海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
初対面の相手が、これまで歩んできた仕事の道のりを語り出す場面があります。
そんな経歴の語りに登場する「make one’s bones」を、『モダンファミリー』シーズン4第12話の前半、ヘイリーの同僚のケニーが自分の仕事の歩みを語る場面から、一緒に見ていきましょう。
「make one’s bones」の意味とニュアンス
make one’s bones
意味:(ある分野で)実績を積んで名を上げる、経験を積んで一人前になる
make one’s bones は、ある分野で最初に実績を積み、評価を得ることを表す成句です。make は「作る」、bones は「骨」で、one’s の部分には主語に合わせて my、his、her、their などが入ります。直訳は「自分の骨を作る」です。骨を体を支える土台に見立てると、キャリアの土台を築くイメージでとらえられ、覚えやすくなります。
使うときは、make one’s bones in、as、on のあとに、実績を築いた分野や立場を添えます。in の後ろは業界や分野、as の後ろは立場や肩書き、on の後ろは具体的な案件や仕事が続く形です。今回のシーンでは、Made my bones in men’s apparel と、主語の I を省いた形で使われています。過去形の made を先頭に置いて、紳士服の分野で実績を積んだと簡潔に語っています。
日本語に訳すときは、「実績を積む」「名を上げる」「一人前になる」の3通りがあります。今回のように自分の経歴を語る場面では、「実績を積んだ」がもっとも収まりがよく、人物を紹介する文脈なら「名を上げた」も使えます。どれか一つに決めず、話し手が語る経歴の重さに合わせて訳語を選ぶと、日本語が自然になります。
キャリアの出発点を語るときや、人の経歴を紹介するときに使える表現です。記者、料理人、エンジニアなど、職業を問わず、実績を積んだ場を後ろに添えるだけで、その人の歩みがひとことで伝わります。
【ここがポイント!】
- 「make one’s bones」の核は、キャリアの土台になる実績を築いていくイメージ
- one’s は主語に合わせて my、his、her などに入れ替わり、後ろに in・as・on で分野や立場を添える
- 経歴の出発点を語るときや、人の経歴を紹介するときに使える
『モダンファミリー』S04E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ヘイリーの同僚のケニーが、フィルとクレアを相手に、自分の仕事の経歴を語っている場面です。ケニーの自己紹介でフレーズが使われ、そのあとフィルとクレアが返す、やりとりの流れに注目です。
Kenny: I’m just trying to stay fresh creatively, you know? Made my bones in men’s apparel, and now I’m working with these local boutiques Just trying to get into girls’ jeans.
(俺はただ、創作面で新鮮さを保とうとしてるだけさ。紳士服で実績を積んで、今は地元のブティックと組んでる。女の子向けのジーンズに入り込もうとしてるところなんだ。)Claire: Phil!
(フィル!)Phil: There’s no Phil here! These jeans just slipped on me so perfectly, my name must be pantsarella.
(ここにフィルはいないよ! このジーンズがあまりにぴったりだから、俺の名前はきっとパンツァレラ(pantsarella)だ。)Kenny: Boom! Comfortable, right?
(どうだ! はき心地いいだろ?)Phil: Like a diaper.
(おむつみたいだ。)Modern Family Season4 Episode12 (Party Crasher)
シーン解説と心理考察
ケニーは「創作面で新鮮さを保とうとしているだけだ」と前置きして、自分の仕事の話を始めます。紳士服の分野で実績を積み、いまは地元のブティックと組んでいる、という流れです。「Made my bones in men’s apparel」は、その分野で経験と評判を築いたという、自己紹介の中心になる一言として使われています。
ケニーの語りを受けて、クレアが「フィル!」と呼びかけます。するとフィルは「ここにフィルはいないよ」と返し、ジーンズがあまりにぴったりなので、自分の名前はパンツァレラに違いないと冗談を続けます。呼びかけを否定して別の名前を名乗る受け答えが、フィルらしい遊び心として響きます。
ケニーが勢いよく声を上げ、はき心地はいいだろうと重ねると、フィルは「おむつみたいだ」と返します。ぴったりという言葉のあとに、意外なたとえが来る展開です。経歴を堂々と語るケニーと、ジーンズを冗談の種にするフィルの受け答えが並び、真剣な自己紹介と軽い冗談が同じ場面に同居しています。
このやりとりの中で、make one’s bones は、ケニーが自分の立ち位置を示す言葉として置かれています。経歴を語る側の言葉と、それに乗っていく側の冗談との温度差が、場面の見どころです。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
体を支える骨組みを、ひとつずつ組み上げていく姿を思い浮かべてみましょう。柱になる骨が組み上がって、はじめて体を立たせることができます。make の「作る」動きと、bones の「骨」が組み合わさって、キャリアの骨組みを築いていくイメージです。
ケニーが「紳士服で実績を積んだ」と語るとき、その骨組みは紳士服の分野で築かれたものです。そのうえで、いまは地元のブティックと組んで別の分野へ広げようとしています。土台を築いた分野を in で示す形も、この場面と重ねて思い出せます。自分の骨組みをどの分野で築いたのかを、in・as・on で言い添える。そんな流れで覚えておくと、経歴を語るときにすっと言葉が浮かんできます。
例文で覚える「make one’s bones」
飲食、スポーツ、職場と、実績を積む場を変えながら、3つの例文で確認していきましょう。
He made his bones in the restaurant business, then opened his own place.
(彼は飲食業界で実績を築いてから、自分の店を開いた)
知人の経歴を話す場面です。in the restaurant business と業界を添えると、実績を築いた場が一言で伝わります。
A: Who’s the new head coach?
B: Dan. He made his bones as a youth team coach.
(A:新しい監督は誰?)
(B:ダンだよ。ユースチームのコーチとして実績を積んだ人だ)
スポーツの話題で、新しい監督を紹介する往復会話です。as a youth team coach と、実績を積んだ立場を添えて、人物の経歴を説明しています。
Young engineers have to make their bones on smaller projects first.
(若いエンジニアは、まず小さなプロジェクトで実績を積まなければならない)
職場での育成の話です。on smaller projects と具体的な仕事を添えると、どんな場で実績を積むのかが見えてきます。
あわせて覚えたい関連表現
earn one’s stripes
((下積みを経て)認められる、実力を証明する)
earn one’s stripes は、組織や集団の中で経験を積んで、地位や信頼を得るときに使います。make one’s bones は、特定の分野での実績や評判に焦点がある点が違います。
cut one’s teeth on ○○
(○○で経験を積む、○○で腕を磨き始める)
cut one’s teeth on は、駆け出しのころに○○で最初の経験を積んだことを表します。make one’s bones は、実績を築いて評価されるところまで含む点が違います。
pay one’s dues
(下積みの苦労をする、必要な苦労を重ねる)
pay one’s dues は、苦労や下積みの負担に焦点があり、認められる前の段階を表します。make one’s bones は、積んだ結果としての実績を表す点が違います。
Note|make one’s bones の後ろに続く in・as・on の使い分け
make one’s bones は、後ろに続く前置詞で、実績を積んだ場の種類を示せる表現です。ここでは、続く形を3つに分けて整理します。
ひとつめは、in を続けて分野や業界を示す形です。He made his bones in the restaurant business. のように、どの世界で実績を築いたのかを言い表します。今回のシーンのケニーも、in men’s apparel と、この形を使っています。ふたつめは、as を続けて立場や肩書きを示す形です。She made her bones as a reporter. のように、どんな立場で実績を積んだのかを言い表します。みっつめは、on を続けて具体的な案件や仕事を示す形です。They made their bones on smaller projects. のように、どの仕事で実績を築いたのかを示します。
つまり、in は「どの分野で」、as は「どんな立場で」、on は「どの仕事で」という違いです。ケニーの発言は、分野を示す in の形にあたります。
訳すときも、続く前置詞が手がかりになります。in の形なら「〜の世界で実績を積む」、as の形なら「〜として名を上げる」、on の形なら「〜の仕事で経験を積む」と訳し分けると、日本語が自然に収まります。続く前置詞に注目して読むと、同じ make one’s bones でも、どんな経歴を語っているのかがくっきり見えてきます。
まとめ|経歴の出発点を、ひとことで
make one’s bones は、ある分野で最初に実績を積み、評価を得ることを表す成句です。骨組みを築くイメージで、キャリアの土台をつくった分野を言い表します。
in なら分野、as なら立場、on なら仕事と、後ろに添える前置詞で、実績を積んだ場を示せます。自分の経歴を語るときにも、人の経歴を紹介するときにも使えるので、仕事の話題に向いた表現です。
紳士服の分野で実績を積んだと語るケニーと、それを冗談の種にしていくフィルの受け答えには、真剣な自己紹介と軽いやりとりが並ぶ様子が表れていました。どこで実績を積んだかをひとこと添えるだけで、その人の歩みがにじみ出てくるものです。


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