海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
友達との会話や職場のやり取りのなかで、話の流れでつい大胆なことを口にして、言った直後に「今、自分ものすごいこと言ったな」と自分で驚いてしまった経験は、ありませんか。
そんな瞬間にぴったりの「see that coming」を、『フレンズ』シーズン4第19話の序盤、手に入れたチケットを巡ってモニカたち女性陣が思い切った交換条件を持ち出すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「see that coming」の意味とニュアンス
see that coming
意味:そうなると予想する / そうくると見抜く
see that coming は、何かが起こる前にその予兆を察知する、という意味の表現です。直訳すると「それが来るのが見える」。遠くから近づいてくるものを目でとらえるように、これから起きる出来事を前もって読み取る、というイメージが根っこにあります。
実際の会話では、否定形の「I didn’t see that coming(そうくるとは思わなかった)」が圧倒的によく使われます。予想もしていなかった発言や結果に不意を突かれたとき、その驚きを一言で表せる便利なフレーズです。that の部分は it や this に置き換えられ、状況に応じて「I didn’t see it coming」「Nobody saw this coming」といった形にもなります。
反対に肯定形で「I saw it coming」と言えば、「そうなると思っていた」という含みになり、時に「言わんこっちゃない」という得意げなニュアンスも帯びます。同じ表現でも、肯定か否定かで聞き手に与える印象が大きく変わるのが面白いところです。
【ここがポイント!】
- 核は「これから来るものが見える」という視覚のイメージ
- 否定形「didn’t see that coming」で「まったくの予想外」を表すのが定番の使い方
- 肯定形なら「読めていた」、否定形なら「読めなかった」と、驚きの方向が反転するのがコツ
『フレンズ』S04E19のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
男性陣が手に入れた好条件のチケットを巡って、女性陣が交渉を持ちかけます。レイチェルが切り出したのは「チケットをくれたら、私たちのアパートと交換してあげる」という、かなり思い切った提案。広くて快適な自分たちの部屋を賭けるほどの申し出に、当のモニカ自身が言った直後に事の大きさに気づきます。
Rachel: Okay, we have a proposition for you. If you give us the tickets, we’ll switch apartments with you.
(いいこと、あなたたちに提案があるの。そのチケットをくれたら、私たちのアパートと交換してあげる)Chandler: You’d give up your apartment for hockey tickets?
(ホッケーのチケットのためにアパートを手放すっていうのか?)Monica: Whoa. I didn’t see that coming.
(ちょっと。自分でもそうくるとは思わなかったわ)Friends Season4 Episode19(The One with All the Haste)
シーン解説と心理考察
このやり取りの妙は、驚いている本人が、驚きの原因を自分で作っている点にあります。モニカの「I didn’t see that coming」は、普通なら他人の予想外の言動に対して使う一言です。ところがここでは、自分の口から飛び出した大胆な交換条件に、モニカ自身が虚を突かれています。
勝負ごとになると人一倍熱くなるモニカらしく、勢いで大きな賭けを口にしてしまった後の、我に返った戸惑いが伝わってきます。チャンドラーの「アパートを手放すのか?」という確認が、提案の重さを一段浮き彫りにし、その直後のモニカの一言に自己ツッコミの可笑しみがにじむ場面です。予想を裏切る展開を作った張本人が、真っ先にその展開に驚いている――この転倒したおかしさが、短いセリフに凝縮されています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
遠くの地平線から、車や電車がこちらへ近づいてくる情景を思い浮かべてみてください。予兆が見えていれば「see it coming」、何も見えないまま急に目の前に現れれば「didn’t see it coming」。この「接近してくるものが見えるかどうか」という視覚のイメージが、フレーズの中心です。
モニカのシーンなら、自分の口から突然トラックのように飛び出してきた提案に、本人が一番驚いている姿と重ねると忘れにくくなります。予想外のことが起きたら、目の前に何かが「来た(coming)」のに「見えていなかった(didn’t see)」と実況する。その身体的な感覚ごと覚えておくと、とっさに口をつくようになります。
例文で覚える「see that coming」
驚きのリアクションとして、日常のあらゆる場面で活躍するフレーズです。否定形を軸に、3つの使い方を見てみましょう。
They broke up last week? I didn’t see that coming.
(先週別れたの? まったく予想してなかった)
友人の意外なニュースに驚いたときの、最も基本的な使い方です。「まさかそんなことになるとは」という素直な驚きを、飾らずに伝えられます。
The twist at the end of the movie was incredible—nobody saw it coming.
(あの映画のラストのどんでん返しはすごかった。誰も予想できなかった)
映画や小説の展開を語る場面です。主語を nobody にして that を it に変えると、「その場の誰もが予想できなかった」という驚きの共有になります。
A: You got promoted over your own manager?
B: Yeah. Honestly, I didn’t see that coming either.
(A:自分の上司を飛び越えて昇進したの?)
(B:うん。正直、自分でもそうくるとは思わなかった)
予想外の展開を人と確認し合う会話です。either を添えることで「あなたと同じで、私も予想外だった」という共感のニュアンスが加わります。
あわせて覚えたい関連表現
out of the blue
(突然、思いがけなく)
出来事そのものの「唐突さ」を表す表現です。see that coming が「予測できたかどうか」という受け手側の視点に立つのに対し、out of the blue は出来事が降ってわいた様子そのものを描きます。
catch someone off guard
(〜の不意を突く / 油断につけ込む)
予想外の事態に対して「備えができていなかった」状態を表します。「didn’t see that coming」と近い場面で使えますが、こちらは驚かせる側を主語にできる点が異なります。
take someone by surprise
(〜を驚かせる / 意表を突く)
主語が「驚かせる側」に立つ表現です。同じ驚きでも、didn’t see that coming が驚かされる側の一人称視点なのに対し、こちらは出来事や人が主語になって相手を驚かせる形をとります。
Note|「see it coming」と「out of the blue」――予測できた驚きと、できなかった驚き
「予想外だった」と伝えたいとき、英語には複数の言い方があります。その中で see that coming を選ぶと、実は「驚き」以上のものが表現に乗ってきます。
see that coming は、驚きを語ると同時に「自分は予測を試みていた」という視点を含みます。「来るのが見えなかった」という言い方は、裏を返せば「本来なら見えたかもしれない」という含みを残すからです。だからこそ肯定形の「I saw it coming」は、「私は読めていた」という一歩引いた観察者の立場を作り、時にちょっとした得意さや皮肉さえ帯びます。一方 out of the blue は、出来事の突発性だけを描き、受け手が予測できたかどうかには踏み込みません。青空(the blue)から不意に何かが降ってくる、という情景そのものが主役です。つまり、同じ「予想外」でも、see that coming は「予測の網をすり抜けられた」という受け手の視点、out of the blue は「出来事の唐突さ」という現象の視点に、それぞれ焦点が当たっているのです。
モニカのセリフが可笑しいのも、この「予測の視点」があるからこそです。自分で提案しておきながら「予測できなかった」と言うことで、あたかも他人事のように自分の言動を眺める構図が生まれています。
読めなかった驚きを語る言葉には、読もうとした痕跡が残っているのですね。
まとめ|モニカの自己ツッコミから学ぶこと
see that coming は、これから起きることを前もって読み取る、という視覚のイメージを核に持つ表現です。否定形の「I didn’t see that coming」にすれば、予想を裏切られた驚きをひとことで伝えられます。
会話の相手が意外なニュースを口にしたとき、映画のラストに不意を突かれたとき、この一言があれば、あなたの驚きに「予測が外れた」という奥行きが加わります。oh my god や wow よりも一段こなれた反応として、ネイティブが日常的に口にするフレーズです。
自分の提案に自分で驚いてみせたモニカのように、予想外の展開に出会ったら、そっとこの一言を思い出してみてください。表現の引き出しに加えておくと、驚いた瞬間の気持ちを、より豊かに言葉にできるようになります。


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