海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン1第13話では、フィービーの交際相手で精神科医のロジャーが仲間の集まりに顔を出します。ところが仲間たちは、顔を合わせるうちに、彼のことをどうしても好きになれなくなっていきます。
友達の恋人について、本人にも友達にも言いにくい本音をどう切り出すのか。言いよどむ言葉、言い切る言葉、遠回しに伝える言葉を、3つの場面から順に見ていきます。
「Basically, we just feel ~」と「We hate that guy.」言いよどみと言い切り
カフェにやって来たフィービーは、ロジャーが食事会に仲間を招きたがっていると伝えたうえで、皆の様子に気づいて尋ねます。
Phoebe: So, what’s going on?
(で、どうしたの?)
Monica: Nothing, it’s, um..
(何でもないの、ただ、その…)
Monica: …it’s just, um..
(…ただね、えっと…)
Monica: …i-it’s Roger, you know.
(…ロ、ロジャーのことなの。)
Ross: Um, I don’t know. There’s something about–
(うーん、何て言うか。どこかこう…)
Chandler: Basically, we just feel that he’s, uh..
(要するに、俺たちが感じてるのは、彼が、その…)
Rachel: We hate that guy.
(私たち、あの人が大嫌いなの。)
Friends Season1 Episode13(The One with the Boobies)
モニカの it’s just, um.. は、本題に入る前に時間をかせぐときの形です。just を入れると「大したことじゃないんだけど」という含みが出て、話の重さを少し下げられます。ロスの There’s something about ~ は「〜にはどこか引っかかるところがある」と、理由をはっきり言わずに違和感だけを示す形です。
チャンドラーの Basically, we just feel that ~ は、basically(要するに)でまとめに入り、we feel で「事実ではなく自分たちの感じ方」として述べる言い方です。ここでも just が入ることで、語調が少しやわらぎます。
そこへレイチェルが We hate that guy. と一言で結論を出します。that guy は「あの人」を少し突き放して指す言い方で、hate と組み合わさると遠慮のない本音になります。3人が慎重に言葉を選んだあとだからこそ、この一言の率直さがはっきり伝わります。続けてロスが We’re sorry とフィービーに謝っています。
「They have a liking problem with you」遠回しに始めて結論を言う
その後、ロジャーと二人でいるとき、フィービーは仲間の反応を本人に伝えます。
Phoebe: It’s just, um… it’s my friends. They-they have a liking problem with you
(あのね、えっと…友達のことなの。あの子たち、あなたを好きになるのに問題があって)
Phoebe: in that, um, they don’t.
(つまりその、好きじゃないってこと。)
Roger: Oh. They don’t?
(ああ。好きじゃないって?)
Friends Season1 Episode13(The One with the Boobies)
They have a liking problem with you は、「〜が好きではない」を「好きになることに問題がある」と言い換えた、フィービーらしい回りくどい表現です。続く in that ~ は「〜という点で」と中身を説明する前置きで、ここでようやく they don’t(好きじゃない)と結論が出ます。遠回しな前置きから始めて最後に結論を置く構造が、言いにくさをそのまま映し出しているのが分かります。
フィービーはさらに言葉を足し、こう続けます。
Phoebe: They just, you know, they think you’re a little..
(みんな、ほら、あなたのことちょっと…って思ってて)
Roger: What?
(何だい?)
Phoebe: Intense and creepy.
(重たくて不気味だって。)
Phoebe: But I don’t. Me, Phoebe.
(でも私は違うの。私、フィービーはね。)
Friends Season1 Episode13(The One with the Boobies)
a little.. で言葉を止めると、相手から What? と促されます。そこで形容詞を2つ並べて言い切るのが Intense and creepy. です。intense は人に使うと「圧が強い」「重たい」という意味になり、creepy は「不気味な」「気味が悪い」という強めの語です。最後の But I don’t. は「私は違う」と打ち消す一言で、続けて自分の名前まで添えて念を押し、友達の評価と自分の気持ちを切り分ける働きをします。
「he’s a good person」から「It’s just…」へ、ほめてから本音を言う
その後、モニカとレイチェルの部屋に来たフィービーは、ロジャーと別れたことを仲間に伝えます。レイチェルに何があったのか聞かれて、こう答えます。
Phoebe: I mean…he’s a good person.
(だって…いい人なのよ。)
Phoebe: And he can be really sweet.
(それに、すごく優しいときもあるし。)
Phoebe: And in some ways, I think he is so right for me.
(それに、ある意味では私にぴったりだと思うの。)
Phoebe: It’s just…I hate that guy.
(ただ…あの人が大嫌いなの。)
Friends Season1 Episode13(The One with the Boobies)
最初の3文では、相手の良いところが順に並びます。he’s a good person は人柄をほめる基本の形、he can be really sweet の can be は「〜なときもある」と、常にそうではないことを含ませる形です。in some ways も「ある意味では」と範囲を限る言葉です。
そのうえで It’s just… と区切り、本音に移ります。It’s just ~ は「ただ〜なだけ」と、それまでの話を打ち消さずに別の事情を足すときの形です。ほめ言葉を先に置くことで、最後の一言が笑いの落ちとして際立つ構成です。
自分のことを伝える場面なら、He’s nice. It’s just that we don’t have much in common.(いい人だよ。ただ、共通点があまりないんだ)のように、It’s just that ~ で理由をやわらかく添えることもできます。
まとめ|本音を伝える前の言葉と言い切る言葉
Basically, we just feel ~ で言いよどみ、We hate that guy. で言い切り、They have a liking problem with you で遠回しに伝え、ほめ言葉のあとに It’s just… で本音を添える流れを見てきました。同じ本音でも、前置きの選び方で印象が変わります。
次回も『フレンズ』と一緒に、日常の英語を学んでいきましょう。
同じ回のほかのコラムやフレーズ記事では、この話の別の場面の英語も扱っています。


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