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ドアが開いた瞬間、部屋の視線がすっとそちらに集まる。そんな場面が、ドラマには時々あります。
その登場の仕方を表す「make an entrance」を、『モダンファミリー』シーズン5第5話の中盤、レストランで他の人の到着を待つグロリアが、ジェイに、入っていく瞬間が好きな理由を打ち明けるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「make an entrance」の意味とニュアンス
make an entrance
意味:華々しく登場する、注目を集める登場をする
make an entranceは、部屋や会場に入るときの「入り方」で印象を残すことを表す表現です。ただ入るのではなく、周りの視線を意識した登場を指す点が特徴です。entranceは「入り口」だけでなく「入場、登場」という意味を持つ名詞で、make an entranceは「入場をする」、つまり「入り方を演出する」という言い方です。
grandやdramaticのような形容詞を足して、make a grand entranceやmake a dramatic entranceのように、印象の強さを描き分けることもできます。形容詞を足さないmake an entranceだけでも、「印象的に現れる」という意味を含みます。パーティーや結婚式で注目を浴びて現れるとき、演劇やイベントで登場のシーンを説明するとき、遅れて来て皆の視線を集めたときなどに使われます。
entranceを「入り口」とだけ受け取ると、「入り口を作る」という不自然な訳になってしまいます。「登場の仕方で印象を残す」というひとまとまりの意味で覚えておくと、使いやすくなります。
【ここがポイント!】
- 「make an entrance」の核は、入るときの登場の仕方で印象を残すこと
- 周りの視線を意識した登場を指し、形容詞を足すと派手さや雰囲気を描き分けられる
- 「入り口を作る」と直訳せず、「登場を演出する」というひとまとまりで受け取るのがコツ
『モダンファミリー』S05E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
レストランで、ジェイとグロリアが他の人が来るのを待っています。グロリアが「登場するのが好き」と言い出すと、ジェイは聞き返します。グロリアは、自分が入っていったときにみんなが待っていて、ドレスを褒めてくれる瞬間が好きなのだと説明します。それに対するジェイの返事の短さに注目です。
Gloria: I like to make an entrance.
(私は、華々しく登場するのが好きなの。)Jay: What’s that, now?
(なんだって?)Gloria: I like the part where I go in, and everybody’s waiting for me, and they say, “Gloria, you look so pretty, and that dress is so beautiful.” Is that so bad?
(私が入っていくと、みんなが待っていて、「グロリア、すごくきれい、そのドレス素敵ね」って言ってくれる、あの瞬間が好きなの。それって、そんなに悪いこと?)Jay: I don’t love it.
(俺は、あまり好きじゃないな。)Modern Family Season5 Episode5 (The Late Show)
シーン解説と心理考察
グロリアの最初の一言は、自分の好みをまっすぐ打ち明けるものです。make an entranceという言葉は、ただ現れるのではなく、現れる瞬間そのものを楽しむという気持ちを、短い一文の中に込めています。
ジェイが「なんだって?」と聞き返したあと、グロリアは、入っていくとみんなが待っていて、「グロリア、すごくきれい」「そのドレス素敵ね」と声をかけてくれる場面を具体的に描いてみせます。自分が思い描いている光景を、周りの人が口にする言葉まで添えて語る様子から、この瞬間を心から楽しみにしていることが伝わってきます。「それって、そんなに悪いこと?」という問いかけには、好みを否定されたくない気持ちが読み取れます。
対するジェイの「あまり好きじゃないな」は、短く、飾りのない返事です。グロリアが登場の瞬間を思い浮かべて語る長い説明と、ジェイの短い返事という対比が、二人の感覚の違いをやわらかく見せています。同じ「入っていく」という行為でも、登場の瞬間を楽しむグロリアと、そうは感じていないジェイとで、受け取り方が違う。そのことが、make an entranceという言葉を通して浮かび上がる場面です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
劇場の幕が上がった直後、スポットライトの中に、一人の役者が歩いて入ってくる場面を思い浮かべてみましょう。観客はまだ何も知らないのに、入ってくる瞬間の姿だけで、その人物の第一印象が決まります。entrance(入場)を「作る(make)」とは、この入り方を演出すること、というイメージです。これは語の由来の説明ではなく、覚え方の工夫です。
グロリアが語った「みんなが待っていて、入っていくとドレスを褒められる」という光景も、スポットライトの中に進み出る役者の姿と重なります。舞台に登場する瞬間の空気を思い出すと、make an entranceという言葉が表す「入り方で場の空気が変わる」という感覚が、すっと思い出せるようになります。
例文で覚える「make an entrance」
登場の仕方を語る場面で使えるmake an entranceを、3つの例文で確かめてみましょう。
She likes to make an entrance at parties, so she always arrives a little late.
(彼女はパーティーで目立つ登場をするのが好きで、いつも少し遅れて来るんだ)
友人の性格を話す日常の場面です。so以下の理由を添えると、「目立つ登場を狙っている」という意図がはっきり伝わります。
The new CEO made an entrance at the meeting with a bold announcement.
(新しいCEOは、大胆な発表で会議に鮮烈に登場した)
新任者の印象を語るビジネスの場面です。with以下で、何によって印象を残したのかを示せます。
A: Why did you wait outside for so long?
B: I wanted to make an entrance.
(A:どうして外でそんなに長く待っていたの?)
(B:登場の仕方にこだわりたかったの。)
遅れた理由を冗談めかして話す、友人同士の会話です。短い一言で、「わざと」という含みが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
make a grand entrance
(華々しく登場する)
make a grand entranceは、make an entranceにgrandを足して、派手さを強めた言い方です。make an entranceだけでも、「印象的に現れる」という意味は含まれます。
steal the show
(注目を独り占めする)
steal the showは、登場した後の演技や振る舞いで、場の主役になることを表します。make an entranceは、「入り方」に焦点がある点が違います。
turn heads
(人目を引く)
turn headsは、外見や存在感で、自然に注目を集めることを表し、意図の有無は問いません。make an entranceは、注目を集めるつもりで演出するニュアンスが出やすい言い方です。
Note|make an entranceに形容詞を足すと変わる冠詞と印象
make an entranceは、形容詞を足すと、冠詞まで変わります。
形容詞を足さない形では、make an entranceのようにanが付きます。entranceが母音で始まる語だからです。ここにgrandを足すと、make a grand entranceのように、冠詞がaに変わります。grandが子音で始まる語だからです。dramaticを足したmake a dramatic entranceも同じで、aが付きます。形容詞が変わるたびに、印象も変わります。make a grand entranceは「堂々とした、華やかな登場」、make a dramatic entranceは「場の空気を変えるような、劇的な登場」を指します。反対に、make a quiet entranceのようにquietを足すと、目立たないようにそっと入る、という逆の意味になります。同じmake ~ entranceの形でも、間に入る形容詞で、登場の色合いを自在に描き分けられます。
グロリアのmake an entranceは、形容詞を足さない形でした。この形でも、「みんなが待っていて褒めてくれる瞬間」という具体的な説明が続くことで、華やかな登場の色合いが十分に伝わっています。
間に入る形容詞と冠詞の組み合わせを意識すると、登場の描写が細やかになります。
まとめ|入っていく瞬間を、ひと言で
make an entranceは、部屋や会場に入るときの入り方で、印象を残すことを表す表現です。周りの視線を意識した登場を指し、grandやdramaticを足すと、派手さや雰囲気を描き分けられます。
パーティーやイベントで目立つ登場をしたいとき、友人の登場の仕方を語るとき、会議での新任者の印象を伝えるときなど、幅広い場面で使えます。「入り口を作る」ではなく、「登場を演出する」というかたまりで覚えておくと使いやすくなります。友人の到着や新任者の紹介など、登場の仕方が印象を左右する場面を思い浮かべると、使いどころが見つかります。
グロリアが語った、入っていく瞬間を楽しみにする気持ちと、それを受け止めるジェイの短い返事。二人の感覚の違いが、ほんの数行のやり取りの中にやわらかくにじむ場面でした。


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