海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
仕事だと言い張っている相手の顔に、どう見ても楽しみが混じっている。そんな瞬間を横から突いてみたくなる場面が、ドラマには時々あります。
その突っ込みに使われたのが「play the ponies」でした。『メンタリスト』シーズン3第5話の中盤、競馬場へ向かうと決めたリズボンに、ジェーンが横から一言投げかけるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「play the ponies」の意味とニュアンス
play the ponies
意味:競馬をやる、馬券を買う
pony は本来「小型の馬」を指す語ですが、競馬の話題ではサイズに関係なく競走馬を指すくだけた呼び方になります。play the ponies で、馬券を買って競馬を楽しむことを表します。
動詞に bet でも ride でもなく play が選ばれているところが、この表現の性格をよく示しています。勝ち負けの計算よりも、一日を過ごす娯楽としての側面が前に出ます。週末の予定として口にすれば、気軽な誘い文句になります。
一方で、文脈次第では少し身を持ち崩した響きも帯びます。誰かの浪費癖を語る場面で使えば、遊びに慣れた人という含みが立ちます。軽さと危うさのどちらにも転べるところが、この表現の幅といえます。
【ここがポイント!】
- pony は体格ではなく、賭けの対象としての競走馬を指すくだけた呼び方
- bet ではなく play を使うことで、勝負より娯楽の側面が前に出る一言
- 誘い文句にも浪費の指摘にもなる。前後の文脈で温度を読み取るのがコツ
『メンタリスト』S03E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
消えた2万ドルと日曜の大レースが結びつき、見習い騎手に動機がある可能性が浮かびます。競馬場へ向かうと決めたリズボンに、ジェーンがすかさず横から茶々を入れる場面です。
Lisbon: The apprentice. You think getting to ride could be motive? Let’s ask her.
(見習い騎手ね。乗る権利が動機になると? 本人に聞きましょう)Jane: Are you sure you just don’t wanna go to play the ponies?
(本当は競馬をやりに行きたいだけなんじゃないのかい?)Lisbon: No playing. Strictly business.
(遊びじゃありません。あくまで仕事です)Rigsby: Sheepdip. I grew up around horses. I could come with if you–
(そんなあ。俺、馬に囲まれて育ったんですけど。よかったら一緒に…)The Mentalist Season3 Episode5 (The Red Ponies)
シーン解説と心理考察
捜査の方針が固まった直後に、ジェーンが本筋とは関係のない一言を差し込みます。相手の動機を疑ってみせるこの茶々の入れ方に、彼らしい揺さぶりが表れています。
受けたリズボンの返しが見どころです。彼女は play という語だけを拾い、No playing と否定してから Strictly business と言い切ります。相手の使った単語をそのまま打ち返す形になっているため、遊びと仕事の線引きが会話の温度を変えています。公私を混ぜない人物像が、二語で立ち上がる場面です。
さらにそこへリグズビーが同行を願い出て、あっさり流される。三人の距離感が数秒で示され、チームの空気がそのまま伝わってきます。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
play the ponies を思い浮かべるとき、鞍にまたがる自分ではなく、スタンドで馬券を握りしめている自分を想像してみましょう。遊んでいるのは馬ではなく、馬を使って一日を過ごしている人間のほうです。動詞が play である理由は、この立ち位置にあります。
もう一つの手がかりが、pony という語の小ささです。実際に走るのは大型の競走馬なのに、呼び名は「小さな馬」のまま。手のひらに乗るくらいの軽い響きと、実際に動く金額との落差が、この表現の記憶の引っかかりになります。劇中でリズボンが play を否定して仕事だと言い直すため、この語の軽さが会話の中で二度強調される作りになっています。
例文で覚える「play the ponies」
娯楽としての響きが基本にある表現です。三つの場面で温度の違いを見てみましょう。
My grandfather used to play the ponies every Saturday.
(祖父は毎週土曜に競馬をやっていた)
家族の思い出を語る場面です。used to と組み合わせると習慣として穏やかに響き、批判めいた含みは出ません。
He lost most of his savings playing the ponies.
(彼は競馬で貯金の大半を失った)
知人の失敗談を伝える場面です。同じ表現でも、失ったものと並べて置くだけで、遊びの軽さが一気に危うさへ傾きます。
A: Any plans for Saturday?
B: A few of us are going to play the ponies. Come along– you don’t have to bet.
(A:土曜って何か予定ある?)
(B:何人かで競馬に行くんだ。来なよ。賭けなくてもいいから)
友人を誘うやりとりです。賭けは任意だと添えることで、競馬に不慣れな相手にも声をかけやすくなります。
あわせて覚えたい関連表現
bet on the horses
(馬に賭ける)
賭ける行為そのものを指す中立的な言い方です。play the ponies にある遊び慣れた響きがないため、事実だけを説明したい場面ではこちらが向いています。
have a flutter
(ちょっと賭けてみる)
イギリス英語で、少額を気軽に賭けることを指します。play the ponies がアメリカ英語寄りなのに対し、こちらは対岸の言い方として並べて覚えられます。
hit the track
(競馬場に行く)
場所へ向かう行為が中心で、賭けるかどうかまでは含みません。play the ponies が賭けることまで含むのに対し、行き先だけを伝えたいときに使えます。
Note|賭けの言い方に出るイギリスとアメリカの距離
同じ競馬を語るのに、大西洋を挟んで選ばれる言葉は違います。アメリカでは play the ponies、イギリスでは have a flutter が代表的な言い方です。
flutter はもともと、羽ばたきや小刻みな震えを指す語でした。そこから「ちょっと手を出してみる」という意味が生まれたとされ、金額の小ささと気まぐれさが最初から言葉に含まれています。イギリスでは競馬やサッカーくじへの少額の賭けが生活文化として根づいており、街角の賭け屋に立ち寄る行為をこの語で軽く表現します。対する play the ponies は、賭ける金額の大小に触れません。競馬場という場所で一日を過ごすこと全体を指すため、日常の寄り道というより行楽に近い輪郭を持ちます。
世代による差も見えます。play the ponies はやや古風な響きを帯びており、年配の話者や、往年の映画・小説の語り口として現れることが多い表現とされています。若い世代が同じ内容を言うなら、bet on a race のような直接的な言い方や、オンライン賭博を前提とした語彙が選ばれる場面も増えています。
ジェーンがこの言い回しを選んだことには、からかいの調子とともに、少し芝居がかった古風さも混じっています。リズボンが即座に否定したくなるのも無理はありません。
言葉の産地と年代を意識すると、同じ意味の表現が並ぶ理由が見えてきます。
まとめ|スタンドで馬券を握る側の言葉
play the ponies は、馬券を買って競馬を楽しむことを表すアメリカ英語のくだけた言い方です。動詞に play が選ばれていることで、勝ち負けよりも娯楽としての側面が前に出ます。
週末の予定を話すとき、誰かを誘うとき、あるいは人の浪費癖を軽く指摘するとき。同じ一言が場面によって軽くも危うくも響くため、前後の文脈ごと覚えておくと使いどころを外しません。イギリス英語の have a flutter を隣に置けば、賭けを語る言葉の幅がひと組で手に入ります。
pony という小さな響きと動く金額の落差を思い出しながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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