぽかしてしまいます。廊下に呼び出したレイチェルを、モニカが真正面から問い詰めるのが、この場面です。
Monica: Dave told me you blew him off. You listen to me. I’m calling the shots. I say you leave Ross alone and go get Dave. What the hell are you trying to do?
(デイヴから聞いたわよ、あなたが彼をすっぽかしたって。いい、よく聞きなさい。仕切ってるのは私。ロスのことは放っておいて、デイヴをつかまえるの。いったい何をするつもりだったのよ?)Rachel: Well, ultimately, I was trying… you know, I wanted… to tell him I was still in love with him.
(それはその、結局のところ…あのね、伝えたかったの…まだ彼を愛してるって。)Monica: What? You cannot tell him that.
(なんですって? そんなこと絶対に言っちゃだめ。)Rachel: Why? Why not? People love to hear that.
(どうして? なんでだめなの? みんなそういう言葉を聞きたがるものよ。)Friends Season5 Episode2(The One with All the Kissing)
シーン解説と心理考察
「I’m calling the shots(仕切ってるのは私)」と言い切るモニカには、頼まれた責任を生真面目に、全力で果たそうとする姿勢が表れています。レイチェルから決定権を託された以上、中途半端にはできない ── そんな彼女らしい過剰なほどのコントロール欲が、この宣言に重なっています。
ところが、勢いよく問い詰めた「何をするつもりだったの?」への答えは、モニカの想像を超えていました。レイチェルの口から出たのは、「まだロスを愛してると伝えたかった」という爆弾発言。決定権を振りかざした采配が、皮肉にも相手の一番深い本音を引き出してしまう ── この展開のねじれが見どころと言えます。「call the shots」という主導権を示す表現が、そのまま二人の友情の中の主導権争いを映し出す構図になっています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
映画やドラマの撮影現場で、監督が「アクション!」と声を張り上げる場面を思い浮かべてみてください。カメラを回すタイミングを「号令」で決めているのは監督であり、その現場を仕切っているのも監督です。「撃て(shot)の合図を出す人=決定権を持つ人」という図式が、そのまま call the shots の核になっています。
モニカが仁王立ちで「I’m calling the shots」とレイチェルに命じる姿を、この監督のイメージと重ねてみてください。号令をかける人が場を支配している ── その強い主導権の絵が、フレーズの意味とぴったり結びつきます。
例文で覚える「call the shots」
「誰が決めるのか」をはっきりさせたいときに活躍する表現です。3つの場面で見ていきましょう。
In this kitchen, the head chef calls the shots.
(この厨房では、料理長が采配を振る。)
職場の主導権がどこにあるかを説明する場面です。組織の中で決定権を持つ人を、端的に指し示せます。
As the project lead, she calls the shots on the timeline.
(プロジェクトリーダーとして、彼女がスケジュールの決定権を握っている。)
役割と権限を明確にする場面です。「on + 対象」を添えると、「何について」の決定権なのかを絞り込めます。
A: Who calls the shots in your family?
B: Honestly? My daughter does.
(A:あなたの家では、誰が主導権を握ってるの?)
(B:正直に言うと? うちの娘だよ。)
力関係を軽い調子で尋ねる場面です。疑問文でも自然に使え、家庭やグループの「実権者」を話題にできます。
あわせて覚えたい関連表現
be in charge
(責任者である、担当している)
役割としての「責任者」を表す言い方です。call the shots は決定権や采配のニュアンスがより強く、実際に判断を下している主導権を強調します。
run the show
(全体を取り仕切る)
組織や場の全体を回している主宰者的な意味合いです。call the shots が個々の判断を下す決定権に焦点を当てるのに対し、こちらは運営そのものを担うイメージです。
have the final say
(最終決定権を持つ)
「最後に決めるのは誰か」に絞った表現です。call the shots は日々の采配全般を広く含むのに対し、こちらは最終判断の所在に限定されます。
Note|call the shots の由来 ― 射撃とビリヤード、二つの説
call the shots の語源をたどると、実は二つの有力な説があることが見えてきます。
一つめは、射撃に由来するという説です。軍隊や狩猟の場面で、「撃て」という号令をかける、あるいは射撃練習で「次はどの的を狙うか」を宣言する ── そうした「shot を call する」行為が、指揮・決定を下す意味へと転じたと考えられています。二つめは、ビリヤードに由来するという説です。ビリヤードには、ボールを打つ前に「どの球をどのポケットに入れるか」をあらかじめ宣言してから打つ、というルールがあります。この「狙いを call(宣言)する」動作が語源だとする見方です。どちらの説も、共通しているのは shot という語の多義性です。shot は「発砲」「一撃」「(ビリヤードの)一打」、さらには「撮影カット」まで、幅広い意味を持ちます。その多義的な shot を「call(号令・宣言)する」立場にある人こそが、物事を決める人だ ── という発想が、二つの説の根っこでつながっています。
モニカの「I’m calling the shots」も、この「狙いを定めて号令をかける」イメージの延長線上にあります。
言葉の由来が一つに定まらないところに、かえって表現の奥行きが感じられます。
まとめ|モニカの采配から学ぶ「仕切る」の一言
call the shots は、「誰が主導権を握り、決定を下しているのか」をはっきり示す表現です。単なる役割上の責任者ではなく、実際に采配を振っている人を指せる ── その力強さが、このフレーズの持ち味です。
チームや家庭、プロジェクトの中で「決めているのは誰か」を語りたいとき、「call the shots」を知っていれば、その関係性を的確に言い表せます。「on + 対象」を添えれば、何についての決定権かも自在に示せます。
レイチェルの恋愛を仕切ろうと奮闘するモニカの姿を思い出しながら、主導権を語る表現として、あなたの引き出しに加えてみてください。


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