海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン9第5話では、ミッチェルとキャメロンの家の台所の改装を、ミッチェルの父ジェイが引き受けています。ところが工事は予定より遅れ、ミッチェルは父に「クビ」を告げる役目を負うことになります。
相手が家族でも仕事相手でも、解雇の話はなかなか切り出せないものです。遠回しに切り出す側と、それを先回りして言い当てる側、両方の英語をこの回のやりとりから見ていきます。
「We appreciate ~, but」で遅れを切り出す
自宅で暮らし続けるのが難しくなったミッチェルとキャメロンはジェイの家に身を寄せ、改装はジェイが引き継いでいます。現場へ向かうと言うジェイを前に、キャメロンはミッチェルにこう言います。
Cameron: Well, that is how you manage
(まあ、そうやって)
Cameron: to stretch a job until Christmas.
(工事をクリスマスまで引き延ばすわけだね。)
Cameron: Okay, you need to go over there, find out how long this is gonna take.
(ねえ、向こうに行って、あとどれくらいかかるのか聞いてきてよ。)
Cameron: I want my kitchen back.
(僕は台所を返してほしいんだ。)
Mitchell: Okay, uh, Dad? W we appreciate all your hard work, but we’re running a little past schedule.
(えっと、父さん? が、頑張ってくれてるのはありがたいんだけど、予定より少し遅れてるよね。)
Jay: The job is done when the job is done.
(仕事ってのは、終わるときに終わるもんだ。)
Jay: You want it faster, next time, burn down a bookshelf.
(早くしてほしけりゃ、次は本棚でも燃やすんだな。)
Modern Family Season9 Episode5 (It’s the Great Pumpkin, Phil Dunphy)
stretch a job は「仕事を引き延ばす」で、作業がだらだらと長引くことへの皮肉として働きます。キャメロンに促されたミッチェルの切り出し方は、We appreciate all your hard work, but ~ という形です。先に感謝を伝えてから but で本題に入る順序は、苦情や指摘をやわらげる前置きとして広く使われます。
本題の running a little past schedule も、「遅れている」をそのまま言わず、a little を添えることで角が立ちにくくなります。behind schedule と言うよりも控えめに響きます。
一方のジェイは The job is done when the job is done. と、同じ言葉を繰り返して取り合いません。「終わるまでは終わらない」と言い切る形で、期限の話そのものを受け付けない返し方です。続く台詞は、台所が焼けて改装が必要になった事情を引き合いに出した冗談で、ミッチェルの遠慮がちな切り出しは押し返されてしまいます。
「You’re not here to ~, are you?」と「That’s a strong word.」
改装中の家を訪ねたミッチェルは、もう一度話を切り出そうとします。ところが、ジェイのほうが先に用件を言い当てます。
Mitchell: I put things together quickly, unlike your workers, which is, uh, why I’m here.
(僕は物事をすぐにまとめるたちでね、父さんのところの作業員と違って。それで、その、ここに来たんだ。)
Mitchell: Um, Dad, if this is too much for you
(あの、父さん、もしこれが手に余るなら)
Jay: Now, wait a second.
(おい、ちょっと待て。)
Jay: You’re not here to fire me, are you?
(俺をクビにしに来たんじゃないだろうな?)
Mitchell: What? No.
(え? まさか。)
Mitchell: Pfft! That’s a strong word.
(ふっ! それはずいぶんきつい言葉だよ。)
Modern Family Season9 Episode5 (It’s the Great Pumpkin, Phil Dunphy)
ミッチェルの if this is too much for you は「手に余るようなら」と、相手の負担を気づかう形で本題に近づきます。そこへジェイが You’re not here to ~, are you? と付加疑問で切り込みます。否定文に are you? を付けると、「まさか〜じゃないよな」と、半ば察しながら念を押す響きになります。
ミッチェルの That’s a strong word. は、相手が口にした言葉を「強すぎる」と押し返して、核心をかわす言い方です。否定はしているものの、言葉の強さに話をずらしているだけなので、本心をはぐらかす台詞として読み取れます。ジェイはそれを見抜いて、こう続けます。
Jay: I’ve done enough axing in my time to recognize the look.
(人を切るのは散々やってきたからな、その顔を見りゃ分かる。)
Jay: Just do it.
(さっさと言え。)
Mitchell: See, now, I was I was hoping this would be more of a conversation.
(いや、その、僕はもう少し話し合いみたいな感じにしたかったんだけど。)
Jay: Never been much for confrontation.
(昔から、面と向かってやり合うのは得意じゃなかったよな。)
Modern Family Season9 Episode5 (It’s the Great Pumpkin, Phil Dunphy)
axing は axe(おの)から来た口語で、「解雇」や「打ち切り」を指します。recognize the look は「その表情を見れば分かる」という意味です。ミッチェルの more of a conversation は、一方的な通告ではなく話し合いの形にしたいという希望を表し、ジェイの Never been much for ~ は「昔から〜は得意ではない」と相手の性格を言い当てる形です。
「You’re fired!」と「I don’t work here anymore.」
ジェイに背中を押される形で、ミッチェルはついに言葉にします。
Mitchell: You’re fired! Okay?
(クビだ! いいね?)
Modern Family Season9 Episode5 (It’s the Great Pumpkin, Phil Dunphy)
You’re fired! は解雇を告げるもっとも直接的な言い方で、親しい間柄では冗談めかして使われることもあります。実際の職場では We have to let you go. のように、主語を「私たち」にして角を立てない言い回しが選ばれることもあります。ここまで遠回しな言葉を重ねてきたミッチェルが、最後に一番短い形で言い切ることで、場面に区切りがつきます。
工事を終えたあと、台所でまた火が出る騒ぎがあり、ジェイはミッチェルに謝ります。その後のやりとりがこちらです。
Jay: I’m sorry, Mitch.
(悪かったな、ミッチ。)
Jay: I feel really bad.
(ほんとに申し訳ないと思ってる。)
Mitchell: Do you think maybe you could tell Cam?
(それ、キャムに話してもらえないかな?)
Jay: Oh, I don’t work here anymore.
(いや、俺はもうここで働いてないんでね。)
Modern Family Season9 Episode5 (It’s the Great Pumpkin, Phil Dunphy)
Do you think maybe you could ~? は、maybe を挟んで頼みごとをいっそう控えめにする形です。対するジェイの I don’t work here anymore. は、本来は退職した人が「もう担当ではない」と伝えるときに使われます。それを、解雇されたという事情を逆手に取って、気の重い役目を断る口実にしています。
まとめ|解雇を切り出す英語、受け止める英語
遠回しな We appreciate ~, but、かわす That’s a strong word.、言い切る You’re fired! を順に見てきました。先回りする You’re not here to ~, are you? と合わせると、言いにくい話の英語の幅が見えてきます。
父と息子のやりとりを観ながら言葉の選び方を追っていくと、場面の面白さもいっそう伝わってきます。
同じ回のほかのコラムでは、ハロウィンの楽しみ方をめぐる夫婦の会話や、巨大かぼちゃの秋の催しも扱っています。


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