海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン5第11話では、フィルとクレアがそれぞれ子どもに小さなうそをつきます。フィルはルークを社交ダンスの教室へ連れ出すために、クレアはアレックスの運転の練習を断るために、口実を用意します。
うそをつく側の言い方、ばれたあとに責める子どもの言い方、そして事情を持ち出して流れを変える言い方。三つの立場の英語を、場面の順にたどります。
「trick」と架空の予定:方便のうそをつく親たち
フィルは、ルークを連れて行く先について次のように明かします。
Phil: I had to trick Luke ‘cause I’m actually taking him to a ballroom-dance class.
(ルークはだますしかなかったんだ。本当は社交ダンスの教室に連れて行くのさ。)Modern Family Season5 Episode11 (And One to Grow On)
trick someone は「〜をだます」「一杯食わせる」という意味で、悪意のある詐欺よりも、相手を引っかけて思いどおりに動かす場面で使われることが多い語です。I had to ~ と言うことで、ほかに方法がなかったという言い分が込められています。I had to trick ~ と結論を先に言い、‘cause 以下で本当の行き先を付け足す語順になっています。
一方、アレックスから運転の練習を頼まれたクレアは、こう答えます。
Alex: Hey, mom, can you take me driving? My test is coming up, and I really need to practice.
(ねえママ、運転に連れて行ってくれない? 試験が近いから、本当に練習しなきゃいけないの。)Claire: Oh, honey, I would, but I’ve got a big closets and blinds union meeting today.
(あら、そうしたいんだけど、今日はクローゼットとブラインドの組合の大事な会議があるのよ。)Claire: There is no closets and blinds union.
(クローゼットとブラインドの組合なんて、ないわよ。)Claire: Driving with Alex is torture.
(アレックスとの運転は拷問なの。)Modern Family Season5 Episode11 (And One to Grow On)
I would, but ~ は「そうしたいのはやまやまだけど」と断りを和らげる定番の前置きで、そのあとに予定を挙げるのが断り方の基本の形です。クレアはその予定そのものを作り話で用意し、続く There is no ~. で、組合が存在しないことを自分で明かします。このあとヘイリーが代わりを引き受け、クレアが this buys your time and your silence と言って口止めも兼ねるのが、話をさらにややこしくしていくところです。
「This is what you get for lying to me.」うそを責める子ども
ダンスの教室を終えたルークは、もう二度とフィルのうそには引っかからないと言い切ります。ここで使われる fall for ~ は「〜に引っかかる」「〜を真に受ける」という句動詞で、fall for a lie / fall for a trick の形でよく使われます。never ~ again を添えると「二度と〜しない」という強い宣言になります。
その後、警察に車を止められたあとの車の中で、二人はこんなやり取りをします。
Luke: This is what you get for lying to me.
(僕にうそをついた罰だよ。)Phil: What choice did I have? You used to be up for anything.
(ほかにどうしようがあった? 前のお前は何にでも乗り気だったじゃないか。)Phil: Now, no matter what I suggest, it’s no, no, no.
(今じゃ俺が何を言っても、嫌だ、嫌だ、嫌だ。)Modern Family Season5 Episode11 (And One to Grow On)
This is what you get for ~ing は「〜したらこうなるんだ」「〜した報いだ」と、相手の行いと結果を結びつけて責める言い方です。対するフィルの What choice did I have? は「ほかに選択肢があったか?」と、うそをついた理由を相手の態度に求める言い分です。
be up for anything は「何にでも乗り気だ」、no matter what I suggest は「何を提案しても」という意味で、前と今の子どもの態度を比べて、自分の言い分を通そうとする場面と言えます。だます・だまされるの話が、親子の言い合いに変わっていく流れが見て取れます。
「the whole story」:事情を持ち出して場を収める
家族が集まった場で、アレックスとルークは親たちのうそを責め始めます。そこへヘイリーが割って入ります。
Alex: What kind of parents lie to their kids?!
(子どもにうそをつくなんて、どういう親なの?!)Luke: Yeah, what kind of lesson is that to teach all of this?
(そうだよ、それで何を教えようっていうのさ?)Alex: Yeah, seriously, sometimes I want
(ほんとよ、ときどき思うんだけど……)Haley: Hey, neither one of you knows the whole story.
(ちょっと、二人とも本当の事情を知らないでしょ。)Haley: Ah, please.
(ねえ、お願い。)Haley: Let me tell them the truth.
(二人に本当のことを話させて。)Haley: Alex, the real reason mom doesn’t want to teach you to drive is because she doesn’t want you getting your license.
(アレックス、ママがあなたに運転を教えたがらない本当の理由は、あなたに免許を取ってほしくないからなの。)Modern Family Season5 Episode11 (And One to Grow On)
What kind of ~?! は「どういう〜なの?!」と、相手のあり方そのものに疑問を投げつける責め方です。これに対して neither one of you knows the whole story は「どちらも事情を全部は知らない」と、相手の判断の前提を揺さぶる言い方になります。the whole story は「話の全体」を指し、話の流れを変える前置きとして使いやすい表現です。
the real reason ~ is because ~ は「〜の本当の理由は〜だから」と、表向きの理由とは別の事情を示す形です。ヘイリーはさらに説明を重ね、こう締めくくります。
Haley: Sure, you’re getting your license, but she’s losing her little girl.
(そりゃあなたは免許を取るけど、ママは小さな娘を失うことになるの。)Alex: Mom, is that true?
(ママ、本当なの?)Claire: Come here.
(おいで。)Modern Family Season5 Episode11 (And One to Grow On)
アレックスの Mom, is that true? に、クレアは説明ではなく Come here. と一言で応じます。ヘイリーはこのあと、フィルがルークにうそをついた理由についても話を続けます。説明が一段落したところで、フィルがヘイリーの話しぶりについて問いかけ、クレアは「教えて身につくものではない」と返しています。ヘイリーの説明は、場を収める話術だったとも読めます。
責める側の What kind of ~?! と、事情を持ち出す側の the whole story が向き合い、責める流れが別の方向へ変わっていくところが見どころです。
まとめ|うそをつく側、責める側、場を収める側
trick someone や I would, but ~ の口実、fall for ~ と This is what you get for ~ing で責める言い方、the whole story や the real reason ~ is because ~ で事情を持ち出して場を収める言い方を見てきました。同じうそでも、立場によって選ぶ英語は変わります。
次回も『モダンファミリー』の家族の会話から、場面ごとの英語を拾っていきましょう。
ジョーの1歳の誕生日や、ミッチェルとキャメロンの式場探しをめぐる英語は、同じ回のほかのコラムで扱っています。


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