「have nothing to lose」の意味と使い方|『モダンファミリー』S06E14で学ぶ英会話

「have nothing to lose」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

うまくいかなかったあとで、これ以上悪くなりようがないのなら、いっそ思い切って動いてしまおう。そんな場面が、日常にはあります。

そんなときに口にしたくなる「have nothing to lose」を、『モダンファミリー』シーズン6第14話の前半、贈り物をめぐる出来事について、ミッチェルとキャメロンが言葉を交わす場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「have nothing to lose」の意味とニュアンス

have nothing to lose
意味:失うものは何もない、ダメでもともとだ

have nothing to loseは、失って困るものが何もないので、思い切って行動できる、という含みで使う表現です。「これ以上悪くなっても困らない」「失敗してもともとだ」という気持ちを、一言でまとめられます。

組み立ては、nothing(何も〜ない)に、to lose(失うべき)がついた形です。「失うべきものが何もない」という文字どおりの意味から、「ダメでもともとだ」という意味に広がります。話し言葉では、haveの代わりにgotを使って、We’ve got nothing to loseや、くだけた形のWe got nothing to loseと言うこともあります。

後ろにby + -ingを添えると、「〜しても失うものはない」という形になります。You have nothing to lose by trying.は、「試してみるだけなら、失うものは何もない」という意味です。行動の内容を、by以下で具体的に示せます。反対の意味の表現は、have everything to lose(失うものが大きい)です。

この表現は、行動を後押しする文脈と、組み合わせて使います。「失うものがないのだから、やってみよう」という流れです。作中でも、この流れで使われています。

【ここがポイント!】

  • 「have nothing to lose」の核は、失って困るものがないので、思い切って動けるという発想
  • 「ダメでもともとだ」と、行動へ背中を押すときの言い方
  • by + -ingで、何をしても失うものがないのかを具体的に示せる

『モダンファミリー』S06E14のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ミッチェルが「何があったんだ?」とたずねると、キャメロンは、贈り物の包みと、あの奥の様子について事情を説明します。それを受けたミッチェルの返しが、今回のフレーズです。似た包みの贈り物の話が出たあとで、戻って絵(the painting)を取ってくるよう言う、その理由づけに注目してください。

— Okay.
(わかった。)

Mitchell: What happened?
(何があったんだ?)

Cameron: Obviously, there were two gifts wrapped similarly and my eyes were watering from the thick fog of VapoRub back there.
(そりゃあ、似た包みの贈り物が2つあったんだ。しかもあの奥はVapoRubの濃い霧みたいで、目が涙でかすんでたし。)

Mitchell: We got nothing to lose now, so go back and get the painting.
(もう失うものなんて何もないんだから、戻って絵を取ってきてよ。)

Modern Family Season6 Episode14 (Valentine’s Day 4: Twisted Sister)

シーン解説と心理考察

ミッチェルの「何があったんだ?」は、状況をまず聞き出す、シンプルな問いかけです。これに対するキャメロンの答えは、短くありません。似た包みの贈り物が2つあったこと、あの奥はVapoRubの濃い霧のようで目が涙でかすんでいたこと。原因になりそうな事情を、二つ続けて挙げています。

キャメロンの説明の順序に注目すると、まず状況の説明があり、次に自分の目の状態が来ます。「そうなった理由は、こういう事情だった」と、経緯を細かく述べる話し方です。

ミッチェルは、その説明を掘り下げずに、We got nothing to lose now,と切り出します。「もう失うものは何もない」という前提を先に置き、そのあとにso go back and get the painting.と続けます。前提から行動へ、という流れがはっきりしている一文です。

ここでのnowは「今となっては」という意味です。nothing to lose now,と間を置いて、so以下で具体的な行動を示す運びが、迷いを断ち切る調子を作っています。

ミッチェルの返しには、経緯の説明への深入りがありません。事情を聞いたうえで、次に何をするかを示す。原因の話から、これからの行動の話へ、会話の向きを切り替える一言として、have nothing to loseが機能している場面と言えます。

『モダンファミリー』流・覚え方のコツ

have nothing to loseは、荷物をすべて下ろした登山者の姿で覚えられます。

重い荷物を背負っているあいだは、足元が気になって、一歩を踏み出すのがためらわれます。荷物を全部下ろして身軽になれば、落とす心配のあるものが何もありません。この「落とすものがない(nothing to lose)」状態が、思い切って一歩を出せる理由になります。

ミッチェルの「もう失うものなんて何もない」も、この絵と重なります。前提を身軽にしたうえで、「だから戻って取ってきてよ」と行動を促しています。前提が先にあり、行動が後に続く、この順序を思い出せば、have nothing to loseが「背中を押す言葉」だとわかります。次に何かをためらっている場面に出会ったら、荷物を下ろした登山者を思い浮かべてみると、この表現が出てきやすくなります。

例文で覚える「have nothing to lose」

行動をためらう相手の背中を押す場面で使うhave nothing to loseを、3つの例文で確認していきましょう。

You have nothing to lose by asking.
(聞いてみるだけなら、失うものは何もありませんよ。)
相手の背中を押す場面です。by askingを添えると、「聞くだけなら」という範囲が具体的に示せます。

We’re already behind schedule, so we have nothing to lose by trying a new approach.
(もう予定に遅れているので、新しいやり方を試しても失うものはありません。)
仕事で方針を変える提案をする場面です。前半で現状を述べ、so以下で行動を提案する、作中と同じ流れになっています。

A: Should I apply for the job?
B: Sure, you’ve got nothing to lose.
(A:その仕事に応募したほうがいいかな?)
(B:もちろん、ダメでもともとでしょ。)
応募をためらう友人を励ます会話です。you’ve gotの形で、くだけた励ましになります。

あわせて覚えたい関連表現

nothing ventured, nothing gained
(冒険しなければ何も得られない)
nothing ventured, nothing gainedは、挑戦しなければ何も手に入らない、という、ことわざの形の言い方です。have nothing to loseは、その場の自分の状況(失うものがない)を述べる言い方で、行動を促す文脈と組み合わせて使います。

have everything to lose
(失うものが大きい)
have everything to loseは、have nothing to loseの反対の意味です。失敗したときに失うものが大きい状況を指します。

might as well
(〜したほうがましだ)
might as wellは、ほかに良い案がないので、そうしたほうがまだいい、という判断を表します。have nothing to loseは、失うものがないという理由の説明で、行動の背中を押す点が違います。

Note|「失うものがない」は、前向きにも後ろ向きにも聞こえる

have nothing to loseは、直訳すると「失うものがない」です。この日本語には、聞き手によって二つの響きがあります。ここでは、その読み分けを整理します。

一つは、前向きな響きです。「失うものがないから、思い切ってやってみよう」という、行動を後押しする使い方です。先の例文のように、相手に挑戦を勧める場面で働きます。作中のWe got nothing to lose now, so go back and get the painting.も、この向きです。nowが状況を示し、so以下で行動につなげています。

もう一つは、状況の説明としての響きです。With nothing to lose, he decided to tell her how he felt.(失うものは何もなかったので、彼は自分の気持ちを彼女に伝えることにしました)のように、そうするしかない状態に置かれた人を描くときにも使えます。この場合は、後押しよりも、追い込まれた状況の描写に重みが置かれます。

二つの読み分けは、後ろに続く言葉で決まります。「〜しよう」「〜してみたら」と行動が続けば前向きに、「〜するしかなかった」と結果が続けば、状況の説明に聞こえます。

日本語に置き換えるときも、「ダメでもともとだ」と訳すと前向き、「失うものは何もなかった」と訳すと状況の説明、と使い分けられます。

まとめ|前提を身軽にして、次の一歩へ

have nothing to loseは、失って困るものがないので、思い切って動ける、という発想を一言で伝える表現です。「ダメでもともとだ」という前向きな後押しにも、追い込まれた状況の説明にも使えます。

ミッチェルは、キャメロンの事情を聞いたあと、nothing to lose nowと前提を置き、so go back and get the paintingと行動を続けていました。前提から行動へ、という運びが、会話の向きを切り替える力になっていました。

ためらっている相手に声をかけたい場面や、自分に踏ん切りをつけたい場面を思い浮かべながら、この表現を会話の引き出しに加えてみてください。

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