海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『メンタリスト』シーズン3第21話には、ある名前を思い出させるための授業の場面が描かれています。授業では記憶が収納にたとえられ、その語りの中に、思い出せずに焦る人へかける一言と、記憶の中を探す動詞が、さまざまな言い方でいくつも並びます。
ごちゃごちゃになった記憶の言い表し方、落ち着かせる声かけ、探す動詞の順に、作中の言い回しを1つずつ見ていきます。
「willy-nilly」記憶を暗い収納に放り込むたとえ
教室で「Hello, class.」と語りかけられたあと、記憶が思い出しにくい理由が、収納のたとえで語られます。
— It takes everything that happens to you and throws it all willy-nilly into a big, dark closet.
(身に起きたことを何でも、手当たり次第に、大きくて暗い納戸へ放り込んでしまう。)
The Mentalist Season3 Episode21 (Like a Redheaded Stepchild)
willy-nilly は「手当たり次第に」「でたらめに」を表す副詞です。整理されないまま物が放り込まれる様子を、1語で伝えています。everything that happens to you は「身に起こること全部」を指し、記憶の対象に区別をつけない言い方になっています。
closet は、アメリカ英語では服や物をしまう作り付けの収納を指す語です。ここでは big, dark と重ねることで、奥に何が入っているのか見渡せない収納を思わせます。throws ~ into … という動詞の組み合わせも、丁寧にしまうのとは逆の、放り込む動きを表しています。
このたとえには、探したいものを取り出せない理由が、中身が乱雑だからだという筋立てが含まれています。思い出せない状態を、記憶が消えたのではなく、しまい方の問題として描いています。
「Don’t panic」と「it is still there」慌てる相手を落ち着かせる
続いて、探し物が見つからない状態に向けた一言が出てきます。思い出せずに焦る人に向けた声かけに当たるのが、この部分です。
— You can’t find what you need, but don’t panic, because it is still there. Now if we may, my lovely assistant and I will help you rummage through your magic closets.
(必要なものが見つからなくても、慌てないで。それはまだそこにあるのだから。さて、よろしければ、私の愛すべき助手と私が、君たちの魔法の納戸をかき回すのをお手伝いしよう。)
The Mentalist Season3 Episode21 (Like a Redheaded Stepchild)
最初の You can’t find what you need は、見つからない状況を先に認める部分です。what you need は「必要なもの」で、ここでは名前を指していると読み取れます。そのうえで but don’t panic と、慌てないよう呼びかけます。don’t panic は命令形の短い言い方で、相手が焦っているときに使われることの多い表現です。
理由を示す because it is still there が、落ち着かせる言葉に説得力を与えています。it は探しているもの、still は「失われずに残っている」ことを表します。ただ「落ち着いて」と言うのではなく、見つからなくても残っているという根拠を添えることで、探し続ける気持ちを支える形です。
後半の if we may は、許可を求める丁寧な切り出しです。この文には my lovely assistant and I という言い方も入っていて、手伝う側が複数いることを、少しおどけた調子で示しています。help you ~ の形で、探す作業そのものは聞く側が行い、手伝う側は補助に回ると表されている点も読み取れます。
「rummage through」「start digging」「let your mind go」記憶を探す動詞の並べ方
授業が進むと、探す動作を表す動詞が次々に出てきます。1つ目は、名前が見つかるまでの作業を促す台詞です。
— Somewhere in there lurks a name, so start digging and sorting and pulling things out, and weeding through.
(その中のどこかに名前が潜んでいる。だから、掘って、仕分けて、引っ張り出して、より分けていってほしい。)
The Mentalist Season3 Episode21 (Like a Redheaded Stepchild)
lurks は「潜んでいる」を表す動詞で、見えないところに何かがひそんでいる語感があります。続く digging(掘る)、sorting(仕分ける)、pulling things out(引っ張り出す)、weeding through(より分ける)は、どれも収納の中身を扱う動作です。先ほどの rummage through(かき回して探す)と合わせると、探す作業が、かき回す、掘る、仕分ける、取り出す、選り分けるの順に並んでいることが分かります。
weeding は、もともと雑草を抜く作業を表す語です。ここでは不要なものを取り除きながら選り分ける動作を表している、と読み取れます。
もう1つは、連想を広げるよう促す台詞です。
— Just let your mind go wherever it wants.
(心が行きたいところへ、自由に行かせてみて。)
The Mentalist Season3 Episode21 (Like a Redheaded Stepchild)
let your mind go は、考えを無理に絞り込まず、自由に動かすよう促す言い方です。wherever it wants は「行きたいところならどこへでも」を表します。掘る、仕分けるといった動作に加えて、力を抜いて連想を任せる探し方も、この授業の中では並べて語られています。
まとめ|焦る相手には、見つかる前提で声をかける
don’t panic と it is still there は、思い出せずに焦る相手を落ち着かせる言い回しでした。willy-nilly や rummage through は、乱雑さと探す動作を言い分ける語彙です。
次に観るときは、探すことを表す動詞がどんな順で並ぶかに注目すると、場面の言葉遣いがより立体的に見えてきます。
このエピソードの英語表現は、ほかのコラムやフレーズ記事でも扱っています。


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