「be someone’s strong suit」の意味と使い方|『メンタリスト』S02E21で学ぶ英会話

「be someone's strong suit」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

自分の苦手を人に伝えるとき、能力そのものを否定するようで言い方に迷った経験はありませんか。

そんなときに使えるのが「be someone’s strong suit」で、〜の得意分野である、という意味です。『メンタリスト』シーズン2第21話の中盤、荒らされた被害者宅で、床下の金庫から出てきた品を前にジェーンが亡き夫の性格を言い当てる場面に登場します。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。

目次

「be someone’s strong suit」の意味とニュアンス

be someone’s strong suit
意味:〜の得意分野である、〜の強みである

suit はトランプの組、つまりスペードやハートといった一色を指す語です。strong suit は手札の中で枚数が多く、勝負をかけられる組を意味します。そこから、その人が力を発揮できる領域を指す言い方になりました。

特徴は、複数ある能力の中の一つとして語られる点です。全体を評価するのではなく、いくつかある持ち札のうちどれが厚いかを示す。だからこそ、否定形にしても人格否定になりません。

実際の会話では not someone’s strong suit の形が圧倒的に多く使われます。Patience isn’t my strong suit. と言えば、忍耐は苦手だと認めつつ、他の面までは否定していない響きになります。

肯定形は自己紹介やプレゼンで使え、Data analysis is our strong suit. のように組織の強みも表せます。

【ここがポイント!】

  • 核はトランプの組、手札の中でいちばん厚い一色というイメージ
  • 全体ではなく持ち札の一つを指すので、否定しても角が立ちにくい表現
  • 実際の会話では not my strong suit の形で苦手を伝えるのが定番

『メンタリスト』S02E21のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

被害者の自宅が荒らされ、床下から隠し金庫が見つかります。中に入っていたのは安物のチェス盤と漫画本、それに数枚の書類だけ。妻のダフネは金庫の存在すら知らされていませんでした。夫が何を隠していたのか見当もつかない、と繰り返す彼女に、ジェーンが静かに一言を挟みます。

Lisbon: Did Noah ever mention the safe?
(ノアが金庫の話をしたことは?)

Daphne: No. Never. This was his house before we got married. I just moved my stuff in.
(一度もありません。ここは結婚前から彼の家で、私は荷物を運び込んだだけなので)

Jane: Volunteering information wasn’t Noah’s strong suit.
(自分から話すのは、ノアの得意分野ではなかったようだね)

Lisbon: Well, we think whatever the killer was looking for wasn’t in the safe.
(犯人が探していたものは、金庫の中にはなかったと見ています)

The Mentalist Season2 Episode21

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シーン解説と心理考察

ジェーンの一言は、責めても慰めてもいません。夫が妻に何も話していなかったという事実を、性格の説明として置き直しているだけです。ところがその置き直しが、聞いている側の位置を変えます。知らなかったのは妻の落ち度ではなく、そもそも話す人ではなかった、という筋になるからです。

ダフネの側は、結婚前からの家だから、荷物を運び込んだだけだから、と説明を重ねています。知らなかったことへの言い訳が積み上がりかけていた場面で、その連鎖を断ち切る働きをしているのがこの一言です。

同時に、この表現の選び方そのものが効いています。秘密主義の人だった、と言えば故人への評価になりますが、strong suit を使えば、持ち札のうちの一枚が薄かったという話に収まる。亡くなった人の欠点を、責めない形で口にする配慮が見えます。穏やかな表現の裏で、夫婦の間にあった沈黙の大きさが静かに立ち上がってくるところが見どころです。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

手札を扇形に広げたところを思い浮かべてみましょう。スペードが五枚、ハートは一枚きり。この人にとって勝負できる一色はスペードで、それが strong suit です。得意分野とは、配られた札の中でいちばん厚みのある色のこと。逆に一枚しかない色で勝負を挑めば負けるので、先に not my strong suit と宣言しておくわけです。

金庫の前で立ち尽くすダフネに向けて、ジェーンは亡き夫の手札を広げてみせました。話すという札が、そこにはほとんど入っていなかった。カードの絵柄と一緒に覚えると、この表現のやわらかさまで一緒に残ります。

例文で覚える「be someone’s strong suit」

否定形で苦手を伝え、肯定形で強みを示す。両方の使い方を三つの場面で見てみましょう。

Patience has never been my strong suit.
(忍耐は昔から私の得意分野じゃない)
自分の性格を打ち明ける場面です。never been とすると、昔からそうだったという長さが加わります。

Data analysis is our team’s strong suit.
(データ分析は、うちのチームの強みです)
提案の場で自社の売りを述べる場面です。肯定形にすると、そのまま自己紹介の一文として使えます。

A: Sorry, I’ve completely forgotten your colleague’s name.
B: Don’t worry. Remembering names isn’t my strong suit either.
(A:すみません、同僚の方のお名前をすっかり忘れてしまって)
(B:気にしないでください。名前を覚えるのは私も得意じゃないので)
相手の失敗をやわらげる場面です。either を添えると、自分も同じだと並んでみせる言い方になります。

あわせて覚えたい関連表現

someone’s forte
(得意分野、十八番)
フランス語由来のややあらたまった語です。strong suit のほうが会話向きで、forte は文章や自己紹介文で見かけます。

be good at
(〜が得意だ)
最も中立的で万能な言い方です。strong suit には複数ある能力の一つという含みがあり、比較の視点が入る点が違います。

be not one’s cup of tea
(好みではない)
苦手を伝える点は近いものの、こちらは能力ではなく好みの話です。not my strong suit は実力、not my cup of tea は嗜好を指します。

Note|手札の中でいちばん厚い一色

得意分野を suit という語で表すのは、考えてみれば不思議な言い方です。この比喩の出どころは、カードゲームの遊び方にあります。

suit はトランプの四つの組を指す語で、strong suit は手札の中で枚数が多く強い組を意味するとされます。ホイストやブリッジといった、切り札を決めて場を取り合うゲームでは、どの組で勝負を組み立てるかが勝敗を分けます。手札を配られたプレイヤーはまず色ごとに札を並べ、いちばん厚い一色を見つける。そこを軸に戦えば勝ち筋が立ち、薄い色で無理をすれば取られる。この判断がゲームの中心にあるため、勝負できる領域という発想が言葉として独立していきました。同じ発想から生まれた long suit も、枚数の多い組を指す語で、比喩としては strong suit とほぼ同じ意味で使われます。カード用語が日常語に移った例は英語に多く、follow suit(先例にならう)も同じ suit から生まれた言い方です。

こう見てくると、not my strong suit がなぜ角の立たない言い方なのかがわかります。薄い色が一つあっても、手札そのものが悪いわけではない。勝負する場所を選んでいるだけ、という含みが最初から入っているからです。

苦手を認める言葉が、負けを認める言葉になっていない。そこにこの表現の使い勝手があります。

まとめ|苦手を一色で示すという作法

be someone’s strong suit は、能力全体ではなく、その中の一領域を切り出して示す表現です。手札の中の一色という比喩が、そのまま使い勝手のよさにつながっています。

会話に入れておくと、苦手の伝え方に余裕が出ます。できませんと言い切る代わりに、そこは得意じゃなくて、と置ける。相手の失敗をやわらげるときにも、自分の薄い色を先に見せることで場が和みます。肯定形にすれば、強みを押しつけがましくなく伝える一文にもなります。

劇中のジェーンは、亡くなった人の欠点をこの言い方で口にしました。責めずに言い当てる一手として、表現の引き出しに加えてみてください。

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