海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
見つけたお得な話を前にすると、「こんな機会は二度とない」と周りを説得したくなるものです。
そんなときに口にしたくなる「deal of the century」を、『モダンファミリー』シーズン7第17話の前半、フィルがクレアにパリ旅行の特価プランを持ちかけるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「deal of the century」の意味とニュアンス
deal of the century
意味:またとない大特価、破格のお買い得
deal of the century は、お得さを大げさに強調する表現です。deal は「取引」や「お買い得品」、of the century は「世紀の」という意味で、直訳すると「世紀の取引」になります。「100年に一度しかないほどの掘り出し物」という誇張が、そのまま日本語の「破格のお買い得」にあたります。
値段が並外れて安いときだけでなく、条件が全体としてとても良いときにも使えます。セールの商品を友人に勧めるときや、旅行やチケットの特価を売り込むときなど、相手を乗せたい場面で使いやすい言い方です。
形としては、the deal of the century と定冠詞の the が付くのが基本です。「世紀にひとつだけ」というほど突出しているので、特定のひとつを指す the が合います。of the century は deal 以外の名詞にも付けて、「世紀の〜」と強調する形に広げられます。
本気で勧めるときにも、冗談めかして言うときにも使えます。実際にはそれほど得ではない話に付けると、売り文句を茶化す言い方にもなります。ほめ言葉なのか冗談なのかは、前後の内容と言い方で読み分けます。日本語に訳すときは、「破格のお買い得」「またとない大特価」「世紀の大特価」の中から、場面の温度に近いものを選びます。
【ここがポイント!】
- 「deal of the century」の核は、「100年に一度」というほど得だと誇張するイメージ
- 値段に限らず、条件全体の良さを大げさに言う表現として使える
- 本気の売り込みにも冗談にもなるので、前後の内容と言い方を見るのがコツ
『モダンファミリー』S07E17のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
フィルが見つけた旅行の特価プランをめぐって、フィルとクレアが話す場面です。フィルが持ちかけたのはパリ3泊のプランで、フライトは翌日の正午、返事までの時間は5分という状況です。クレアが Wait. と話を止めると、フィルはプランの魅力と、休みや子どもたちの予定を順に挙げていきます。そこにアレックスも一言加わります。今回のフレーズは、フィルの最初の言葉に出てきます。
Claire: Wait. You’re not seriously considering this, are you?
(待って。まさか本気で考えてるんじゃないでしょうね?)Phil: It’s kind of the deal of the century. Plus, we’d only miss one day of work. Haley’s with Andy. Luke’s on a ski trip.
(ほら、世紀の大特価みたいなもんだろ。それに、仕事を休むのは1日だけだ。ヘイリーはアンディと一緒だし、ルークはスキー旅行だしさ。)Alex: I don’t matter.
(どうせ私は数に入ってないんでしょ。)Claire: Oh, sweetie, by the time we got there, we would be so messed up on the time change, we would just wander around in, like, a nauseous fog.
(ねえ、向こうに着くころには時差でぼろぼろになって、気持ち悪い霧の中をさまよってるだけよ。)Modern Family Season7 Episode17 (Express Yourself)
シーン解説と心理考察
クレアの Wait. で、会話は一度止まります。続く You’re not seriously considering this, are you? は、付加疑問の形で確かめる問いかけです。this は、フィルが持ちかけたパリ旅行の話を指していて、「本気で考えているわけではないでしょう」という驚きがにじむ場面です。
フィルは It’s kind of the deal of the century. と答えます。kind of が付くことで、「世紀の大特価」という強い言い方に、少しだけ軽さが加わります。そのあと Plus で話をつなぎ、仕事を休むのは1日だけであること、ヘイリーはアンディと一緒であること、ルークはスキー旅行であることを、短い文で並べていきます。短い文を重ねる言い方で、話が次々に進んでいきます。
アレックスの I don’t matter. は、フィルが子どもたちの予定を挙げたあとに続く一言です。ヘイリーとルークの予定は挙がっていますが、アレックスについては出てきません。短い一言が、会話の温度を変えています。
クレアは Oh, sweetie と呼びかけてから、時差のせいで向こうに着くころにはぼろぼろになる、と続けます。so messed up on the time change の so は程度を強める言葉で、a nauseous fog は、頭がぼんやりして気分の悪い状態を霧にたとえた言い方です。フィルの話に対して、旅の現実的な側面を挙げる流れになっています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
頭に置きたいのは、百年に一度しか開かない、バーゲンセールの扉です。century という大きな時間の単位が付くことで、「この機会を逃したら、次は百年後」というほどの特別感が生まれます。
フィルの It’s kind of the deal of the century. は、その扉の前で呼び込みをしているような一言です。kind of で言い方を少し軽くしながら、旅の話を相手の前に差し出しています。
大きな時間の単位でお得さを測る。この発想があれば、数字を並べなくてもお得さが一言で伝わり、of the century の形で出会う他の表現も読み取りやすくなります。
例文で覚える「deal of the century」
お得な話を勧める場面で使う deal of the century を、3つの例文で確認していきましょう。
This sofa is half price today. It’s the deal of the century.
(このソファ、今日は半額なんだ。破格のお買い得だよ。)
買い物の特価を友人に勧める、日常の場面です。half price のように具体的な条件を先に添えると、「お得」の根拠が伝わります。
They offered us a three-year contract at that price. That’s the deal of the century for a small company like ours.
(あの価格で3年契約を提示してくれたんです。うちのような小さな会社には、またとない好条件です。)
取引先の提示内容を社内に説明する、ビジネスの場面です。for a small company like ours が、誰にとっての好条件なのかを示しています。
A: Did you book the flight?
B: Yes! Round trip for $200. It was the deal of the century.
(A:航空券はもう予約した?)
(B:うん! 往復200ドルだったよ。破格のお買い得だった。)
旅行の準備を友人と話す会話です。具体的な金額を挙げたあとに deal of the century を添えて、喜びを強めています。
あわせて覚えたい関連表現
a steal
(信じられないほど安い買い物、掘り出し物)
a steal は、盗んだかのように安いという意味で、値段の安さに焦点があります。deal of the century は、値段に限らず条件全体の良さを大げさに言う点が違います。
a once-in-a-lifetime opportunity
(一生に一度の機会)
once-in-a-lifetime は、二度とない機会という希少性を表します。deal of the century は、取引としての得を強調するところが違います。
a no-brainer
(考えるまでもない選択、迷う余地のないお得な話)
a no-brainer は、迷わず決められることを表します。deal of the century は、それほど得だと誇張して売り込む言い方です。
Note|「名詞 + of the century」の形と、kind of が加える和らげ
deal of the century は、「名詞 + of the century」の型でできています。この型の仕組みと、フィルの台詞にある kind of の働きを整理します。
of the century は、名詞の後ろに付けて「世紀の〜」と強調する形です。the deal of the century のように、the + 名詞 + of the century の順に並べます。the trial of the century(世紀の裁判)や the party of the century(世紀のパーティー)のように、deal 以外の名詞にも付けられます。century の部分が、「同じ時代の中で突出している」という誇張を担っています。定冠詞の the は、「その時代にひとつだけ」というほど突出したものを、特定のひとつとして指す働きです。
フィルの台詞は、It’s the deal of the century ではなく、It’s kind of the deal of the century です。kind of は、「ちょっと」「いわば」という意味で、断定の強さを少し弱めます。日本語にすると、「世紀の大特価だ」と言い切る代わりに、「世紀の大特価みたいなもんだろ」と軽く言う感覚です。kind of が入ると、売り込みの勢いはそのままに、押しつけがましさが減ります。
シーンのフィルは、kind of で軽さを残しつつ、the deal of the century という強い言い方で旅行の魅力を伝えています。名詞の型と和らげの語は、組み合わせて使えます。
型を知っておくと、見慣れない名詞が付いた of the century も読み解けます。
まとめ|「世紀の大特価」と言い切る、軽やかな一言
deal of the century は、お得さを「100年に一度」と誇張する表現です。値段の安さだけでなく、条件全体の良さにも使えます。
買い物の特価を勧めるとき、旅行の話を持ちかけるとき、取引先の好条件を伝えるときなど、相手に「いい話だ」と伝えたい場面で働きます。kind of を前に置けば断定が和らぎ、冗談めかして使いたいときにも向きます。
旅行を持ちかけるフィルと、時差の現実を挙げるクレア。その対比の中で、この一言は旅行の魅力を言い表す役割を担っています。


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