海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
熱があるわけでもなく、何か嫌なことがあったわけでもない。それなのに、今日はどうも自分の調子ではない。かといって休むほどでもない。そんな日の説明に困った経験はありませんか。
そんなときに使える「be out of sorts」を、『メンタリスト』シーズン4第23話の序盤、被害者の勤務先での聞き込みを終えてビルを出たジェーンが、様子の違いに気づいたリズボンに答えるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「be out of sorts」の意味とニュアンス
be out of sorts
意味:調子が出ない、なんとなく気分が優れない
sorts は「種類」でおなじみの語ですが、この表現の sort は「あるべき状態」「そろい」に近い使われ方をしています。そこから外れている、つまりいつもの並びが崩れている。それが be out of sorts の指す状態です。
特徴は、原因を特定しないところにあります。体調なのか、気分なのか、集中力なのか。どれとも言い切れない不調をまとめて伝えられるため、病名を挙げるほどではない日の説明にちょうど収まります。
程度は軽めです。寝込むほどではなく、機嫌が悪いと言い切るほどでもない。本調子より一段だけ下がった状態を表します。主語は人が基本ですが、チームや職場全体の空気にも使えます。日常会話でも仕事の場でも浮かない、使いやすい表現です。
【ここがポイント!】
- 核にあるのは、そろっていたものが欠けて並びが崩れた状態
- 体調・気分・集中力のどれとも決めずに不調を伝えられる一言
- 深刻さは控えめ。重い不調には別の表現を選ぶのがコツ
『メンタリスト』S04E23のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
被害者が勤めていた金融会社での聞き込みを終え、ビルの外に出た直後の場面です。この日のジェーンは、相手の名前を取り違えるなど、普段なら外さない読み取りを続けざまに空振りさせています。様子の違いに気づいたリズボンが声をかけますが、ジェーンの返し方には、話を広げさせない働きがあります。どの言葉で会話を切り上げるかに注目です。
Lisbon: What’s going on, Jane?
(どうしたの、ジェーン)Jane: Nothing. Oh, I may be a little out of sorts, but it’s nothing serious.
(なんでもない。少し調子が出ないだけだよ。大したことじゃない)Lisbon: Wanna get something to eat?
(何か食べていく?)Jane: No, I think I might take the rest of the day.
(いや、今日はもう上がるよ)Lisbon: You sure?
(本当に?)Jane: Yeah, I’m gonna get a cab. I’ll see you tomorrow, Lisbon.
(ああ、タクシーを拾う。また明日、リズボン)The Mentalist Season4 Episode23 (Red Rover, Red Rover)
シーン解説と心理考察
ジェーンが最初に返すのは Nothing. の一語です。そこへ言い直すように out of sorts を足すところに、この場面の組み立てが表れています。何もないと言い切れば嘘になるが、事情を話す気もない。その中間に置ける言葉として選ばれていると言えます。
a little という限定と、but it’s nothing serious. という打ち消しが前後に添えられている点も見どころです。不調は認めるが深刻ではない、という枠に自分から収めることで、リズボンが踏み込む余地を先に塞いでいます。
対するリズボンは、食事に誘い、本当に大丈夫かと二度確かめます。問い詰めるのではなく同席の提案から入るところに、この二人の距離の取り方が出ています。それでもジェーンはタクシーを拾うと言って一人になる道を選びました。原因を言わずに済ませられる一語が、説明を避けたい側にとってどれだけ都合がよいか。短いやり取りの中に、それがそのまま残っています。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
文字を一つずつ仕切って並べた箱を思い浮かべてみてください。いつもは決まった場所に決まったものが入っているのに、今日はどこかが欠けている。壊れてはいないので、見た目は普段と変わりません。それでも、いつもの手つきでは目当てのものが取り出せない。
ビルを出たジェーンは、まさにその状態にあります。読み取りの腕が消えたわけではなく、並びが乱れているだけ。だからこそ本人も「大したことじゃない」と言えてしまいます。欠けているのは一つだけ、けれど確かに欠けている。その手触りが be out of sorts です。
例文で覚える「be out of sorts」
深刻ではない不調を、原因を決めずに伝えられる表現です。三つの場面で、どのくらいの重さで使えるのかを見てみましょう。
I’ve been a little out of sorts all morning. I think I just need more sleep.
(午前中ずっと調子が出ないんだ。単に寝不足かもしれない)
出社した同僚に、軽く近況を伝える場面です。a little を添えると、心配をかけすぎずに状態だけを共有できます。
The whole team seemed out of sorts after the schedule changed.
(スケジュールが変わってから、チーム全体がどこか噛み合っていなかった)
振り返りの会議で、その期間の空気を説明する場面です。集団の状態にも使えるため、誰か一人のせいにせずに事実を置けます。
A: Are you okay? You’ve been quiet since lunch.
B: I’m fine, just a bit out of sorts today. It’ll pass.
(A:大丈夫? 昼から静かだけど)
(B:平気だよ、今日はちょっと調子が出ないだけ。じきに戻る)
心配してくれた相手に短く答えて、話を切り上げる場面です。劇中のジェーンと同じく、説明を長くしたくないときに収まりのよい返し方になります。
あわせて覚えたい関連表現
under the weather
(体調が優れない)
不調の中でも体の側に軸があり、風邪気味や二日酔いなどに使われます。be out of sorts は気分や集中力まで含むため、原因を体に限定しない点が違います。
not oneself
(いつもの自分ではない)
本来の姿との差を指す言い方で、意味の重なりは大きい表現です。ただし深刻な変化にも使えるため、be out of sorts より幅が広く、重い場面にも届きます。
off one’s game
(本調子が出ない)
仕事や競技で実力を発揮できていない状態を指します。be out of sorts が体調と気分を含む全体の話なのに対し、こちらは成果の出方に焦点があります。
Note|sorts はもともと何を指していたのか
be out of sorts の sorts が何を指しているのか、意味から逆算しようとすると行き止まりになります。「種類から外れている」では、調子が出ないという意味にたどり着けません。
手がかりの一つは、sort という語がかつて「状態」「境遇」を表していたことにあります。古い英語には、人の置かれた様子を sort で言い表す使い方があったとされ、この流れをくむ言い方だと説明されます。もう一つ、活版印刷の現場に由来するという説も広く語られてきました。活版印刷では、活字を一文字ずつ仕切った箱に収めて管理し、その一本一本を sort と呼びます。組版の途中で e や s のように使用頻度の高い活字を切らすと、作業はそこで止まります。必要な活字が足りない状態、つまり out of sorts が、そのまま仕事にならない状態を指すようになった、という筋書きです。
どちらが本筋かは決着していません。印刷説は絵として分かりやすく、印刷所の言い回しが一般語になった例も実際にあるため支持されてきましたが、表現が使われ始めた時期との兼ね合いから、後になって結びつけられた説明だとする見方もあります。
興味深いのは、どちらの説をとっても「そろっているべきものが欠けている」という絵に行き着く点です。状態のそろい方が崩れているのか、活字が一本足りないのか。壊れてはいないが、そのままでは動かない。be out of sorts が重い不調に使われない理由も、この絵から説明がつきます。
足りないのは一つだけ。それでも、いつもの仕事は進まなくなります。
まとめ|ジェーンが言葉を濁した理由
be out of sorts が指すのは、原因のはっきりしない軽い不調です。体調とも気分とも決めずに、いつもの自分との差だけを伝えられる言い方だと言えます。
この一言があると、調子が出ない日の説明が楽になります。病名を挙げる必要も、嫌なことがあったと打ち明ける必要もありません。相手に心配をかけすぎず、それでいて普段どおりではないことは伝わります。
劇中のジェーンは、その便利さを使って会話を切り上げました。言葉を尽くしたくない日のために、表現の引き出しに加えてみてください。


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