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『フレンズ』シーズン2第6話は、ロスの息子ベンが、叔母のモニカがあやすたびに泣き出してしまう場面から始まります。父親のロスが抱くと泣きやみ、モニカはすっかり落ち込みます。
赤ちゃんへの声かけは、短い決まった言い方の組み合わせでできています。泣いているときの一言、泣きやんだときの一言、そして呼びかけの言葉を、冒頭と最後の場面から拾っていきます。
「Let me hold him for a sec」と抱っこを代わる
モニカとレイチェルの部屋に、モニカ、チャンドラー、ジョーイ、ロスとベンが集まっています。モニカが赤ちゃん言葉で話しかけると、ベンは泣き出してしまいます。
Monica: Don’t cry.
(泣かないで。)
Monica: Why is he still crying?
(なんでまだ泣いてるの?)
Ross: Let me hold him for a sec.
(ちょっと俺が抱っこするよ。)
Ross: Huh? Huh? There we are.
(ん? ん? ほら、これでよし。)
Monica: Maybe it’s me.
(私のせいかも。)
Ross: Don’t be silly. Ben loves you. He’s just being Mr. Cranky-pants.
(ばかなこと言うなよ。ベンはお前のことが好きなんだよ。ちょっと「ご機嫌ななめ君」になってるだけさ。)
Friends Season2 Episode6(The One with the Baby on the Bus)
Don’t cry. は泣いている子にかける短い一言で、繰り返して使われることもあります。モニカの Why is he still crying? の still は「まだ」で、なだめても泣きやまない様子をそのまま表しています。
ロスの Let me hold him for a sec. は、抱っこを代わるときにそのまま使えます。hold は「抱く」、for a sec は for a second を縮めた「ちょっとの間」です。ベンが泣きやむと、ロスは There we are. と声をかけます。「ほら、これで落ち着いた」と、状態が整ったことを知らせる一言です。
落ち込むモニカには Don’t be silly.(ばかなこと言わないで)と返しています。cranky は「機嫌が悪い」「ぐずっている」という意味です。そこに -pants を付けた Mr. Cranky-pants は、子どもの不機嫌をからかい半分に言う言葉として使われることがあるとされ、ベンが泣くのはモニカのせいではない、と軽く受け流す働きをしています。
「There we go, all better」と泣きやんだあとに
ロスの言葉を受けて、チャンドラーが冗談を挟みます。ロスはそのあと、ベンをモニカに返します。
Chandler: You know, I once dated a Miss Cranky-pants.
(そういえば俺、「ご機嫌ななめちゃん」と付き合ってたことがあるよ。)
Chandler: Lovely girl, kind of moody.
(いい子だったけど、ちょっと気分屋でね。)
Ross: There we go, all better.
(よし、これでもう大丈夫。)
Monica: There’s my little boy.
(はい、私のかわいい坊や。)
Friends Season2 Episode6(The One with the Baby on the Bus)
チャンドラーは Mr. Cranky-pants を女性版に置き換え、moody(気分屋)と言い足しています。赤ちゃんの話を自分の昔の交際相手の話にずらした冗談です。
ロスの There we go は、何かがうまくいったときの「よし」「ほらね」に当たる一言で、all better は「すっかり良くなった」という意味です。転んだ子をなだめたあとなど、痛みや不機嫌が収まった場面で使われることの多い組み合わせです。There we are と There we go はどちらも「ほら、これでいい」に近く、場面によって重なって使われます。
ところが、モニカが抱くとベンはまた泣き出します。チャンドラーがベンを抱いてモニカに近づけたり離したりすると、近づけたときだけ泣くのです。
Monica: He hates me. My nephew hates me.
(嫌われてる。甥っ子に嫌われてる。)
Ross: Come on, don’t do this.
(おいおい、そういうのやめろって。)
Monica: What if my own baby hates me? What then?
(自分の赤ちゃんにまで嫌われたらどうしよう? そうなったらどうするの?)
Friends Season2 Episode6(The One with the Baby on the Bus)
Come on, don’t do this. は、落ち込んでいく相手を「そんなふうに考えるなよ」と引き止める一言です。What if ~? は「もし〜だったらどうしよう」と、まだ起きていない心配を口にする形です。モニカの場合は、甥に泣かれた今の出来事から、将来の自分の子どものことまで心配を広げています。そこに What then?(そうなったらどうするの?)を重ねて、不安の大きさを言い足しています。
「Come here, little one」と赤ちゃんに呼びかける
この日、チャンドラーとジョーイはベンを預かっていました。最後の場面で、二人はベンを連れてロスとモニカのいる部屋に戻ってきます。モニカはベンにこう話しかけ、抱き上げます。
Monica: Aw, my little nephew.
(ああ、私のかわいい甥っ子。)
Monica: Come here, little one.
(おいで、おちびちゃん。)
Monica: Aw, there’s my little baby.
(ああ、私のかわいい赤ちゃん。)
Monica: Hey, my little boy.
(ねえ、私のかわいい坊や。)
Friends Season2 Episode6(The One with the Baby on the Bus)
my little ~ は、小さな子への呼びかけに添える言い方で、nephew、baby、boy と入れ替えながら重ねています。little one は「おちびちゃん」に近い呼び方で、名前の代わりに使えます。Come here は「おいで」と抱き寄せるときに添えられます。
続いて、ロスもベンに声をかけます。
Ross: Oh, I’m here. I’m here.
(ほら、ここにいるよ。ここにいるよ。)
Ross: How’s my little boy, huh? Huh?
(俺のかわいい坊やは元気かな? ん? ん?)
Ross: You want Daddy to change your diaper?
(パパにおむつ替えてほしいのか?)
Friends Season2 Episode6(The One with the Baby on the Bus)
You want Daddy to ~? は、親が自分のことを I ではなく Daddy と三人称で呼ぶ言い方です。小さな子に話しかけるときには、こうした呼び方がされることが多いと言われています。文頭の Do が落ちた You want ~? の形も、くだけた問いかけで耳にすることの多い形です。Mommy や Auntie(おばさん)なども、同じように自分を指して使われることがあります。
まとめ|泣いたとき、泣きやんだとき、呼びかけるとき
泣いている子には Don’t cry.、抱っこを代わるなら Let me hold him for a sec.、落ち着いたら There we go, all better.、呼びかけには my little ~ や little one を見てきました。場面ごとに覚えると、使いどころが見えてきます。
ベンをあやす大人たちのやりとりを観ながら、これからも『フレンズ』の英語を楽しんでいきましょう。
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