海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
決めたことや頼まれたことを、途中で投げ出さずに最後まで形にしたい。そんな場面で使える英語があるかどうか、気になったことはありませんか。
そんなときにぴったりの「carry out」を、『フレンズ』シーズン6第7話の前半、ロスが読み終えたばかりの本の内容を語り、チャンドラーとモニカが冗談まじりに切り返す場面から、一緒に見ていきましょう。
「carry out」の意味とニュアンス
carry out
意味:(計画・指示・機能などを)実行する、こなす
carry out は、頭の中や紙の上にある計画、決まっている指示、備わっている機能などを、実際の行動や動作として形にする動詞句です。carry は「運ぶ」、out は「外へ」という基本の意味を持つ語で、考えの段階にあったものを外へ持ち出して、現実の作業にするイメージでとらえられます。
目的語には plan、order、test、task、function など、やることがあらかじめ決まっているものが並びます。実験や点検を「実施する」、命令や約束を「果たす」、機器やソフトが機能を「こなす」と、文脈によって日本語の訳し分けが変わりますが、決まっていることを実際に動かすという芯は変わりません。
同じ「行う」でも、do はさまざまな目的語に使える広い動詞です。それに対して carry out は、目的語が具体的で、やり遂げる手応えまで伝える点が特徴です。計画や指示を「実行に移す」ニュアンスを含めたいときに、選びやすい表現です。
【ここがポイント!】
- 「carry out」の核は、決まっている計画や機能を実際に形にすること
- 目的語は plan・order・test・function など、やることが先に決まっているもの
- 「実行する」「実施する」「こなす」と、目的語に合わせて訳し分けるのがコツ
『フレンズ』S06E07のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ロスが、読み終えたばかりの本の内容を話し始めます。未来のコンピューターが人間の脳と同じだけの機能をこなせるようになる、という説明の中に carry out が登場します。ロスの話にチャンドラーが冗談で返し、そこへモニカが加わって、箱を巡る皮肉のやり取りが続きます。長い説明の中で carry out がどんな意味で使われているか、周りの反応とあわせて見どころです。
Ross: So, I just finished this fascinating book. By the year 2030, there’ll be computers that can carry out the same amount of functions as an actual human brain. So, theoretically, you could download your thoughts and memories into this computer and-and-and live forever, as a machine.
(ちょうど、すごく面白い本を読み終えたところなんだ。2030年までに、本物の人間の脳と同じだけの機能をこなせるコンピューターができるらしい。だから理論上は、自分の思考や記憶をそのコンピューターにダウンロードして、機械として永遠に生きられるんだよ。)Chandler: And I just realized I can sleep with my eyes open.
(俺は今、目を開けたまま眠れることに気づいたよ。)Monica: Honey, that’s a great idea– nailing the boxes to the floor.
(ねえ、それは名案ね。箱を床に釘で打ちつけておくなんて。)Chandler: I didn’t nail the boxes to the floor.
(床に釘で打ちつけてなんかいないよ。)Monica: Oh, so you can move them?
(あら、それじゃあ動かせるのね?)Friends Season6 Episode7(The One Where Phoebe Runs)
シーン解説と心理考察
本の内容を伝えるロスの説明は、「2030年」「理論上」「永遠に生きられる」と、一文ごとに話が大きくなっていきます。その中心にある carry out は、人間の脳が持つ機能の量に、コンピューターが並ぶという意味で使われています。あらかじめ決まっている機能を実際に「こなす」という、この表現の芯がよく見える使い方です。
ロスの説明が終わると、チャンドラーは「俺は今、目を開けたまま眠れることに気づいた」と返します。話題そのものには触れず、話を聞いている自分の状態を冗談にすることで、退屈をほのめかす一言です。正面から受け止めずに少しずらして返すところが、この一言の見どころです。
続いてモニカが「箱を床に釘で打ちつけておくなんて名案ね」と加わり、話題は箱の置き場所へ移ります。「名案」は本心の褒め言葉ではなく、片付かない箱への皮肉として響きます。チャンドラーが「打ちつけてなんかいない」と否定すると、モニカは「じゃあ動かせるのね」と畳みかけます。遠回しな言い方を重ねるほど、言いたいことがくっきり浮かび上がる短い応酬です。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
carry は「運ぶ」、out は「外へ」。頭の中や紙の上にあった計画を、両手で持ち上げて現場へ運び出し、実際の作業にしていく姿を思い浮かべてみましょう。持ち出したものが動き出すところまでが、carry out の描く動きです。
ロスの説明に出てきたコンピューターも、人間の脳と同じだけの機能を「運び出して動かす」存在でした。考えの中にあった機能が、現実に動く形になる。その感覚とセットにして覚えておくと、計画や指示を「実行する」場面でも、機能を「こなす」場面でも、同じひとつのイメージで使い分けられます。
例文で覚える「carry out」
計画を進める場面から機器の性能を伝える場面まで、幅広く使える carry out を、3つの例文で確認していきましょう。
The team carried out the plan exactly as scheduled.
(チームは計画をスケジュールどおりに実行した。)
プロジェクトの進み具合を報告する場面です。plan を目的語に置いた、もっとも基本的な形になっています。
A: Did you finish the safety check?
B: Yes, we carried out every test on the list.
(A:安全点検は終わった?)
(B:うん、リストにある試験は全部実施したよ。)
職場で作業の完了を確認し合う会話です。every test on the list と、やることが決まっているものを目的語にしているのがポイントです。
The new software can carry out thousands of calculations in a second.
(この新しいソフトは、1秒間に何千もの計算をこなせる。)
機器やソフトの性能を説明する場面です。ロスの説明と同じく、機能をこなす意味で使われています。
あわせて覚えたい関連表現
conduct
(〜を行う、実施する)
carry out が「決まっていることを実行する」広い言い方であるのに対し、conduct は調査・実験・面接など、進め方を管理しながら行うものと結びつきます。conduct a survey のように、目的語がはっきりしているのが特徴です。
perform
(〜を行う、果たす)
perform は動作や作業、機能を「果たす」ことに重心があります。carry out が計画や指示を「実行に移す」ことに重心があるのに対し、perform は「その働きを果たす」点が中心です。
follow through
(最後までやり抜く)
carry out が実行すること自体を指すのに対し、follow through は始めたことを途中で放り出さず、終わりまで続けるところに重心があります。
Note|carry out・conduct・perform・do、目的語で見分ける「行う」
「行う」と訳せる英語の動詞は、日本語ではひとまとめになってしまいますが、英語では結びつく目的語によって選び分けられています。carry out もそのひとつです。
carry out the plan(計画を実行する)、carry out an order(命令を遂行する)は、あらかじめ決まっているものを実際に動かす形です。conduct a survey(調査を行う)、conduct an experiment(実験を行う)は、進め方を管理しながら実施する対象と結びつきます。perform a task(作業を行う)、perform a function(機能を果たす)は、動作そのものや、働きを果たすことに重心があります。do は幅広い目的語を取れる動詞ですが、計画や命令を「実行に移す」ところまで伝えたいときは、carry out のほうが的確に響きます。同じ「行う」でも、目的語がそのまま動詞の色を決めているわけです。
ロスの説明に戻ると、目的語は「the same amount of functions(同じ量の機能)」でした。決まった働きをこなす、という意味合いが目的語に含まれているため、carry out が「こなす」という訳になじんでいます。計画でも命令でも機能でも、決まっているものを実際に動かす、という一本の筋が通っています。
行うという一語の奥で、目的語が動詞の色を決めています。
まとめ|決まったことを、形にして動かす一言
carry out は、計画・指示・機能など、あらかじめ決まっているものを実際に動かして形にする動詞句です。「実行する」「実施する」「こなす」と、目的語に合わせて日本語が変わっても、芯にあるのは「決まっていることを現実にする」動きです。
仕事の計画を進める場面でも、点検や実験を実施する場面でも、機器の性能を説明する場面でも、同じ形のまま使えます。ロスの説明の中では、コンピューターが人間の脳と同じだけの機能をこなす未来の姿が、この一語で描かれていました。
決めたことを最後まで形にしたい場面で、表現の引き出しに加えてみてください。


コメント