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『モダンファミリー』シーズン8第10話では、フィルの父フランクが新しい交際相手ローレインを連れてやって来ます。ローレインは、フィルが子どもの頃のベビーシッターでした。落ち着かないフィルは、父とどう向き合うかに悩みます。
真面目な話を切り出しても、相手にかわされることはよくあります。この回には、避けたい気持ちを伝える言い方から、冗談の型に本音を乗せる返しまでがそろっています。
「We don’t talk. We riff.」という家族の流儀
フランクとローレインが来てから、フィルはなかなか二人の前に姿を見せません。ローレインがそれを気にかけると、フランクはフィルを昔から wanderer(ふらりといなくなる人)だったと受け流します。一方のクレアは、フィルをつかまえて問いかけます。
Claire: What is the plan, honey? Are you just gonna avoid them?
(で、どうするの? このまま二人を避けるつもり?)Phil: I just need a minute to get comfortable with this, okay?
(この状況に慣れるまで、ちょっと時間が欲しいだけなんだ、いいだろ?)Modern Family Season8 Episode10 (Ringmaster Keifth)
avoid は「人を避ける」で、just gonna ~ は「このまま〜するだけ?」と相手の消極的な態度を問う形です。フィルの need a minute to ~ は「〜するのに少し時間が要る」で、get comfortable with ~ は「〜に慣れる、〜を受け入れられるようになる」を表します。断りではなく、気持ちの整理に猶予がほしいと伝える一言です。
続けてフィルは、自分の家族の話し方をこう説明します。
Phil: You know we don’t talk in my family.
(うちの家族は話し合いをしないだろ。)Phil: We riff.
(掛け合いをするんだ。)Phil: We do bits.
(ネタをやるんだよ。)Modern Family Season8 Episode10 (Ringmaster Keifth)
ここでの talk は、ただ話すことではなく「腹を割って話す」ことです。riff は即興で言葉を重ねていくこと、do bits は決まったネタやお約束の掛け合いをすることを指すくだけた言い方です。真面目な話を冗談で済ませてしまう親子関係が、三つの短い文で伝わってきます。
遠回しに切り出し、核心に触れる
フィルの言い分には、背中を押す言葉が返ってきます。
— That is last year’s Phil talking.
(それは去年のフィルの言い分でしょ。)— In the spirit of living more dangerously, why don’t you take an emotional risk and and try and have an honest conversation with your father?
(もっと大胆に生きるって心意気で、気持ちの面で思い切って、お父さんと正直に話してみたら?)Modern Family Season8 Episode10 (Ringmaster Keifth)
take an emotional risk は「気持ちの面で思い切る」、have an honest conversation with ~ は「〜と正直に話をする」です。why don’t you ~? は提案の定番の形と言えます。
その後フランクと話したフィルは、心配する理由はなかった(no reason to be worried)と一度は安心します。ところがクレアから、フランクのポケットに指輪の箱らしきものを感じたと聞かされます。フィルが父に切り出すのは、フランクがクレアを話題にした場面です。
Frank: It’s like I said in my wedding toast that bride of yours is fearless.
(結婚式の乾杯のあいさつで言ったとおりだ、お前の花嫁は怖いもの知らずだな。)Phil: Yeah.
(ああ。)Phil: Funny thing is, we went to an amusement park earlier today and she was too scared to get on this one ride.
(おかしなことに、今日遊園地に行ったら、クレアがある乗り物を怖がって乗れなかったんだ。)Phil: Or she pretended to be so that I wouldn’t have to admit how scared I was.
(いや、俺がどれだけ怖がってるか認めずに済むように、怖がるふりをしてくれたのかも。)Phil: I have a hunch that she’s not the only one who’s trying to protect my feelings today.
(今日、俺の気持ちを守ろうとしてるのはクレアだけじゃない気がするんだ。)Frank: You seem to be rambling, son.
(話がとりとめないぞ、息子よ。)Modern Family Season8 Episode10 (Ringmaster Keifth)
フィルは遊園地の話から入り、I have a hunch that ~(〜という気がする)で核心に近づきます。pretend to be ~ は「〜のふりをする」で、ここではクレアがフィルのために怖がってみせたのかもしれない、というフィルの見立てを表しています。protect one’s feelings は「人の気持ちを傷つけないようにかばう」です。フランクの You seem to be rambling は「話がとりとめない」と指摘して、話題をそらす返しになっています。
遠回しな前置きが通じないと見ると、フィルは具体的な話に踏み込みます。
Phil: When you hugged Claire earlier, she felt a ring box in your pocket.
(さっき父さんがクレアをハグしたとき、ポケットに指輪の箱があるのを感じたって。)Frank: What? That wasn’t a ring box.
(何だって? あれは指輪の箱じゃない。)Modern Family Season8 Episode10 (Ringmaster Keifth)
前置きで相手の気持ちに触れてから、事実を挙げて確かめるという順序です。フランクの What? は驚いてみせる一言で、すぐに否定へつなげています。
「Can we please not do this?」への返し
やり取りが続いたあと、フランクははっきりと話を止めようとします。そこでフィルが選んだのは、自分の家族はネタをやると話していたとおりの、冗談の型でした。
Frank: Son, can we please not do this?
(なあ、この話はやめにしないか?)Phil: Fine.
(分かったよ。)Phil: Knock, knock.
(ノック、ノック。)Frank: That’s more like it.
(そうこなくちゃ。)Frank: Who’s there?
(どなた?)Phil: Your son.
(あなたの息子。)Frank: Your son, who?
(どこの息子?)Phil: Your son who’d hate to think you threw away a shot at happiness just to protect his feelings.
(自分の気持ちを守るためだけに、父さんが幸せになるチャンスを捨てたなんて思いたくない息子さ。)Modern Family Season8 Episode10 (Ringmaster Keifth)
can we please not do this? は「この話はやめにしよう」と真面目な話題を避けたいときの言い方です。フィルの Fine. でいったん引いたように見え、フランクの That’s more like it.(そうこなくちゃ)は、いつもの調子に戻ったことを歓迎する返しと読み取れます。
ノックノック・ジョークは、Knock, knock. に Who’s there? と応じ、名乗られた言葉に ~, who? と聞き返したところで落ちを言う言葉遊びです。英語圏では子どもにもなじみのある型と言われます。フィルはこの型の最後に、throw away a shot at happiness(幸せになるチャンスを捨てる)という言葉で本音を乗せました。かわされた話を、相手が受け止めやすい形で届け直す工夫が見どころです。
まとめ|冗談の型に本音を乗せる
get comfortable with で気持ちの整理を願い、I have a hunch that で遠回しに切り出し、can we please not do this? とかわされたらノックノック・ジョークの型で返す流れです。言いにくい本音の届け方が、父と息子のやり取りから見えてきます。
『モダンファミリー』を観ながら、冗談の裏にある言葉にも耳を澄ませてみると、会話の味わいが深まります。
家族で万一のときを話し合う英語や、元日の集まりの英語は同じ回のほかのコラムで、個々の表現の使い方はフレーズ記事で読めます。


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