「buck up」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S05E01で学ぶ英会話

「buck up」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

落ち込んでいる相手に、「めそめそしないで、しっかりして」と発破をかけたくなること、ありますよね。

そんなときに使える「buck up」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン5第1話、失恋に沈むレナードを心配したシェルドンが、心理学者である母親をビデオ通話につなぐシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「buck up」の意味とニュアンス

buck up
意味:元気を出す、しっかりする、気を取り直す

buck は「雄鹿」、また「(馬などが)勢いよく跳ね上がる」動きを指す語です。そこに up(上へ)が加わり、うなだれた気持ちをグッと上向きに持ち上げる、というイメージの句動詞になっています。

ただし、同じ「元気を出して」でも、cheer up のような優しい慰めとは少し色合いが違います。buck up は「めそめそするな」「気合いを入れろ」と、やや突き放して発破をかけるニュアンスを帯びることが多い表現です。

命令形の Buck up! で使われるのが典型で、落ち込む相手だけでなく、めげそうな自分を奮い立たせるときにも使えます。くだけた口語なので、フォーマルな場面では少し砕けすぎて聞こえる点も押さえておきましょう。

【ここがポイント!】

  • 核は「沈んだ気持ちを勢いよく上へ持ち上げる」イメージ
  • cheer up より突き放した、発破をかける励まし
  • Buck up! の命令形で、相手にも自分にも使えるくだけた一言

『ビッグバン★セオリー』S05E01のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

失恋でふさぎ込むレナードを案じたシェルドンが、世界的な心理学者である母親ホフスタッター博士をビデオ通話につなぎます。ところが、専門家の母から返ってきたアドバイスは意外なものでした。

Dr Hofstadter: Sheldon informed me that you’re experiencing an emotional upheaval, and I’m here to help.
(シェルドンから、あなたが感情的な動揺を経験していると聞きました。だから力になりに来たのよ。)

Leonard: Got any advice?
(何かアドバイスは?)

Dr Hofstadter: Yes. Buck up.
(ええ。しっかりなさい。)

Leonard: Excuse me. You’re a world-renowned expert in parenting and child development, and all you’ve got is buck up?
(ちょっと待って。世界的に有名な育児と児童発達の専門家が、出てくるのが「しっかりしろ」だけ?)

Dr Hofstadter: Sorry. Buck up, sissy pants.
(ごめんなさい。しっかりなさい、泣き虫さん。)

The Big Bang Theory Season5 Episode1(The Skank Reflex Analysis)

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シーン解説と心理考察

著名な心理学者である母親が、傷ついた息子にかける言葉が “Buck up” のひと言だけ——その素っ気なさに、母子の冷えた距離感がにじむ場面です。

レナードが「専門家なのにそれだけ?」と食い下がると、母は “Buck up, sissy pants”(しっかりなさい、泣き虫さん)と、慰めるどころかさらに突き放します。buck up が持つ「めそめそするな」という発破のニュアンスが、ここでは母親の冷淡さと完璧に重なっています。

優しい cheer up ではなく、あえて buck up を選ばせているところに、このシーンの皮肉が表れています。専門知識をもってしても、いや、もっているからこそ感情に寄り添わない母親像が、たった一語の励ましの選び方からくっきりと立ち上がってきます。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

うなだれて下を向いていた頭を、雄鹿が角を振り上げるように勢いよくグッと上げる——そんな身体の動きをイメージすると、buck up が記憶に残ります。

落ち込むレナードに、母が突き放すように “Buck up, sissy pants” と言い放つ場面を思い浮かべてみてください。優しくさするのではなく、背中をバシッと叩いて立たせるような感覚です。cheer up が「よしよし」なら、buck up は「ほら、シャキッと!」。この温度差を、頭を持ち上げる動作とセットで覚えておきましょう。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「buck up」

発破をかける励ましの buck up は、相手にも自分にも使えます。三つの場面でその感覚をつかみましょう。

Come on, buck up! It’s not the end of the world.
(ほら、しっかりして! 世界の終わりじゃないんだから。)
落ち込む友人を元気づける場面です。Come on と組み合わせると、「めそめそしないで」と背中を押す発破のニュアンスが強まります。

I told myself to buck up and walk into the interview with confidence.
(気合いを入れ直して、自信を持って面接に臨もうと自分に言い聞かせた。)
緊張する自分を奮い立たせる場面です。buck up は他人だけでなく、自分自身に向けても使えます。

A: I don’t think I can finish this project on time.
B: Buck up. We’ve still got two days—let’s tackle it together.
(A:このプロジェクト、期限に間に合わせられる気がしない。)
(B:しっかりして。まだ二日ある。一緒に片付けよう。)
弱気になった同僚を励ます会話の場面です。落胆している相手を、ひとまず立て直させてから前向きな提案へつなぐ流れで使われます。

あわせて覚えたい関連表現

cheer up
(元気を出して、明るくなって)
優しく慰める標準的な励ましです。buck up が「気合いを入れろ」と突き放すのに対し、cheer up は寄り添って明るい気分にさせる温度感があります。

hang in there
(踏ん張って、もう少しの辛抱)
つらい状況に「耐えて続けて」と寄り添う励ましです。buck up が落胆からの奮起を促すのに対し、こちらは持ちこたえることに重点があります。

pull oneself together
(気を取り直す、冷静さを取り戻す)
取り乱した状態から「自分を立て直す」意味です。buck up よりフォーマルな場面でも使いやすく、職場では言い換えとして便利です。

Note|buck(雄鹿)から来たとされる「跳ね起きる」発想

buck up が持つ、どこか突き放したような力強さは、その由来をたどると見えてきます。

buck という語は、名詞では「雄鹿」を、動詞では馬や鹿が「後ろ足を蹴り上げて跳ねる」動きを指します。ロデオで暴れ馬が騎手を振り落とそうと激しく跳ね上がる、あの動作がまさに buck です。この「勢いよく上へ跳ね上がる」イメージから、沈み込んだ気持ちをグッと上向きに引き上げる、という比喩で buck up が「元気を出す・しっかりする」を意味するようになったと言われています。優しく心を慰めるというより、ぐったりした身体を物理的に跳ね起こすような語感が残っているのは、この成り立ちのためだとされます。

シーンでホフスタッター博士が cheer up ではなく buck up を選んだのも、こう見ると腑に落ちます。寄り添う言葉ではなく、「さっさと立ち上がりなさい」と身体を起こさせるような、突き放した響きがこの一語にはこもっているのです。

言葉の成り立ちを知ると、励ましの温度の違いまで見えてきます。

まとめ|ホフスタッター博士の塩対応から学ぶ「励まし」の一言

buck up は、沈んだ気持ちを勢いよく上へ持ち上げる、発破をかけるタイプの励まし表現です。

この一言が使えると、優しく慰める cheer up とは違う、「めそめそしないで、しっかり!」という背中を押す励ましを伝えられます。落ち込む相手にも、めげそうな自分にも向けられるので、ここぞという場面で効いてきます。

誰かを奮い立たせたい場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。

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