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『モダンファミリー』シーズン3第3話では、学校前に車を停めたクレアが、停車区域の係員から二度にわたって注意を受けます。娘たちには「言い返さずに一段上に立つ」ことを説くクレアですが、その言葉どおりにいかない場面も描かれ、同じ人物の口から正反対の言葉が出てくる回です。
今回はクレアの台詞から rise above を中心に、言い返さない理由の伝え方、我慢が切れるときの言い回し、自分の非を認める言い方を順に見ていきます。
「rise above」で同じ土俵に乗らない
車の中では、同じ数学のクラスになったヘイリーとアレックスが言い合いを始めます。クレアは2人に向けて、こう話しかけます。
Claire: Hon, I realize that this situation is not ideal for either one of you, but sometimes we just rise above things.
(ねえ、この状況が2人にとって理想的じゃないのは分かってる。でもね、ときには気にせず一段上に立つものなの。)Claire: Yes?
(はい?)Circulation Agent: Excuse me.
(すみません。)Circulation Agent: Did you notice the curb here is painted yellow?
(ここの縁石が黄色く塗ってあるのに気づきました?)Claire: Uh, no, I did not.
(えっと、いいえ、気づきませんでした。)Modern Family Season3 Episode3 (Phil on Wire)
rise above は、直訳すると「〜の上に昇る」です。人間関係では、嫌なことや意地悪に同じレベルで反応せず、気持ちの上で一段高いところに立って受け流すという意味で使われます。rise above the criticism(批判を気にしない)のように、後ろに受け流す対象を置く形が基本です。
この言葉の直後に、係員が車の外から声をかけてきます。説いたばかりの教えを、クレア自身がすぐに試される組み立てになっているのが面白いところです。
係員は「Wow.」をくり返し、クレアは「At the risk of surprising you a third time」と前置きして言い返しかけますが、「Move it.」と言われて引き下がります。係員の「Wow.」は、ここでは感心ではなく、あきれた気持ちを示す相づちと読み取れます。At the risk of ~ は「〜を承知で言うと」という前置きで、ここでは相手が2回驚いてみせたことへの皮肉として使われました。
「I should have said nothing」で言い返さない理由を語る
係員とのやり取りのあと、娘たちは不満を口にします。
Alex: What was her problem?
(あの人、何が気に入らないわけ?)Haley: Oh, you know what you should have said to her–
(ねえ、あの人にこう言ってやればよかったんだよ——)Claire: Nothing.
(何も。)Claire: I should have said nothing would be the point.
(「何も言わない」が正解ってこと。)Claire: I have to see her every day.
(毎日あの人と顔を合わせるんだから。)Claire: I mean, why make it worse? That’s exactly what I’m talking about.
(つまり、わざわざこじらせてどうするの?まさにさっきの話よ。)Claire: Awkward, unpleasant situation– Rise above.
(気まずくて嫌な状況——そこで一段上に立つの。)Modern Family Season3 Episode3 (Phil on Wire)
ヘイリーが「こう言えばよかった」と言いかけたところで、クレアは Nothing. と遮ります。I should have said nothing は「言うべきだったのは何もない」という形で、黙っていることこそが正しい返事だったと伝える言い方です。
続く I have to see her every day. と why make it worse? は、言い返さない理由の説明です。毎日顔を合わせる相手とこじらせても得がない、という事情を先に示すことで、ただの我慢ではなく選んだ態度だと分かります。最後の Rise above. は、状況を短く名指ししてから結論を言い切る形で、娘たちへの教訓としてよく効く一言です。
why make it worse? は疑問文の形ですが、答えを求める質問ではありません。「わざわざ悪化させる理由はない」と伝える反語で、もめごとから一歩引くときに使いやすい一言です。
- A: She was so rude to you. You should have said something.
(あの人、すごく失礼だったね。何か言い返せばよかったのに。) - B: Why make it worse? I’ll just rise above it.
(こじらせてどうするの。気にしないでおくよ。)
「do some unloading」と「moral high ground」
別の場面で、クレアは校長からの電話を受けたあと、また係員に声をかけられます。
Circulation Agent: This zone is for loading and unloading, not for talking on the phone.
(この区域は乗せ降ろしのためのもので、電話のためではありません。)Claire: Yeah, I know, but I was talking on the phone to the school that my kids were about to come out of, so
(ええ、分かってます。でも、子どもたちがもうすぐ出てくる学校と電話してたんです、だから)Circulation Agent: Are you aware this zone has a time limit?
(この区域に時間制限があるのはご存じですか?)Claire: N-no, I’m not.
(い、いいえ、知りません。)Circulation Agent: Wow.
(まあ。)Claire: You know what? I do want to do some unloading.
(あのね。こっちもちょっと降ろしたいものがあるんです。)Modern Family Season3 Episode3 (Phil on Wire)
unload は荷物を降ろすことですが、胸にたまった不満や本音を吐き出すという意味でも使われます。係員がくり返す loading and unloading を受けて、クレアは「降ろす」を「ぶちまける」の意味にずらしました。I do want の do は動詞を強める働きで、「本当に〜したい」という気持ちの強さを表します。一段上に立つはずが、ここで我慢の限界を宣言する形になるのが見どころです。
その後、宿題の件で呼び出された娘たちがクレアに謝ります。
Alex: I’m sorry, Mom.
(ごめんね、ママ。)Haley: Me, too.
(私も。)Claire: Oh, I don’t really have a whole lot of moral high ground to stand on.
(ああ、こっちも偉そうに言える立場じゃないの。)Claire: I wasn’t exactly my best self today either.
(私も今日は、あまりいい自分じゃなかったから。)Modern Family Season3 Episode3 (Phil on Wire)
moral high ground は「道徳的に優位な立場」を指し、have the moral high ground で「人を責められる立場にある」という意味になります。not my best self は「本来の自分らしくなかった」と、自分の振る舞いを控えめに認める言い方です。娘たちに説いた rise above と、自分が一段上に立てなかった一日とを、クレア自身が並べてみせる締めくくりと読み取れます。
まとめ|受け流す言葉とこらえきれない言葉
rise above と why make it worse? は、言い返さずに受け流す側の言葉です。一方の do some unloading は我慢が切れる瞬間、moral high ground と not my best self は自分の非を認める場面で使われていました。
受け流す言い方と本音がこぼれる言い方の両方が、一日の出来事の中に並んでいるのが分かります。
同じ回のほかのコラムやフレーズ記事では、ダンフィー家の別の場面の英語を取り上げています。


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