海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン1第6話では、きれい好きで几帳面なモニカが、部屋の模様替えをきっかけに、友人たちからその性格をからかわれます。モニカは言葉で反論するだけでなく、靴を出しっぱなしにして「気ままな自分」を見せようとします。
性格をからかわれたときに「そこまでじゃない」と打ち消す言い方から、自分に言い聞かせる言葉まで。からかわれる側に立ったモニカの言葉を、場面の順に追っていきます。
「I am not that bad.」と「Yeah, you are.」で、打ち消しと即答
オットマンをめぐるやりとりのあと、友人たちの軽口を受けて、モニカはみんなに向かってこう言います。
Monica: Guys, I am not that bad.
(ちょっと、私そこまでひどくないから。)
Phoebe: Yeah, you are, Monica.
(ううん、ひどいよ、モニカ。)
Friends Season1 Episode6(The One with the Butt)
I am not that bad. の that は「そんなに」「そこまで」という程度を表す副詞です。「悪くない」と全否定するのではなく、「言われているほどではない」と程度を下げて打ち消すのがポイントです。I’m not that ~. は、I’m not that old.(そこまで年じゃない)や I’m not that busy.(そんなに忙しくない)のように、さまざまな形容詞と組み合わせられます。
フィービーの Yeah, you are. は、否定文に対して「いや、そうだよ」と返す形です。日本語では「ううん、ひどいよ」と否定から入りますが、英語では相手の文の内容に合わせて Yeah と you are で肯定します。否定疑問や否定文への答え方で迷いやすい部分なので、このやりとりは短いながら良い見本になります。
Guys, と呼びかけてから言い返すモニカと、名前を添えて即答するフィービー。呼びかけの位置も、言い方の強さを左右する要素です。
「I can be a kook.」と「I could do that.」で、自分の別の面を言い張る
モニカは反論の仕方を変え、自分の性格を認めたうえで別の面もあると主張します。
Monica: Okay, so I’m responsible. I’m organized. But, hey, I can be a kook.
(わかった、私はしっかり者よ。きちんとしてる。でもね、変わり者にだってなれるの。)
Ross: All right, you madcap gal.
(よし、じゃあ型破りなお嬢さん。)
Ross: Try to imagine this. The phone bill arrives but you don’t pay it right away.
(こう想像してみて。電話代の請求書が届いたけど、すぐには払わない。)
Monica: Why not?
(なんで?)
Ross: Because you’re a kook.
(お前が変わり者だからさ。)
Ross: Instead, you wait until they send you a notice.
(代わりに、督促状が来るまで待つんだ。)
Monica: I could do that.
(それくらいできるわよ。)
Friends Season1 Episode6(The One with the Butt)
Okay, so I’m ~. But, hey, I can be ~. は、相手の指摘をいったん認めてから「でも〜にもなれる」とひっくり返す型です。responsible(責任感がある)と organized(きちんとしている)は、本来はほめ言葉として使われる語です。モニカはそれを否定せず、can be(〜になることもある)で性質の幅を付け足します。kook は「変わり者」を指すくだけた語で、ロスの madcap(型破りな、無鉄砲な)も同じ方向の言葉です。
ロスは Try to imagine this. とたとえ話を始め、モニカを試します。ここでモニカが Why not? と理由を聞き返してしまうのが笑いどころです。請求書をすぐ払わない理由が思いつかないこと自体が、ロスの言いたい点を証明する形になります。
最後の I could do that. の could は過去ではなく、「やろうと思えばできる」という仮定の意味です。このあとレイチェルとチャンドラーも次々にたとえ話を持ち出し、モニカは最後に Stop it!(やめて)と声を上げます。
「Whenever.」と「I don’t have to prove anything.」で、気にしないふりと本音
別の場面で、寝ると言ったモニカに、レイチェルが声をかけます。
Rachel: You’re leaving your shoes out here?
(靴、ここに出しっぱなしにするの?)
Monica: Uh-huh.
(うん。)
Rachel: Really? Just casually strewn about
(本当に?そんなふうに無造作に)
Rachel: in that reckless haphazard manner?
(めちゃくちゃに散らかしたまま?)
Monica: I’ll get them tomorrow… or not.
(明日片づける…かもしれないし、しないかも。)
Monica: Whenever.
(いつでもいいの。)
Ross: She is a kook.
(変わり者だな。)
Friends Season1 Episode6(The One with the Butt)
レイチェルの Really? Just casually ~? は、靴が出しっぱなしになっているだけの状況を、大げさな言葉で言い表すからかいです。reckless(向こう見ずな)や haphazard(でたらめな)は本来は重い語で、その落差が皮肉を生みます。
モニカは I’ll get them tomorrow と予定を言ったあとに or not. を付け足します。文末の or not は「〜しないかもしれないけど」と直前の予定を自分で打ち消す軽い言い方で、続く Whenever.(いつでもいい)と合わせて、気にしていないふりを見せる形です。
ところが自分の部屋に戻ると、モニカは心の中でこう言い聞かせます。
Monica: If it bothers you that much, just go out and get them.
(そんなに気になるなら、出ていって取ってくればいいじゃない。)
Monica: No. Don’t do this. This is stupid!
(だめ。やめなさい。ばかみたい!)
Monica: I don’t have to prove anything.
(何かを証明する必要なんてないんだから。)
Monica: I’m going to go get them.
(取りに行こう。)
Monica: But then everyone will know.
(でもそうしたら、みんなにばれる。)
Monica: Unless I wake up really early and put them back.
(すごく早起きして、また戻しておけば別だけど。)
Monica: I need help.
(私、誰かに助けてもらわなきゃ。)
Friends Season1 Episode6(The One with the Butt)
If it bothers you that much, just ~. は「そんなに気になるなら〜すればいい」と背中を押す言い方で、ここでは自分自身に向けて使われています。I don’t have to prove anything. は「何も証明しなくていい」と自分に言い聞かせる一言です。Unless ~. は「〜すれば話は別だけど」と抜け道を探す切り出しで、言い聞かせた直後に気持ちが揺れ戻る様子が言葉の順番から読み取れます。
最後の I need help. は文字どおり「助けが必要」ですが、ここでは自分の行動にあきれてみせる自嘲として読み取れます。
まとめ|からかいに言い返す英語と、自分への一言
I am not that bad. で程度を下げて打ち消し、I can be a kook. で別の面を主張し、Whenever. で気にしないふりを見せる流れを見てきました。最後の I need help. まで含めて、からかわれた側の言葉の幅が分かります。
友人どうしの軽口がどこまで続くのか、『フレンズ』の会話の楽しさをこれからも追っていきましょう。
この回のほかのコラムやフレーズ記事でも、同じエピソードの英語を別の角度から取り上げています。


コメント