海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
身近な誰かが自分より先に成功したとき、「べつに気にしてないよ」と口では言いながら、内心ちょっと落ち着かない。そんな経験はありませんか。
今回はそんな気持ちにぴったりの「be threatened by」を取り上げます。相手の成功や能力に引け目を感じる、という意味の表現です。『ビッグバン★セオリー』シーズン4第24話、カフェテリアで婚約者の出世をからかわれたハワードが思わず反論するシーンから、一緒に見ていきましょう。
「be threatened by」の意味とニュアンス
be threatened by
意味:〜に脅威を感じる、〜に引け目・劣等感を感じる
threaten は本来「危害を加えると脅す」という物理的な動詞です。その受け身 be threatened by は、文字どおりには「〜によって脅かされている」となりますが、日常会話では物理的な危険ではなく、相手の成功・能力・存在によって自分の立場や自尊心が脅かされる「心理的な引け目」を表します。
ポイントは、感情の主体が「脅かされる側」に立つこと。同僚の昇進、パートナーの成功、年下の優秀さといった、相手の輝きが自分の影を濃くするような場面で使われます。「嫉妬」ほど相手のものを欲しがる感情ではなく、「自分の立ち位置が危うくなる」感覚に近い表現と言えます。
【ここがポイント!】
- 核は「相手の存在によって自分の立場が脅かされる」心理的な引け目
- 物理的な脅しではなく、成功・能力に対する気後れを表す
- 受け身で「脅かされる側」に立つのが、この表現の感覚をつかむコツ
『ビッグバン★セオリー』S04E24のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
婚約者バーナデットが製薬会社にヘッドハントされ、高い給料を得ることに。それをネタに、レナードとラージがハワードを「金持ち妻のトロフィー夫」とからかいます。むきになったハワードが反論するのが、この場面です。
Leonard: If you’re gonna be a trophy husband for a rich wife, you might want to watch your waistline.
(金持ち妻のトロフィー夫になるつもりなら、体型に気をつけたほうがいいんじゃないか)Howard: First of all, I’m not threatened by my fiancée’s success. I’m proud of her. And secondly, I have my own career.
(まず第一に、俺は婚約者の成功に引け目なんて感じてない。誇りに思ってる。それに第二に、俺には俺のキャリアがあるんだ)Leonard: Until you have kids.
(子どもができるまではな)The Big Bang Theory Season4 Episode24(The Roommate Transmogrification)
シーン解説と心理考察
ハワードも技術者として立派なキャリアを持っていますが、婚約者の年収が自分を上回る状況に、内心の動揺がにじんでいるのが見どころです。注目したいのは、ハワードがわざわざ「引け目なんて感じてない・誇りに思っている」と強く言い切っているところ。本当に気にしていないなら、ここまで力を込めて宣言する必要はないはずです。
「I’m not threatened by …」と否定形で口にすること自体が、裏返しの照れや見栄を映し出していると読み取れます。そこへレナードが「子どもができるまではな」と追い打ちをかけ、ハワードの建前が早くも揺らぎはじめる。成功した婚約者を前に強がる男性の、ちょっと情けない人間味が伝わってくる場面です。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
be threatened by は、ハワードが胸を張って「脅威なんて感じてない!」と言い張る姿とセットで覚えるのがおすすめです。相手が眩しく輝くほど、自分の足元に濃い影ができる。その影に気づいて思わず身構える感覚が、このフレーズの中心にあります。
剣を突きつけられて脅されるのではなく、相手の存在感そのものにじりじりと押される。むきになって否定するほど、実は脅威を感じている――ハワードの空回りを思い出せば、「成功した相手の前で身構える気持ち」という意味が、自然と記憶に残ります。
例文で覚える「be threatened by」
be threatened by は、人の心理や人間関係を語るときに幅広く使えます。否定形・疑問形でも頻出するので、3つの場面で感覚をつかんでみましょう。
Some managers feel threatened by employees who are smarter than they are.
(自分より優秀な部下に引け目を感じる管理職もいる)
職場の人間関係を語る場面です。feel threatened by の形も同じ意味でよく使われ、「立場を脅かされる」感覚を表します。
There’s no need to feel threatened by other people’s success.
(他人の成功に引け目を感じる必要はないよ)
落ち込んでいる友人を励ます場面です。「相手の成功で自分が脅かされるわけではない」と、気持ちを軽くしてあげる言い方になります。
A: I heard your little sister got into med school. That’s amazing.
B: Yeah… honestly, I feel a little threatened by how driven she is.
(A:妹さん、医学部に受かったんだって?すごいね)
(B:うん…正直、あの子の頑張りっぷりにはちょっと引け目を感じちゃうよ)
身近な家族の成功に対する複雑な気持ちを打ち明ける場面です。a little を添えると、「ほんの少し気後れする」という素直な本音がやわらかく伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
be intimidated by
(〜に気後れする、萎縮する)
相手の威圧感に「ひるむ」瞬間的な反応を表します。be threatened by が立場・自尊心が脅かされる継続的な感覚なのに対し、intimidated はその場で気おされるニュアンスが強い表現です。
feel insecure about
(〜について自信が持てない、不安に感じる)
自分の内面の不安そのものに焦点があります。be threatened by が「外部の誰か・何か」によって脅かされる構図なのに対し、insecure は出どころを問わず漠然と自信がない状態を指します。
be jealous of
(〜に嫉妬する)
相手が持つものを「欲しい」という感情です。be threatened by は相手の存在で自分の立場が「危うくなる」感覚で、相手のものが欲しいかどうかは関係ない点が違います。
Note|threatened / intimidated / insecure ―― 「気後れ」を表す三語の温度差
ハワードの「I’m not threatened by …」は「引け目を感じてない」と訳せますが、英語には「気後れ」を表す近い表現がいくつもあり、日本語にするとどれも似た訳になってしまいます。代表的なのが threatened・intimidated・insecure の三つです。
be threatened by は「相手の成功や能力によって、自分の立場や自尊心が脅かされる」感覚です。脅威の出どころが明確で、ハワードのように「婚約者の成功」という具体的な相手に対して使われます。be intimidated by は「相手の威圧感や迫力にひるむ」反応で、こちらは威圧する側の存在感が前面に出ます。たとえば面接官の貫禄に飲まれる、堂々とした相手に気おされる、といった瞬間的な萎縮です。一方 feel insecure は、特定の相手がいなくても成立する「漠然とした自信のなさ」を指します。自分の容姿や能力になんとなく不安を抱えている状態で、脅威の出どころが自分の内側にある点が他の二つと大きく違います。
こうして並べてみると、ハワードのセリフに threatened が選ばれているのが腑に落ちます。彼が気にしているのは漠然とした不安(insecure)でも、誰かの迫力(intimidated)でもなく、「婚約者の成功という具体的な事実によって、自分の立場が脅かされること」だからです。
三語の出どころの違いを押さえると、訳しにくい「引け目」がぐっと立体的に見えてきます。
まとめ|強がるハワードから学ぶ「脅威」の感覚
be threatened by の核心は、相手の成功や能力によって「自分の立ち位置が危うくなる」と感じる、心理的な引け目にあります。物理的に脅されるのではなく、眩しい相手を前に思わず身構える――そんな感覚を一語で言い表せる表現です。
この言い回しを知っておくと、「嫉妬」とも「不安」とも少し違う、微妙な心の揺れを的確に伝えられるようになります。否定形で使えば、ハワードのように「気にしてないよ」と強がる気持ちまで表現できます。
成功した相手の前でちょっと身構えてしまう、あの気持ちを言葉にしたくなったとき、be threatened by を表現の引き出しに加えてみてください。


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