海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
相手の言い分をいったん認めながらも、自分の結論は変えずに押し通したくなった経験はありませんか。
そんな場面にぴったりの「be that as it may」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン11第14話の後半、部屋の契約を巡ってレナードと対峙したシェルドンが、相手の訴えを受け止めつつも自分の主張を続けるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「be that as it may」の意味とニュアンス
be that as it may
意味:それはそうだとしても、それにしても
be that as it may は、相手の言い分や事実をいったん認める形を取りながら、自分の結論や主張は変えないことを示す、やや格式の高い譲歩の表現です。口語のeven soやstillよりも硬く、契約や規則をめぐる議論、フォーマルな場面でよく使われます。
文の構造自体も独特で、現代英語では通常使われない倒置の語順(be + that + as + it + may)がそのまま定型句として残っている点も特徴です。文頭に置いて、その後に自分の主張や反論を続けるのが基本の使い方になります。
1語ずつ分解して意味を考えようとすると混乱しやすい表現ですが、丸ごと1つの塊として覚えてしまえば、使い方自体はいたってシンプルです。話し言葉というよりは、やや書き言葉に近い硬さを持つ表現として位置づけておくと扱いやすくなります。
【ここがポイント!】
- 相手の言い分を一旦認めつつ、自分の結論は変えない譲歩の表現
- even soやstillよりも硬く、契約や議論などフォーマルな場面に向く
- 文頭に置いて、その後に自分の主張・反論を続けるのが基本の形
『ビッグバン★セオリー』S11E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
部屋の賃貸契約をめぐってレナードとシェルドンが議論する場面です。レナードが感情的に訴える一方で、シェルドンは契約書の条項を根拠に、冷静に自分の主張を続けていきます。
Leonard: Eastern Standard Time.
(東部標準時間だよ。)Sheldon: That was three hours ago. And, uh, since you didn’t exercise your right to revoke, I exercised my right to extend, triggering this long-form rental agreement of which you’re already in violation.
(それは3時間前のことだ。それで、君が契約解除の権利を行使しなかったので、僕は契約延長の権利を行使した。それによってこの長期賃貸契約が発効し、君はすでにその契約に違反していることになる。)Leonard: This is just a-a bunch of paper. You can’t enforce this.
(これはただの紙の束じゃないか。こんなの法的に通用するわけない。)Sheldon: Hire a lawyer. Let’s find out.
(弁護士を雇えばいい。それで分かることだ。)Leonard: This is not happening.
(こんなこと、あるわけない。)Sheldon: Be that as it may, page nine says that you have to provide me with lemon-flavored sparkling waters, so… chop-chop.
(それはそうだとしても、9ページには君がレモン味の炭酸水を僕に用意しなければならないと書いてある。だから……急いでくれ。)The Big Bang Theory Season11 Episode14 (The Separation Triangulation)
シーン解説と心理考察
契約終了の時刻をめぐり、レナードが「東部標準時間だよ」と主張すると、シェルドンは「それは3時間前のことだ」と冷静に切り返します。契約解除の権利を行使しなかった以上、自分は延長の権利を行使した――つまり長期契約が成立し、レナードはすでに違反状態にあるというのです。
「ただの紙の束じゃないか」と抵抗するレナードに、シェルドンは「弁護士を雇えばいい。それで分かることだ」と涼しい顔で応じます。困り果てたレナードの「こんなこと、あるわけない」という訴えに対し、シェルドンは相手の言い分をいったん認めたふりをしながらも、すぐに契約書の条項を持ち出して反論を続けます。感情的な訴えを理論と契約書で受け止めていく几帳面さと、振り回されるレナードとの対比が際立つ場面です。
炭酸水の用意という、契約の重大さとはかけ離れた小さな要求を「それはそうだとしても」の後に続けるあたりにも、理屈っぽさとこだわりの強さが同時に表れています。深刻な議論の着地点が思いがけず日常的な要求に落ち着くギャップも、このやり取りの面白さを際立たせています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
be that as it may を覚えるコツは、裁判官が「その事実は認めます。しかし、判決はこうです」と相手の主張を一旦受け止めながらも、自分の結論を静かに述べる場面を思い浮かべることです。感情的に反論するのではなく、まず相手の言い分を認めた上で、落ち着いて自分の結論に戻ってくる、その法廷的な冷静さがこのフレーズの響きに重なります。
シェルドンが紙の契約書を根拠に主張を続けた場面でも、相手の訴えをいったん認める形を取りながら、自分の結論は最後まで変えていませんでした。議論の場面で相手の言い分を認めつつも結論を押し通したいときに、このイメージを添えておくと言葉が自然に出てきます。
例文で覚える「be that as it may」
仕事の締め切りから日常の予定まで、be that as it may を3つの例文で確認していきましょう。
I know you’re busy. Be that as it may, the report is due tomorrow.
(君が忙しいのは分かっている。それはそうだとしても、レポートの締め切りは明日だ。)
部下や同僚に締め切りを守らせる場面です。相手の事情を認めつつ、結論を変えない硬さが伝わります。
She apologized. Be that as it may, the damage was already done.
(彼女は謝罪した。それはそうだとしても、被害はすでに出てしまっていた。)
謝罪があっても結果が変わらないことを伝える場面です。前の文の事実を認めた上で、現実的な結論に進みます。
A: It’s raining hard outside.
B: Be that as it may, we still have to leave now.
(A:外は雨が強いよ。)
(B:それはそうだとしても、もう出発しなくちゃいけない。)
予定を変えずに押し通す会話です。stillと組み合わせることで、結論の変わらなさがより強調されます。
あわせて覚えたい関連表現
even so
(それでも)
be that as it mayと同様に譲歩からの反論を示しますが、よりカジュアルで口語的な響きを持つ表現です。
nevertheless
(それにもかかわらず)
be that as it mayと同じくフォーマルな書き言葉で使われますが、譲歩の形を取らずに単純に対比を示す点が異なります。
having said that
(そうは言ったものの)
be that as it mayが相手の意見への譲歩であるのに対し、having said thatは自分がすでに述べた発言を振り返って補足する際に使われます。
Note|be that as it mayの仮定法的な構造
be that as it may という表現の文の組み立てには、現代英語ではあまり見られない古い仮定法の構造が残っています。
通常の英語なら「It may be that」のような語順になりそうな内容が、be that as it mayでは「be」が文頭に出る倒置の形を取っています。これは英語の古い仮定法(祈願文)の名残で、”Come what may”(何が来ようとも)や”So be it”(それならそれでいい)といった、現代でも定型句として残っている表現と同じ構造上の系譜にあります。動詞の原形が文頭に置かれることで、現実に対する一歩引いた、格式高い響きが生まれているのです。
このような構造を持つ表現は、会話の中で自由に組み立てられるものではなく、決まった形のまま丸ごと覚えて使うしかないという点も特徴です。現代英語の文法規則からは外れた形をしているからこそ、be that as it mayという一言には独特の重みと格式が宿っています。
シェルドンが契約書を根拠に反論した場面でこの表現が使われたのも、単なる口語の譲歩表現以上の、フォーマルで議論にふさわしい響きが求められていたからだと考えられます。
形そのものが古くても、議論の場面では今でも現役で使われ続けている表現なのです。古風な響きをまとっているからこそ、相手を打ち負かすというより、冷静に一歩引いて話を進めたいときに選びたくなる言葉でもあります。
まとめ|相手の言い分を認めつつ結論を守る一言
be that as it may は、相手の言い分や事実をいったん認めながらも、自分の結論は変えないことを示す、やや格式の高い譲歩の表現です。文頭に置いて、その後に自分の主張を続けるという基本の形を覚えておけば、議論の場面でも冷静に結論を守ることができます。
締め切りを守らせたいときも、謝罪を受けても結果が変わらないことを伝えたいときも、この一言があれば相手の事情を無視せずに、自分の立場をはっきり示せます。感情的にならずに済む、格式のある譲歩の言い回しとして頼りになります。硬い響きを持つからこそ、冷静さを保ちたい場面で重宝する表現です。
契約書を根拠に主張を続けたシェルドンの姿には、相手の訴えを受け止めながらも結論を譲らない几帳面さが表れています。


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