「go to ground」の意味と使い方|『メンタリスト』S01E17で学ぶ英会話

「go to ground」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

ある日を境に、ぱたりと連絡が取れなくなった人。事情を察して、こちらから追うのをやめた。そんな経験はありませんか。

そんなときに使えるのが「go to ground」で、身を隠す、姿をくらます、という意味です。『メンタリスト』シーズン1第17話の後半、山へ逃げ込んだ容疑者の捜索状況が報告されるCBIのオフィスで、ジェーンが捜索の見通しに水を差す場面に登場します。どのように使われているのか、一緒に見ていきましょう。

目次

「go to ground」の意味とニュアンス

go to ground
意味:身を隠す、姿をくらます、潜伏する

ground はここでは地面そのものではなく、地面の下にある隠れ場所を指しています。追われている動物が巣穴に潜り込み、地上の追跡がそこで途切れる。その情景から生まれた言い回しです。

含まれているのは二つあります。ひとつは、追跡から逃れるためという動機。もうひとつは、しばらく出てこないという持続です。うっかり連絡が途絶えたのではなく、隠れると決めて、そのまま動かない。その状態を指します。

完了形で使われることが多いのも特徴です。He’s gone to ground. と言えば、すでに消えていて今も見つかっていない、という状況がひと息で伝わります。

主戦場は、逃亡犯や指名手配者について語る犯罪報道です。スキャンダルのあとで人前から消えた人物にもよく使われます。日常会話では、締め切り前に連絡を絶つといった比喩として、少しおおげさな冗談めかした使い方をされることがあります。

【ここがポイント!】

  • 核は「追われた動物が巣穴に潜り、追跡がそこで途切れる」という絵
  • 偶然の音信不通ではなく、隠れると決めて動かない状態を指す
  • He’s gone to ground. の完了形で、消えたまま今も不明という状況が伝わる

『メンタリスト』S01E17のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

証拠不十分で釈放された元従業員のスケリングが、捜査の動きを聞きつけて山へ姿を消します。CBIは指名手配をかけ、地元警察と公園管理局を動員して捜索に入りました。オフィスに戻ったリズボンが状況を尋ね、リグスビーが必ず捕まえると答えます。その勢いに、ジェーンが冷や水を浴びせます。

Lisbon: Any word on Skelling?
(スケリングの件、何か入った?)

Rigsby: A couple of potential sightings in the Mt. Whitney area. Locals and park services are all over it. We’ll get him.
(ホイットニー山の周辺で目撃情報が2件。地元警察と公園管理局が総出で当たっています。必ず捕まえますよ)

Jane: I doubt it. Skelling’s in his element up there — his survivalist fantasy life come true. He’s gone to ground like a grizzly bear.
(どうかな。あそこは彼の庭みたいなものだよ。サバイバル生活の夢がかなったようなものだ。グリズリーみたいに、もう地面の下に潜っている)

The Mentalist Season1 Episode17(Carnelian, Inc.)

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シーン解説と心理考察

ジェーンの見立ては、捜査への批判ではなく人物観察の披露として響きます。スケリングは元レンジャー隊員で、サバイバル志向の暮らしを長く続けてきた人物。山岳地帯は彼にとって不利な逃亡先ではなく、最も力を発揮できる場所になります。

比喩の選び方に、それがよく表れています。追い詰められて震えている小動物ではなく、グリズリーが引き合いに出されました。逃げ込んだのではなく、そこに棲んでいる。追う側と追われる側の力関係が入れ替わっていることが、この一語に重なっています。

I doubt it. という短い切り出しも効いています。総出で当たっていますという報告に対し、根拠を並べる前にまず結論から入る。そのうえで理由を三つ重ねていく順序が、ジェーンの確信の強さをやわらかく見せています。

もっとも、この見立ての土台にあるのは、スケリングは犯人ではないというジェーン自身の確信です。捕まえたい相手ではないからこそ、逃げ切る姿を悠々と語れる。捜査に前のめりなチームと、一人だけ別の景色を見ている男という空気があります。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

追われたキツネが野原を走り抜け、最後に地面の穴へ潜り込む場面を思い浮かべてみましょう。猟犬も人も、その先へは入っていけません。地上での追跡はそこで止まり、キツネは自分が出ていくと決めるまで安全でいられます。

劇中では、その穴が山ひとつぶんの広さでした。捜索隊が総出で入っても、地の利は逃げた側にあります。lie low が地上で姿勢を低くすること、go underground が組織ごと地下に潜ることだとすれば、go to ground はその中間。地上・巣穴・地下という三段で並べておくと、似た表現と混ざらなくなります。

例文で覚える「go to ground」

報道でも、職場でも、冗談まじりの宣言としても使えます。三つの例文で、その幅を見ていきましょう。

After the story broke, he went to ground and no one has heard from him since.
(報道が出てから彼は姿を消して、以来誰も連絡が取れていない)
渦中の人物の消息を話題にする場面です。この表現が最も自然に出てくる、報道寄りの使い方になります。

I’m going to ground until this deadline is over. Don’t expect replies.
(締め切りが終わるまで潜るよ。返信は期待しないで)
仕事が立て込んで連絡を絶つと同僚に伝える場面です。比喩として使うと、おおげさな言い方をあえて選んだ冗談として響きます。

A: Any luck reaching him?
B: No. He’s gone to ground since the audit started.
(A:連絡ついた?)
(B:いや。監査が始まってから雲隠れしてる)
連絡の取れない相手について同僚と話す場面です。since と組むことで、いつから消えたのかがはっきり伝わります。

あわせて覚えたい関連表現

lie low
(目立たないようにする、しばらくおとなしくしている)
姿を消すまではいかず、人前に出る頻度を下げる程度を指します。今回の表現のほうが、姿が完全に見えなくなります。

go underground
(地下に潜る、非合法の活動に入る)
政治運動や組織が当局の目を逃れて活動を続ける含みが強い言い方です。今回の表現は活動の継続ではなく、動きを止めて隠れることを指します。

drop off the radar
(消息が途絶える、把握できなくなる)
見失った側の視点で語る言い方で、本人に隠す意図があるとは限りません。今回の表現は、本人の意図が前提になります。

Note|イギリスの狩り場から来た言い回し

go to ground の ground が地面ではなく巣穴を指しているのは、この表現がイギリスの狩猟の語彙から来ているためだと説明されることが多くなっています。

キツネ狩りでは、追われたキツネが巣穴に逃げ込むことを go to ground と言い、その巣穴のほうは earth と呼ばれてきました。地面を意味する二つの語が、どちらも「地中の隠れ場所」という特殊な意味を担わされていたことになります。同じ狩り場から来た表現は他にもあります。追い詰められて反撃の姿勢を取ることを表す at bay、においをまいて追跡をかわす throw someone off the scent。英語の追跡と逃走の語彙は、かなりの部分が狩りの現場に根を持っています。

出自を反映してか、使われ方には地域の偏りが見られます。イギリスの新聞では、批判を浴びた政治家が姿を見せなくなったことを go to ground と書くのはごく普通の書き方です。一方アメリカ英語では、同じ状況に lie low や go underground が選ばれることが多く、go to ground は犯罪報道やその周辺の文脈に寄って響きます。劇中でこの一語が出てくるのも、山中に消えた逃亡者を語る場面でした。

同じ英語でも、どの狩り場を通ってきたかで言葉の手触りは変わるようです。

まとめ|追う側と、追われる側が入れ替わるとき

go to ground が指しているのは、隠れるという行為そのものよりも、追跡がそこで止まるという結果です。姿が見えなくなり、こちらの手が届かなくなる。その状態を三語で言い切れるところに、この表現の便利さがあります。

会話に入れておくと、連絡の取れない相手について語るときの言い方がひとつ増えます。報道の中の逃亡者にも、社内で姿を消した誰かにも、締め切り前の自分自身にも使えて、深刻さは場面のほうが決めてくれます。

劇中のジェーンは、総出の捜索を前にして、逃げた側の勝ちだと言い切りました。追う人数がどれだけ増えても、巣穴の中までは届かない。捜査の熱気と、それを冷ややかに眺める一人の視線が並んだ場面でした。

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