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忙しい相手にお願いごとをするとき、「少しだけ時間をいただけませんか」とどう切り出せばよいか、迷うことがあります。
そんな場面で使える「carve out some time」を、『モダンファミリー』シーズン10第20話の後半、マニーが自分の書いた詩のために時間を頼む場面から、一緒に見ていきましょう。
「carve out some time」の意味とニュアンス
carve out some time
意味:時間を捻出する、時間を割く
carve out some time は、ほかのことで埋まっている中から、ある程度の時間を確保する表現です。carve は「彫る」、out は「外へ」で、全体を直訳すると「いくらかの時間を彫り出す」になります。
大切なのは、空いている時間を見つけるのではなく、予定の詰まった中から意識して切り出す、という含みです。そのため、頼む側が使えば「忙しいところ恐縮ですが、時間を割いていただけませんか」という丁寧な依頼になり、自分で使えば「何とか時間を作る」という決意の表現になります。
some time の some は「いくらか」という意味で、具体的な長さを言わずに、ある程度のまとまった時間を表します。長さをはっきり伝えたいときは、carve out an hour のように some time の部分を入れ替えます。
後ろには、時間の使い道を for のあとの名詞か、to のあとの動詞で添えます。今回のシーンでは、for a poem I’ve written と続いて、時間の使い道が詩であることを示しています。
【ここがポイント!】
- carve out some time は、詰まった予定の中から時間を切り出して確保する表現
- 頼む側も、自分で時間を作る側も使える
- 時間の使い道は、for + 名詞か to + 動詞で後ろに添える
『モダンファミリー』S10E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
式で司式をする人に向けて、マニーが自分で書いた詩のために少し時間を頼みます。詩については、2つの作品名を挙げて説明します。マニーの頼みに続けて、「詩はいらない」という反対の声が上がります。
Manny: Uh, whoever’s officiating, if you can carve out some time for a poem I’ve written. It’s sort of a “Beowulf” meets “You’ve Got Mail.”
(えーと、どなたが司式をされるにしても、僕が書いた詩のために少し時間を割いてもらえませんか。『ベオウルフ』と『ユー・ガット・メール』を足して割ったような作品です。)— Oh, God, no! No poems!
(うわ、やめて! 詩はいらない!)— No!
(だめ!)Modern Family Season10 Episode20 (Can’t Elope)
シーン解説と心理考察
マニーの頼み方は、丁寧な言葉づかいが目立ちます。冒頭の Uh は言いよどみで、続く whoever’s officiating は「どなたが司式をされるにしても」と、司式をする人が誰であっても届くようにした言い方です。if you can で、頼みを控えめに切り出しています。
if you can carve out some time という形にも、頼みの丁寧さが表れています。「時間を割いてもらえるなら」と条件の形にして、相手に断る余地を残しています。詩を披露したいという願いを、押しつけではなく、お願いの形に整えているわけです。
そのあとの説明は、詩の中身に入る前の紹介になっています。2つの作品名を並べて「足して割ったような作品」と言うことで、詩の雰囲気を聞き手に伝えようとしています。
It’s sort of a “Beowulf” meets “You’ve Got Mail.” の sort of は、言い切りをやわらげる言い方です。meets は「〜と出会う」という意味で、2つの作品が出会ったもの、つまり掛け合わせた作品だという紹介の型になっています。
一方、返ってくるのは「うわ、やめて! 詩はいらない!」「だめ!」という短い声です。丁寧に長く頼んだ側と、一言で断る反対の声の対照が、この場面の温度差になっています。控えめな依頼の言い方だった carve out some time が、反対の声の短さと並ぶことで、いっそう丁寧に聞こえてきます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
carve は、彫刻刀で木や石を削って形を作る動作を表す動詞です。形のある物を削り出すこの動きを、時間という形のないものに当てはめたのが、この表現です。
忙しい予定表を、ひとかたまりの木材に見立てます。何もしなければ、予定で隅まで埋まった材のままです。そこへ彫刻刀を入れて、必要な分だけの時間をくり抜いて取り出す、という作業が carve out の動きになります。余った時間を使うのではなく、あえて削って作る時間だという点が、find time との違いです。
マニーの頼みも、この形で読むと意味が取りやすくなります。「式を進める時間の中から、僕の詩のぶんだけ、時間をくり抜いてもらえませんか」という依頼だとつかめます。切り出すという動きが、相手の時間を分けてもらう申し出になるので、頼みの言い方として丁寧に響きます。
例文で覚える「carve out some time」
面談の依頼、予定の調整、仕事と家庭の両立を題材にした、3つの例文です。
Could you carve out some time for a quick chat this week?
(今週、ちょっと話せる時間を取ってもらえますか?)
忙しい相手に面談を頼む場面です。劇中のマニーは if you can の条件の形で頼んでいましたが、Could you で始めても、丁寧な依頼の言い方になります。this week のように期限の範囲を添えると、頼む時間の見通しが相手に伝わります。
A: Are you busy tomorrow?
B: Pretty much, but I can carve out some time after lunch.
(A:明日は忙しい?)
(B:かなりね。でも昼食のあとなら時間を作れるよ。)
忙しい中で予定を合わせる会話です。I can のあとに置くと、「何とか都合をつけられる」という申し出の言い方になります。after lunch のように時点を示すと、切り出す時間の位置がはっきりします。
She carved out some time for her kids between two meetings.
(彼女は2つの会議の合間に、子どもたちのための時間を作った。)
仕事と家庭を両立する人の話をする場面です。過去形の carved になっても、for のあとに時間の使い道が来る形は変わりません。between two meetings が、詰まった予定の隙間から切り出した、という点を補っています。
あわせて覚えたい関連表現
make time
(時間を作る)
make time は、優先して時間を作る場合に広く使える表現です。carve out は、予定が詰まった中から切り出す感じが強くなります。
find time
(時間を見つける)
find time は、空いている時間を見つけるイメージの表現です。carve out は、空いていない中から作るという違いがあります。
spare some time
(少し時間を割く)
spare some time は、相手に「少しの時間をいただけますか」と頼む、丁寧な言い方です。carve out よりも、依頼の場面に偏ります。
Note|「彫る」が「時間を割く」になる、carve の比喩の読み方
carve out some time の carve は、辞書では「彫る」「刻む」を意味する動詞です。本来は木や石のような、形のある物に使います。時間のように形のないものに使うと、比喩として読むことになります。
比喩の中身は、詰まった全体から一部を切り出すという動きです。予定でいっぱいの時間の中から、必要な分だけを切り取って、自分のものとして取り分ける、というイメージが carve out には残っています。単に「持つ」や「見つける」ではなく、切り出す動作が含まれているところが、この動詞の持ち味です。
日本語に訳すときは、この切り出すという動きを、場面に合わせた動詞で表します。頼む場面なら「時間を割いてもらえませんか」、自分で都合をつける場面なら「時間を作る」「時間を確保する」「時間を捻出する」と訳せます。マニーの一言は頼む側の発言なので、「割いてもらえませんか」の形がなじみます。
訳語が「割く」「作る」「確保する」と揺れても、予定の詰まった中から切り出すという核は変わらないので、そこを軸に日本語を選べば迷わずに済みます。
まとめ|詰まった予定から、時間を切り出す
carve out some time は、予定の詰まった中から、ある程度の時間を切り出して確保する表現です。for + 名詞か to + 動詞で、時間の使い道を後ろに添えます。
劇中のマニーは、司式をする人へ向けて、詩のための時間を丁寧に頼みました。頼む側の言い方としても、自分で時間を作る側の言い方としても使える点が、この表現の幅です。
相手の忙しさに配慮しながらお願いをしたい日や、自分の予定の中から時間を確保したい日にも、そのまま使える表現です。


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