「make up for」の意味と使い方|『フレンズ』S01E17で学ぶ英会話

「make up for」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

約束をすっぽかしてしまったり、しばらく連絡できずにいたりして、「この埋め合わせは今度きっとするから」と伝えたくなった経験はありませんか。

そんな気持ちを一言で表せる「make up for」を、『フレンズ』シーズン1第17話の中盤、父親になる不安を抱えたロスが実の父ジャックに悩みを打ち明けるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「make up for」の意味とニュアンス

make up for
意味:(不足・失われたもの)を埋め合わせる、取り戻す

make up for は、足りなかった分・失ってしまった分を、あとから別の何かで補うことを表す句動詞です。遅刻や欠席のお詫び、疎遠だった時間の穴埋め、不足した数量の補填など、マイナスをプラスに転じようとする場面で幅広く使われます。

for のうしろには「埋め合わせる対象(=失われたもの・足りないもの)」が置かれます。make up for the delay(遅れを取り戻す)、make up for lost time(失った時間を取り戻す)のように、for の後ろを見れば「何を埋め合わせるのか」がはっきりします。

make up 単体には「化粧をする」「仲直りする」「でっち上げる」など複数の意味がありますが、for を伴うと「不足を補う」という意味に定まるのが特徴です。前置詞ひとつで意味が決まる、句動詞ならではの表現と言えます。

【ここがポイント!】

  • 「make up for」の核は、へこんだ穴に土を盛って平らに戻すような”埋め合わせ”のイメージ
  • for のうしろには「補う対象(失われたもの)」が来る、と押さえるのがコツ
  • お詫びから時間の穴埋め、数量の補填まで、マイナスをプラスに転じる幅広い一言

『フレンズ』S01E17のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

父親になることへの不安を抱えたロスが、実の父ジャックに「いつ父親だって実感したのか」を尋ねます。ジャックはその問いを「自分が育児にあまり関われなかったことへの不満」だと受け取り、埋め合わせをしようと、ある提案を切り出します。

Ross: I just needed to know, when did you start to feel like a father?
(ただ知りたかっただけなんだ。いつ父親だって感じ始めたのか。)

Jack: ‘Cause there’s time to make up for that. You always wanted to go to that Colonial Williamsburg. How about we do that?
(埋め合わせる時間ならまだあるぞ。前からコロニアル・ウィリアムズバーグに行きたがってただろう。一緒に行くか?)

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シーン解説と心理考察

ロスの問いは純粋に「父親としての実感はいつ芽生えるのか」を知りたいものでしたが、ジャックはそれを「関わってこなかった時間への不満」と受け取ります。二人の思いが微妙にすれ違ったまま会話が進むところに、このシーンのおかしみがあります。

ジャックが口にする make up for that の that には、「仕事が忙しくてあまりそばにいられなかった」という前段の告白が重なっています。過去の不足を埋め合わせたいという父の気持ちが、ウィリアムズバーグ旅行という具体的な提案になって表れているのが見どころです。責めるつもりのないロスと、埋め合わせようとする父。かみ合わない親子の温度差が、make up for という一言に凝縮されていると言えます。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

make up for を覚えるときは、地面にできたへこみに土を盛って(make up)、元の高さまで戻す動作を思い浮かべてみましょう。for のうしろにある「失われたもの」が、まさにその埋めるべき穴にあたります。

このシーンのジャックは、「関われなかった時間」という心の穴を、旅行という盛り土で埋めようとしていました。埋めたい穴(=that)が先にあって、それを補う行動があとから続く——この順番で情景を思い描くと、for の後ろに何が来るのかが自然と結びつきます。

例文で覚える「make up for」

日常のお詫びから仕事の遅れの挽回まで、make up for は幅広く活躍します。フォーマル度の異なる3つの場面で、使い方の幅をつかんでみましょう。

I’m sorry I missed your birthday. Let me make up for it by taking you to dinner.
(誕生日に会えなくてごめん。ディナーで埋め合わせさせて。)
約束を果たせなかった相手にお詫びする、カジュアルな場面です。make up for it の形が最もよく使われるので、まずこの型を押さえておくと安心です。

The team worked overtime to make up for the delay in the schedule.
(チームはスケジュールの遅れを取り戻すために残業した。)
仕事で生じた遅れや不足を補う、ビジネス寄りの使い方です。for のうしろに the delay(遅れ)が来て、「何を埋め合わせるのか」が明確になっています。

A: I feel bad that I couldn’t help you move last weekend.
B: Don’t worry. You can make up for it by helping me paint next week.
(A:先週末の引っ越し、手伝えなくて悪かったよ。)
(B:気にしないで。来週ペンキ塗りを手伝ってくれれば、それでチャラだから。)
埋め合わせを提案し合う往復の会話です。make up for it を「別の行動で埋め合わせる」提案として使う、自然なやり取りになっています。

あわせて覚えたい関連表現

compensate for
(〜を補償する、埋め合わせる)
make up for よりフォーマルな響きの表現で、金銭的な補償や欠点の補完に使われやすい語です。日常会話では make up for のほうが自然で、書き言葉やビジネス文書では compensate for が好まれます。

make it up to someone
(〜に埋め合わせをする、罪滅ぼしをする)
埋め合わせる相手(人)を to のうしろに取ります。make up for が「補う対象(コト)」を for の後ろに取るのに対し、こちらは「償う相手(ヒト)」を to の後ろに取る点が違います。for=コト、to=ヒト、と対で覚えると混同しません。

atone for
(〜を償う)
道徳的・宗教的な「罪の償い」に使われる硬い語です。make up for が不足全般を広くカバーするのに対し、atone for は過ちや罪といった重い対象に限られます。

Note|for と to で変わる「埋め合わせ」の相手

make up for を学んだ学習者がつまずきやすいのが、よく似た make it up to someone との使い分けです。どちらも「埋め合わせ」を表すのに、うしろに来る前置詞が for と to で分かれます。

この違いを決めているのは、「何を埋め合わせるか」と「誰に埋め合わせるか」という視点の差です。make up for のうしろには、補う対象となる”コト”が来ます。make up for the delay(遅れを埋め合わせる)、make up for lost time(失った時間を取り戻す)のように、for のあとには失われたもの・足りないものが置かれます。一方、make it up to someone のうしろには、償う相手となる”ヒト”が来ます。I’ll make it up to you(君には埋め合わせをするよ)のように、to のあとには埋め合わせを受け取る人が入ります。劇中のジャックは make up for that と言っていて、埋め合わせるのは「関われなかった時間」というコトでした。もしこれを「ロスに埋め合わせをする」と人を主役にして言うなら、make it up to Ross となります。

同じ「埋め合わせ」でも、for のあとはコト、to のあとはヒト。この対応を押さえておくと、二つの表現を取り違えずに使い分けられます。

前置詞ひとつで視点が切り替わるのは、英語の面白いところです。

まとめ|「埋め合わせ」を伝えるひとこと

make up for は、足りなかった分・失った分を、あとから別の行動で補うことを表す句動詞です。for のうしろに「埋め合わせる対象」を置く、というシンプルな構造さえつかめば、幅広い場面で使いこなせます。

お詫びの気持ちを伝えるとき、遅れを取り戻すとき、疎遠だった時間を埋めたいとき——make up for が使えると、「ただ謝る」以上に「これから取り戻す」という前向きな意思まで届けられます。

「埋め合わせをする」という発想を英語で表したくなったら、この make up for を表現の引き出しに加えてみてください。

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