海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
顔を合わせたらすぐに火花が散りそうな二人が、同じ場所に集まる。そんな場面を前にして、先行きが心配になったことはありませんか。
そんなときに使える「be at each other’s throats」を、『モダンファミリー』シーズン7第5話の前半、パーティーの招待客をめぐって、キャメロンがミッチェルに不満をぶつける場面から、一緒に見ていきましょう。
「be at each other’s throats」の意味とニュアンス
be at each other’s throats
意味:激しくいがみ合う、つかみかからんばかりに争う
be at each other’s throats は、二人以上の人が、互いに激しく争っている状態を表す表現です。throat は「のど」を意味する語で、at は「〜に向かって」という向きを示します。互いののどもとに迫り合うほど、対立が激しい様子を言い表した形です。
実際に首をつかむという意味ではなく、口論や対立が激しく続いていることを、のどもとのイメージで表す比喩です。意見の食い違いが静かに続いている状態ではなく、言い争いがぶつかり合う状態に使います。
形の面では、each other’s のあとの throats が複数形になる点が目印です。争う側がそれぞれ一つずつののどを持つので、主語は複数になります。they や the two brothers のように、二人以上を主語に置いて、be at each other’s throats と続けます。
一方が他方に食ってかかる場合は、単数形の be at someone’s throat という形もあります。互いに争う場合は each other’s を使い、throats と複数形にします。
使える場面は、きょうだいげんか、職場の対立、仲の悪い二人を同席させる状況などです。争う二人の関係が主題になるので、争いの原因は over ~ や about ~ を添えて示します。
日本語に置き換えるときは、「激しくいがみ合う」「つかみかからんばかりに争う」「犬猿の仲で衝突する」のように、争いの激しさが伝わる言葉を選びます。
【ここがポイント!】
- 「be at each other’s throats」の核は、互いののどもとに迫り合うほど対立が激しいイメージ
- 実際の暴力ではなく、口論や対立が続く状態を表す比喩の表現
- each other’s のあとは throats と複数形にして、主語は二人以上にするのがコツ
『モダンファミリー』S07E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ミッチェルとキャメロンが、パーティーに呼ぶ人のことでやり取りする場面です。ミッチェルが自分の判断を説明すると、キャメロンは皮肉を交えながら、集まりの先行きを案じます。今回のフレーズは、キャメロンの最初の発言に出てきます。
Mitchell: What was I supposed to do? I mean, he was all sad and pathetic and broken.
(僕にどうしろっていうんだ。だって彼、すっかり悲しそうで、みじめで、打ちのめされてたんだよ。)Cameron: Oh, well, yes, the perfect addition to any party. They are gonna be at each other’s throats and ruin the whole night. Come on, Lily. Thanks to you, we are throwing the antisocial event of the season.
(ああ、そうだね、どんなパーティーにもぴったりの追加メンバーだ。あの二人はいがみ合って、夜を台無しにするよ。行くよ、リリー。君のおかげで、今シーズン一番の人が寄りつかないパーティーになりそうだ。)Mitchell: Cam.
(キャム。)Cameron: No, I’m late and I’d like to leave on that.
(いや、僕は遅れてるから、この辺で失礼するよ。)Modern Family Season7 Episode5 (The Verdict)
シーン解説と心理考察
ミッチェルの「What was I supposed to do?」は、自分の判断を弁明する一言です。続く「he was all sad and pathetic and broken」は、その場にいない人物について語る言葉で、判断の理由を相手に伝えています。
キャメロンの返しは、「the perfect addition to any party」という褒め言葉の形で始まります。ただ、同じ発言の中に「ruin the whole night」と続くので、これは皮肉として響きます。「They」はレイモンドとジェイマーカスの二人を指していて、この二人が顔を合わせれば be at each other’s throats になる、というのがキャメロンの見立てです。
そのあとキャメロンはリリーに「Come on」と声をかけ、話の向きを切り替えます。「Thanks to you」は感謝の言葉の形をとりながら、責任はミッチェルにあると示す言い方です。「antisocial event of the season」という大げさな言い回しも、不満の大きさを表しています。
ミッチェルは「Cam」と呼びかけますが、キャメロンは遅れていることを理由に、その場を切り上げます。言いたいことを言い切ったところで、話を引き延ばさずに区切る運びです。キャメロンの発言は、ミッチェルの「僕にどうしろっていうんだ」に対する答えにもなっています。相手の様子を理由に挙げるミッチェルと、その先の結果を見通すキャメロンの視点の違いが、短いやり取りの中でぶつかり合っています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
be at each other’s throats は、向かい合った二人が、互いののどもとをにらみ合う姿を思い浮かべて覚えられます。距離は近く、視線は相手の急所に向いています。穏やかな会話の距離ではなく、ぶつかる寸前の距離です。
キャメロンの「They are gonna be at each other’s throats」は、パーティーの夜に顔を合わせた二人が、向かい合ってにらみ合う光景を言葉にしたものです。続く「ruin the whole night」は、その光景の行き着く先を述べています。
誰かと誰かが険悪な空気で向き合う場面を見かけたら、「のどもとで向かい合う二人」を思い出してみてください。ぶつかる寸前の近さが、この表現の勢いと結びつきます。
例文で覚える「be at each other’s throats」
激しい対立を伝える場面で使う be at each other’s throats を、3つの例文で確認していきましょう。
If we seat them at the same table, they’ll be at each other’s throats all night.
(あの二人を同じテーブルにしたら、一晩中いがみ合うよ。)
席順を決める日常の場面です。主語の they に続けて、争いが続く時間を all night で示しています。
The two companies were at each other’s throats for years over the patent.
(その特許をめぐって、2社は何年も激しく争った。)
企業間の対立を述べるビジネスの場面です。for years で期間を、over the patent で争いの原因を添えています。
A: Are the kids still fighting?
B: Yes, they’re at each other’s throats again. Can you help me out?
(A:子どもたち、まだけんかしてるの?)
(B:うん、またいがみ合ってるの。手伝ってくれる?)
子ども同士のけんかに疲れた家庭の会話です。again を添えると、争いが繰り返されている様子まで伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
at odds with someone
(〜と意見が合わない、対立している)
at odds with は、意見や立場が食い違っている状態を表します。be at each other’s throats は、そこから先の、言い争いがぶつかり合う激しさまで含む言い方です。
butt heads
(真っ向からぶつかる)
butt heads は、意見や性格が正面からぶつかることを表します。be at each other’s throats が、争いが続く状態を描くのに対し、こちらは衝突の一場面にも使える言い方です。
get along
(仲良くやる)
get along は、反対に、互いに穏やかに付き合えることを表す基本の表現です。be at each other’s throats と並べると、関係の良し悪しを対にして言い分けられます。
Note|「のど」が「争い」を表す be at each other’s throats の成り立ちと形
be at each other’s throats は、のどという体の一部を使った表現です。ここでは、文字どおりの意味と比喩の関係、そして each other’s の形に注目して整理します。
throat は、辞書の上ではまず「のど」を指す語です。at は「〜に向かって」を示す前置詞で、be at ~ で「~に向かっている状態にある」という形になります。つまり文字どおりには「互いののどもとに向かっている」という像になり、この像が、口論や対立が迫り合うほど激しいという比喩につながります。
形のうえでは、each other’s が「互いの」を表し、throats が複数形になる点が決め手です。二人が互いののどを狙う構図なので、のどは二つ、つまり複数形です。一方が他方にだけ向かう場合は、at someone’s throat と単数形になります。
シーンのキャメロンは、They are gonna be at each other’s throats と、二人を主語に置いて言っていました。主語が二人以上だから、each other’s throats の形が自然に収まっています。
のどもとに向かい合う像と、複数形の throats。この二つを結びつけておくと、形を取り違えにくくなります。
まとめ|二人の相性を案じる一言を英語で
be at each other’s throats は、二人以上の人が互いに激しく争っている状態を表す表現です。文字どおりの暴力ではなく、のどもとに迫るほどの口論や対立を、比喩で言い表します。
each other’s のあとは throats と複数形にして、二人以上を主語に置きます。at odds with や butt heads と並べておくと、対立の強さに合わせて言い分けられます。
キャメロンの一言には、パーティーの夜に二人が顔を合わせた先を言い当てるような見立てが込められていました。相性の悪い二人を前に、先行きを案じる場面を思い出すと、この表現の使いどころが掴みやすくなります。


コメント