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『フレンズ』シーズン1第17話では、元妻キャロルとの間に赤ちゃんが生まれる予定のロスが、父親になることへの不安を、友達や自分の父に打ち明けていきます。
「準備ができていない」と「父親だという実感がない」は、似ているようで指しているものが違います。ロスの言葉を順に追いながら、be ready to be と feel like の使い分けを見ていきます。
「I am so not ready to be a father」で準備のなさを打ち明ける
カフェのセントラルパークで、ロスはチャンドラーとジョーイに、前の晩に見た夢の話をします。生まれてくる赤ちゃんとフットボールをする夢で、目が覚めたところまで話したあと、こう続けます。
Ross: See, I am so not ready to be a father.
(な、俺は父親になる準備がまるでできてないんだよ。)
Chandler: Hey, you’re going to be fine. You’re one of the most caring most responsible men in North America.
(おい、大丈夫だって。お前は北米でいちばん思いやりがあって、いちばん責任感のある男の一人だぞ。)
Chandler: You’ll make a great dad.
(いい父親になるよ。)
Friends Season1 Episode17(The One with Two Parts, Part 2)
be ready to be a father は「父親になる準備ができている」という意味で、これから引き受ける役割に向けた心構えや用意を指します。ロスは not の前に so を置いた so not ready という口語の強調を使っています。so not は「まったく〜ない」と否定を強める、くだけた会話で使われることのある言い方です。
チャンドラーの返事は、you’re going to be fine でまず不安を受け止め、最後に You’ll make a great dad で締めくくる組み立てです。make a great ~ は「〜にぴったりの人になる」という意味で、She’ll make a great teacher.(彼女はいい先生になるよ)のように、これからの役割について使えます。不安を打ち明けられた側が、まず「大丈夫」と受け止め、次に相手の長所を挙げ、最後に未来の姿を言い切るという順序は、人を励ますときの順序の一例として見ることができます。
「Did you freak out at all?」で父に経験を聞く
場面は変わり、ロスはレストランで父ジャック・ゲラーと昼食をとっています。ドライトマトの商売の話をしている父に、ロスはこう切り出します。
Ross: Dad, before I was born, did you freak out at all?
(父さん、俺が生まれる前、少しは動揺したりした?)
Mr. Geller: I’m not freaking out! I’m just saying if someone had come to me…
(動揺なんかしてないさ! ただ、もし誰かが話を持ってきていたらって言ってるだけで……)
Ross: Dad, dad, dad…
(父さん、父さん、父さん……)
Ross: I’m talking about the whole baby thing.
(赤ちゃんのことを言ってるんだよ。)
Ross: Did you ever get this sort of… panicky, “Oh, my God, I’m going to be a father” kind of a thing?
(こう……「どうしよう、父親になるんだ」ってパニックになるような感じになったこと、ある?)
Friends Season1 Episode17(The One with Two Parts, Part 2)
freak out は「ひどく動揺する、取り乱す」という意味の口語です。at all を添えた did you freak out at all? は「少しでも動揺した?」と、程度の小さい場合も含めて聞く形になります。
父の答えは現在進行形の I’m not freaking out で、直前まで話していた商売の話について言われたと受け取ったようにも読めます。そこでロスは the whole baby thing と話題をはっきりさせます。the whole ~ thing は、くだけた会話で「〜のこと全般」をざっくり指すときに使われることがあります。さらに this sort of … kind of a thing で言いたい感覚を挟み込み、自分の不安を具体的な言葉にしています。
英文の中に “Oh, my God, I’m going to be a father” と心の声をそのまま入れ、kind of a thing でくくる言い方は、気持ちを説明しにくいときの会話らしい組み立てです。自分の経験に置き換えるなら、Did you ever get nervous before your first day at work?(初出勤の前に緊張したことはある?)のように聞くこともできます。
「feel like a father」で実感の有無を言う
父は、自分は仕事で忙しくあまりそばにいなかったと話し、ロスが昔から行きたがっていた場所への旅行を持ちかけます。ロスはそれに礼を言ったうえで、本当に聞きたかったことを口にします。
Ross: I ju… you know, I just…
(俺は……その、ただ……)
Ross: I just… I just needed to know, um… when did you start to feel like a father?
(ただ……ただ知りたかったんだ、その……いつから自分が父親だって感じ始めた?)
Mr. Geller: Oh. Well, I guess it must have been…
(ああ。そうだな、たぶんあれは……)
Mr. Geller: The day after you were born.
(お前が生まれた次の日だな。)
Friends Season1 Episode17(The One with Two Parts, Part 2)
feel like a father は「父親になった実感がある」という意味で、立場ではなく本人の感覚を表します。start to feel like ~ にすると「〜だと感じ始める」で、実感が生まれた時点を尋ねる形になります。父は、生まれた翌日に小さなロスに指を握られたとき、と答えます。
その後、モニカとレイチェルの部屋でスクラブルをしながら、チャンドラーは同じ言い方で最悪の場合を並べ始めます。
Chandler: Okay, worst case scenario. Say you never feel like a father.
(よし、最悪の場合だ。父親だって実感がずっと持てないとする。)
Chandler: Say your son never feels connected to you as one.
(息子もお前を父親として身近に感じられないとする。)
Chandler: Say all of his relationships are affected by this.
(それで息子の人間関係が全部その影響を受けるとする。)
Ross: Do you have a point?
(で、何が言いたいんだ?)
Friends Season1 Episode17(The One with Two Parts, Part 2)
worst case scenario は「最悪の場合」、文頭の Say ~ は「〜だとしよう」と仮定を置く口語です。準備を表す be ready to be はこれから先の話、実感を表す feel like はその立場に立ったあとの感覚という違いが、二つの場面を並べると見えてきます。I’m not ready to be a manager.(管理職になる準備ができていない)と I don’t feel like a manager yet.(まだ管理職になった実感がない)のように、仕事の話にもそのまま当てはめられます。
まとめ|be ready to be と feel like で父親になる気持ちを言い分ける
so not ready to be a father で準備のなさを、did you freak out at all? で経験を、feel like a father で実感の有無を伝える流れを見てきました。似た不安でも、どの段階の話かで選ぶ言い方が変わります。
父親になる前のロスの迷いを追いながら、『フレンズ』の会話をこれからも味わっていきましょう。
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