海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン4第8話では、学力コンテストに出場するアレックスにクレアが付き添います。ところがアレックスは途中で敗退し、応援していたクレアとの間で言い合いが始まります。
子どもの活躍に親が自分を重ねてしまう様子は、英語ではどんな言葉で表されるのでしょうか。娘の側からの鋭い指摘と、母親自身が認める言葉の両方から、場面の順に見ていきます。
「whoo」を動詞にした抗議
大会の会場では座席用のクッションが1日分と2日分で売られていて、クレアはその買い方が娘にどう伝わるかまで気にしています。そこへ、答えを間違えたアレックスがやって来ます。
Claire: Alex! I guess I just didn’t want to presume that we would be here for the two days.
(アレックス! まあ、2日間ずっとここにいるって決めつけたくなかっただけなのよ。)Claire: But still, what kind of message was I sending with the 1-dayer?
(でも、1日券じゃ私はどんなメッセージを送ってたことになるのかしら。)Alex: You “whoo’d” me?
(私に「フー!」ってやった?)Claire: What are you doing here?
(ここで何してるの?)Alex: I’m out.
(敗退したの。)Alex: I got the question wrong, which is embarrassing enough without you “whoo-ing” me!
(問題を間違えただけでも恥ずかしいのに、ママに「フー!」ってやられるなんて!)Modern Family Season4 Episode8 (Mistery Date)
whoo は歓声の「フー!」を表す言葉ですが、アレックスはこれを動詞にして You “whoo’d” me?、without you “whoo-ing” me と使っています。英語では、こうした間投詞を動詞のように使う崩した言い方もあり、ここでは「間違えたのに歓声を上げられた」という恥ずかしさを一語で言い表しています。
I’m out. は競技やゲームで「脱落した、負けた」を伝える短い言い方です。which is embarrassing enough without ~ は「〜がなくても十分恥ずかしいのに」という意味で、前の文全体を which で受けて不満を上乗せする形になっています。
その後、クレアは娘の失敗について説明を始めます。
Claire: She clearly misheard the question.
(あの子、どう見ても問題を聞き違えたのよ。)Claire: The acoustics in here are terrible.
(ここ、音響がひどいんだもの。)Modern Family Season4 Episode8 (Mistery Date)
mishear は「聞き違える」で、mis- が付くと「誤って〜する」の意味になります。失敗の理由を会場の音響に求める、苦しい弁明と言えます。clearly(明らかに)を添えて言い切っているところにも、娘の失敗を認めたくない気持ちがにじんでいます。
「You were trying to help you」で本音を突く
この説明をきっかけにしたやりとりのあと、クレアとアレックスの言い合いは核心に向かいます。
Claire: I’m trying to help you.
(あなたを助けようとしてるのよ。)Alex: You were not.
(違うでしょ。)Alex: You were trying to help you.
(ママは自分を助けようとしてたの。)Alex: You’re just mad because now you can’t parade me around like some show pony.
(私をショー用のポニーみたいに見せびらかして回れなくなったから、怒ってるだけでしょ。)Modern Family Season4 Episode8 (Mistery Date)
アレックスはクレアの I’m trying to help you. をほぼそのまま繰り返し、目的語の you を「ママ自身」に置き換えて返しています。同じ文の形を借りて意味だけをひっくり返すことで、「助けたいのは私ではなく自分でしょう」という指摘がはっきり伝わる返し方です。
parade ~ around は「〜を見せびらかして連れ回す」という意味の句動詞です。show pony は品評会などで見せるために連れ出されるポニーのことで、ここでは「見せ物のように扱われる子ども」のたとえになっています。like some ~ の some は「なんだか〜みたいな」と、たとえに少し突き放した響きを加えています。
娘の成績を自分の誇りとして周囲に見せたい親の気持ちを、アレックスは二つの言い方で言い当てています。どちらも親を責める言葉ですが、一つは文の形を借りた言い返し、もう一つはたとえを使った言い方で、角度の違う二つの指摘になっています。
「I am one of those moms」で自分を言い表す
別の場面で、クレアは大会の問題を聞きながら思わず声を上げ、自分の言葉づかいに気づきます。
Claire: You’re hardly even listening! How could we lose this?!
(ろくに聞いてもいないじゃない! なんでこれで負けるのよ!?)Claire: I said “we.
(「私たち」って言っちゃった。)Alex: Yeah.
(うん。)Alex: You do that sometimes.
(ママ、ときどきそれやるよね。)Claire: I’m so sorry.
(本当にごめん。)Claire: I am one of those moms.
(私、よくいるああいう母親なのね。)Claire: I like it too much when you win.
(あなたが勝つのが好きすぎるの。)Claire: I really love lording it over the other moms.
(ほかのママたちの前で威張るのが、大好きなのよ。)Modern Family Season4 Episode8 (Mistery Date)
娘の出場について we と言ってしまうのは、自分も一緒に戦っている気持ちの表れと読み取れます。one of those + 複数名詞 は「よくいる、あの手の〜」という意味で、名前を挙げなくても聞き手が思い浮かべる型の人を指します。lord it over ~ は「〜に対して偉そうにする、威張る」という意味の言い方です。
I like it too much when you win. は、too much を「好き」の度合いにかけ、「あなたが勝つと、私はそれを好きになりすぎる」と自分の気持ちの行き過ぎを言葉にしています。when you win の部分が条件になっているので、勝ち負けに気持ちが左右されることを本人が認めている文と言えます。先にアレックスが指摘した parade me around の中身を、クレア自身が lord it over という別の言葉で言い直しているのも、読み比べると分かるところです。
Alex: Well, in our house, I’m kind of your only source for that.
(まあ、うちでそれができるのは、私くらいだもんね。)Modern Family Season4 Episode8 (Mistery Date)
アレックスは your only source for that と、自慢の種になるのは自分くらいだと返しています。謝る母親に皮肉まじりで応じるところに、この親子の距離感が見えます。
まとめ|親の入れ込みを表す言葉
parade me around like some show pony や You were trying to help you. は子どもの側からの指摘で、I am one of those moms. や lord it over は親自身の認め方です。同じ出来事を両側の言葉で見ると、表現の違いがよく分かります。
次回も『モダンファミリー』の会話を観ながら、英語表現を一緒に拾っていきましょう。
この回のほかのコラムやフレーズ記事でも、家族それぞれの場面の英語を扱っています。


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