海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
友人や同僚が次々とカップルになっていくのを横目に、自分だけがいつまでも独身のままだと苦笑いしたくなる瞬間が、ドラマにはときどきあります。
そんな瞬間にぴったりの「catch the bouquet」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン11第1話の中盤、シェルドンとエイミーの婚約祝いを買いにコミックブック店を訪れたラージが、独身が続く自分への苦笑いを込めて口にする一言から、一緒に見ていきましょう。
「catch the bouquet」の意味とニュアンス
catch the bouquet
意味:(結婚式で投げられた)ブーケを受け取る
catch the bouquet は、欧米の結婚式で定番の「ブーケトス」という風習に由来する表現です。花嫁が後ろ向きに投げたブーケを受け取った人が「次に結婚する」という言い伝えがあり、catch the bouquet はこの行為そのものを指します。
単に「ブーケを取る」という動作の説明だけでなく、そこには「次は自分の番かもしれない」という軽いジョークの含みが込められることが多いのもこの表現の特徴です。独身が続く友人をからかうときや、自分自身の結婚運をおどけて語るときなど、結婚というテーマを軽やかに扱う場面で重宝します。
結婚式という具体的な場面と結びついた表現だけに、状況が思い浮かびやすく、初めて聞いても意味を推測しやすいフレーズと言えます。
【ここがポイント!】
- 「catch the bouquet」の核は、ブーケトスで「次に結婚する」と言い伝えられる行為そのもの
- 結婚式という場面と強く結びついているため、意味を推測しやすいのが特徴
- 独身が続く自分や友人を軽くからかうジョークの文脈で使われることが多い
『ビッグバン★セオリー』S11E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
コミックブック店を訪れたラージは、店主のスチュアートに婚約祝いの品を探していると告げます。相手がシェルドンとエイミーだと知ったスチュアートの驚きに続き、ラージが自分自身の結婚運を軽く笑う一言を返す場面に注目です。
Raj: It’s for Sheldon and Amy.
(シェルドンとエイミーへの贈り物なんだ。)Stuart: No way! They’re engaged?
(まさか!二人、婚約したのか?)Raj: Yeah.
(そうなんだ。)Stuart: Well, that’s exciting news. Who would’ve thought Sheldon and Amy would be the next two to tie the knot?
(それはめでたいニュースだな。シェルドンとエイミーが次に結婚するなんて、誰が予想しただろう?)Raj: Tell me about it. I’m the one who caught the bouquet at Leonard and Penny’s wedding.
(まったくだよ。僕はレナードとペニーの結婚式でブーケを受け取った本人だからね。)The Big Bang Theory Season11 Episode1 (The Proposal Proposal)
シーン解説と心理考察
店主のスチュアートに婚約祝いの品を探していると伝えたのは、コミックブック店を訪れたラージです。相手がシェルドンとエイミーだと知ったスチュアートは「まさか!」と驚きつつ、「二人が次に結婚するなんて誰が予想しただろう」と祝福の言葉を口にします。
ラージの「まったくだよ。僕はレナードとペニーの結婚式でブーケを受け取った本人だからね」という返しには、独身が続く自分への苦笑いのようなユーモアがにじみます。ブーケを受け取った人は次に結婚するという言い伝えを自ら引き合いに出しながらも、現実はそうなっていない状況を茶化す余裕が感じられる場面です。
周囲のカップルが次々と結ばれていく中で、一人取り残されたような立場に置かれながらも、それを深刻に受け止めず笑いに変えるラージらしい振る舞いが表れています。自分の状況をあえて言葉にして笑いに変えることで、気まずさを感じさせない軽やかな返しになっている点も見どころです。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
花嫁が後ろ向きに投げたブーケを、大勢の友人たちが一斉に手を伸ばして受け取ろうとする結婚式の定番シーンを思い浮かべてみましょう。偶然そのブーケを掴んだ人に、次の結婚の順番が回ってくるというイメージを持つと、catch the bouquet が持つ比喩的な意味がすっと入ってきます。
ラージが自分自身をネタにして語ったように、実際には結婚に至らなかった出来事としてこのフレーズを使うと、少し自虐的なユーモアも表現できます。結婚式の場面と一緒に思い出せるフレーズです。
例文で覚える「catch the bouquet」
結婚式のブーケトスにまつわる catch the bouquet を、3つの例文で確認していきましょう。
My sister caught the bouquet at my cousin’s wedding last year.
(去年、いとこの結婚式で姉がブーケを受け取ったんだ。)
結婚式の思い出を語る日常会話の場面です。誰が受け取ったかを主語にするだけで、自然な報告文になります。
According to tradition, whoever catches the bouquet will be the next to marry.
(言い伝えによると、ブーケを受け取った人が次に結婚するらしい。)
結婚式の風習そのものを説明する場面です。whoever を使うことで、特定の誰かではなく言い伝え全般について語れます。
A: Did you catch the bouquet at the wedding?
B: No, I didn’t even try. I’m not ready to get married.
(A:結婚式でブーケは取った?)
(B:いや、挑戦もしなかったよ。まだ結婚する気はないからね。)
結婚式後の会話で冗談を交わす場面です。didn’t even try と返すと、最初から参加していなかったことが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
tie the knot
(結婚する)
catch the bouquet が「結婚式での特定の行為」を指すのに対し、tie the knot は「結婚する」という行為そのものを表す慣用句です。今回のセリフにも next two to tie the knot という形で登場しています。
walk down the aisle
(祭壇に向かって歩く、結婚する)
catch the bouquet より式の別の場面(新郎新婦の入場)に焦点を当てた表現です。結婚式の一場面を切り取って語る点では似た性質を持ちます。
be next in line
(次の順番である)
catch the bouquet が結婚式特有の比喩であるのに対し、be next in line は順番待ち全般に使える一般的な表現です。結婚に限らず幅広い場面で応用できます。
Note|欧米の結婚式に根づく「ブーケトス」という風習
結婚式の定番イベントとして知られるブーケトスですが、この風習がいつどのように生まれたのかをたどってみましょう。
中世ヨーロッパでは、花嫁の衣装や持ち物の一部を手に入れると幸運が訪れると信じられており、祝福を求める客たちが花嫁に詰め寄って衣装を引きちぎってしまうこともあったと言われています。そこで花嫁が自らブーケや靴留めを投げて客の気をそらし、身を守ろうとしたことが、ブーケトスの起源の一つとされています。やがてこの習慣は、投げられたブーケを受け取った人が「次に結婚する」という縁起の良い言い伝えに変化し、現代ではパーティーの余興として親しまれるようになりました。近年では性別を問わず参加できる形式に変わったり、ブーケトスそのものを省略する式も増えており、時代とともに形を変え続けている風習でもあります。
ラージが口にした catch the bouquet も、この言い伝えを下敷きにした軽いジョークとして成立しています。風習の由来を知っておくと、なぜこのフレーズが独身をからかうユーモアに結びつくのかが、より実感として伝わってきます。身を守るための実用的な行動が、いつしか恋愛運を占う遊びへと意味を変えていった過程そのものが、このフレーズに奥行きを与えています。
結婚式という場面の背景を知ることで、フレーズの奥行きも広がります。
まとめ|ブーケを受け取った、その先の話
catch the bouquet は、結婚式のブーケトスで「次に結婚する」と言い伝えられる行為を指す表現です。由来となった風習を知っておくと、なぜこの一言が独身をからかうジョークに使われるのかも自然と見えてきます。
友人の結婚式を振り返るときも、自分自身の結婚運をおどけて語りたいときも、ブーケという具体的なイメージがあるおかげで、場面がすぐに伝わります。結婚式という誰もが思い浮かべやすい場面を土台にしている分、説明を重ねなくても意図が伝わりやすいのも扱いやすさの一つです。
ラージが自分の独身をネタに笑ってみせたように、このフレーズには結婚という話題を重くしすぎずに語れる軽さが宿っている場面でした。


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