「cover all one’s bases」の意味と使い方|『メンタリスト』S06E04で学ぶ英会話

「cover all one's bases」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

相手が何を求めているか分からない状況で、あらかじめ複数の選択肢を用意しておいたことはありませんか。ちょっとした気配りのつもりが、あとから振り返ると相当な用意周到さの表れだった、ということもあります。

そんなときに使える「cover all one’s bases」を、『メンタリスト』シーズン6第4話の中盤、初対面に近い相手との待ち合わせに、コーヒーを三種類そろえて現れる男のシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「cover all one’s bases」の意味とニュアンス

cover all one’s bases
意味:抜かりなく備える、あらゆる可能性に手を打つ

野球で守備側が全ての塁(base)を守り切るという状況の比喩から、想定されるあらゆる事態に備えて手を打っておくことを表す表現です。

one’s の部分は主語に合わせて my / your / his と変わります。cover all the bases のように the を使う形も一般的で、意味の違いはほとんどありません。進行形の I’m just covering my bases. は、自分の慎重すぎる行動を軽く弁明するときの定番の言い方です。

ビジネスの場面から日常会話まで幅広く使われ、慎重で周到な人物像を一言で言い表したいときにも選ばれます。響きとしてはおおむね肯定的で、やりすぎだと責めるより、隙がないと認める方向に傾きます。

近い発想の表現に hedge one’s bets がありますが、こちらは複数の選択肢に賭けて損失を防ぐという計算高さが前に出ます。cover all one’s bases の軸にあるのは損得ではなく、漏れがないかどうかです。どちらに転んでも得をしたいのか、どこを突かれても困らないようにしたいのか、という目的の違いだと考えると区別しやすくなります。

【ここがポイント!】

  • 野球の守備陣形がそのまま「隙のない備え」のイメージになった表現
  • 慎重さ・用意周到さを肯定的に評価する響きを持つ一言
  • 相手の出方を先読みして複数の準備をしておく場面で使うのがコツ

『メンタリスト』S06E04のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

国土安全保障省の捜査官カークランドが、FBI捜査官のスミスをカフェに呼び出す場面です。ほとんど面識のない相手を前に、カークランドはコーヒーをブラック、ミルク入り、ミルクと砂糖入りの三種類そろえて現れます。何気ない世間話のようなやり取りの中に、この人物の流儀がこぼれ出ます。

Kirkland: I have black, milk… and milk and sugar.
(ブラック、ミルク入り…それとミルクと砂糖入り、用意した)

Smith: I’ll take whatever you don’t want. You always this thorough?
(あなたが要らない方でいいですよ。いつもそんなに用意周到なんですか?)

Kirkland: I like to cover all my bases.
(抜かりなくやるのが好きでね)

Smith: Milk and sugar.
(じゃあミルクと砂糖で)

The Mentalist Season6 Episode4 (Red Listed)

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シーン解説と心理考察

コーヒーを三種類用意するという行為の裏に、相手の好みという小さな不確実性さえ先回りしてつぶしておく姿勢が透けて見えます。相手が何を選んでも成立する状態をあらかじめ作っておく。この一点だけで、カークランドの仕事のやり方が要約されていると言えます。

問いかけへの返しも軽く、自分の周到さを誇るわけでもなく、癖のようなものとして片づけています。この温度の低さが、かえって手練れの印象を強めています。

一方のスミスも、素直には選ばず、相手が要らない方でいいと返しています。自分の好みを先に明かさず、余った方を取るという形で、こちらも主導権を渡していません。結局そのあとで自分の好みを言う流れになるのですが、この短い応酬に、互いに探り合う関係がすでに現れています。

この直後、話は相手を勧誘する本題へと移っていきます。三種類のコーヒーは単なる気配りではなく、相手の反応を観察するための場づくりでもあった。何気ない小道具が人物像の伏線として働く、よくできた導入になっています。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

野球のダイヤモンドを頭に描いてみてください。一塁、二塁、三塁、そして本塁。そのすべてに守備の選手が張りついていて、どこへ打球が飛んでも誰かの手が届く状態が cover all the bases です。

逆に言えば、一つでも空いている塁があれば、そこを突かれます。守る側にとって怖いのは強い打球ではなく、誰もいない場所に落ちる打球なのです。

カークランドが三種類のコーヒーを並べたのも、相手がどれを選んでも空きが出ないようにした、という同じ発想でした。テーブルの上に並んだ三つの紙コップを、守備位置についた選手に置き換えてイメージすると、この表現が持つ隙のなさの感覚がそのまま残ります。

例文で覚える「cover all one’s bases」

仕事の準備から日常のちょっとした慎重さまで、幅広く使える表現です。自分の行動を説明するときにも、誰かの準備ぶりを評するときにも使えます。三つの例文で使い方の幅を見てみましょう。

I brought both a printed copy and a digital file — just covering all my bases.
(紙のコピーとデジタルファイルの両方持ってきたよ。念のため抜かりなくね)
会議前に複数の形式を用意しておいた場面です。just を添えると、やりすぎかもしれないと自分で認める軽さが出て、押しつけがましくなりません。

She studied every possible interview question to cover all her bases.
(面接で聞かれそうな質問を全部想定して、抜かりなく準備した)
第三者の準備の周到さを語る場面です。to 不定詞で目的として置くと、その行動が何のためだったのかがはっきり伝わります。

A: Why did you bring an umbrella? It’s sunny.
B: Just covering my bases.
(A:なんで傘持ってきたの?晴れてるのに)
(B:念のためってやつ)
慎重すぎる行動を軽くからかわれた場面です。進行形で短く返すと、いちいち説明しない開き直りの軽さが伝わります。理由を並べ立てるより、この一言で片づけた方が会話のテンポも保てます。

あわせて覚えたい関連表現

leave no stone unturned
(あらゆる手段を尽くす、隅々まで調べ尽くす)
石を一つ残らずひっくり返すという絵から生まれた表現です。cover all one’s bases が起きる前の備えに軸を置くのに対し、こちらはすでにある対象を調べ尽くすという行動の徹底さを表します。

play it safe
(安全策を取る)
リスクを避けて無難な選択をするという、やや消極的な言い方です。複数の可能性すべてに手を広げる cover all one’s bases とは、動きの向きが逆になります。守りに入っていると評される場合もあります。

hedge one’s bets
(リスクを分散する、両にらみにする)
賭けや投資で複数に張って損失を防ぐという由来を持ち、計算高さが前に出ます。周到さを素直に肯定できる cover all one’s bases に対し、こちらはどっちつかずだと批判的に使われることもあります。

Note|野球の「塁」が慣用句になるまで

アメリカ英語には、野球から生まれた言い回しが数多く根づいています。right off the bat(初っ端から)、touch base(連絡を取る)、ballpark figure(おおよその数字)。どれも競技場を離れて、日常の会話やビジネスの現場で当たり前に使われています。

cover all the bases もその一つで、守備側の選手が一塁から本塁までのすべてを守り切るという状況に由来するとされています。ここで鍵になるのは、野球の守備が「打球がどこへ飛ぶか分からない」という前提の上に組み立てられている点です。攻撃側は狙う場所を選べますが、守る側は選べません。だからこそ、起きる場所を特定できない事態に対してあらかじめ人を配置しておく、という発想が形になりました。この構造がそのまま、日常の準備を語る比喩として通用したわけです。

他のスポーツ由来表現と比べても、この表現は守備範囲が広いのが特徴です。契約書の確認から旅行の持ち物まで、対象を選ばずに使えます。ドラマのシーンでコーヒー三種という些細な場面に使われても違和感がないのは、この幅の広さゆえです。

野球にあまり馴染みのない地域でも通じるのは、比喩の元になった状況が「取りこぼしのない配置」という抽象的な形にまで薄まっているからだと言えます。競技のルールを知らなくても、意味だけが独立して伝わる段階に来ている表現です。

競技場の陣形が、そのまま仕事の流儀を語る言葉になっています。

まとめ|備えの周到さを一言で表す英語

cover all one’s bases は、全ての塁を守り切る野球の陣形という具体的な絵から生まれた、抜かりない備えを表す表現でした。

会議の準備でも、面接対策でも、傘を持って出るかどうかでも、相手や状況の出方を先読みして複数の手を打っておく場面ならそのまま使えます。周到さを肯定的に語れる一言なので、自分の行動を説明するときにも、誰かの仕事ぶりを評するときにも収まりよく働きます。

just covering my bases. と進行形で短く返す形を覚えておくと、慎重すぎると言われたときの軽い返しとしてすぐに使えます。

どこに打球が来ても大丈夫な陣形を思い浮かべながら、会話のレパートリーに加えてみてください。

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