海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン4 第3話に登場する、別れをはっきり言わずにぼかして伝える英語の言い換えです。エイミーと別れたシェルドンについて、レナードが仲間に事情を伝える場面と、シェルドン自身が「破局」という言葉を避ける場面には、婉曲な言い回しがいくつも積み重なっています。
まずは、シェルドンが「breakup」という語そのものを退ける場面から見ていきます。
「breakup」を認めない、はぐらかしの一言
エイミーとの関係を解消した直後、洗濯室でペニーに近況を尋ねられたシェルドンは、「破局」という語そのものを拒否する反応を見せます。
Sheldon: A breakup would imply she was my girlfriend. She was a girl who was my friend who is now a girl who is not my friend.
(「破局」という言葉は、彼女が僕の恋人だったことを意味してしまう。彼女は僕の友達だった女の子で、今は友達ではない女の子になった、というだけの話だ。)TBBT Season4 Episode3 (The Zazzy Substitution)
A breakup would imply … は、「その言葉を使うと、〜だったことになってしまう」と、言葉自体が運んでしまう含みを退ける言い方です。シェルドンは「破局」を感情的に否定したいのではなく、その語が前提とする「恋人だった」という事実自体を拒んでいます。定義から逆算して言葉を選び直す、いかにも理屈っぽいはぐらかし方と言えます。
同じ場面の少しあと、ペニーはこの言い換えを引き取るように、自分でも呼び方を保留にした一言を返します。
Penny: Well, breakups, or whatever the hell this is, can be tough.
(まあ、破局だろうと、これが一体何であれ、大変よね。)TBBT Season4 Episode3 (The Zazzy Substitution)
whatever the hell this is は、関係や状況に名前を付けきれないときに使う口語表現です。「これが何なのかは分からないけれど」と断定を避けたまま話を進められる便利な言い回しで、シェルドンの定義論争に付き合わず、話をやわらかく前に進める働きをしています。
相手に合わせて言い換えていく段階―hit a reefからboom-boomへ
大学のカフェテリアでは、レナードが仲間に「シェルドンのことが心配だ」と切り出し、その理由をひとつの比喩で説明します。
Leonard: No, I mean since the Shamy hit a reef.
(いや、シャーミーが座礁してからってことだよ。)TBBT Season4 Episode3 (The Zazzy Substitution)
hit a reef は、船が暗礁に乗り上げる様子になぞらえて、関係がうまくいかなくなったことを表す比喩表現です。しかしこの言い方はラージには通じず、レナードは相手の理解度に合わせて言葉のレベルを下げていくことになります。
Raj: What does hit a reef mean?
(座礁って、どういうこと?)Leonard: Uh, went splitsville.
(えっと、別れ街行きになったってことだよ。)Raj: Pardon?
(もう一回言って?)Leonard: Turned to boom-boom.
(ブンブンになっちゃったってことだよ。)Raj: Ah.
(ああ。)TBBT Season4 Episode3 (The Zazzy Substitution)
splitsville は、動詞 split(分かれる)に地名めいた接尾辞 -ville を付け、「別れの街」というニュアンスで破局をカジュアルに表す口語表現です。それでも伝わらないと見るや、レナードは幼児語のような響きの boom-boom まで持ち出します。比喩から俗語、さらに砕けた言い方へと一段ずつ言葉を重ねていく様子から、相手に合わせて表現のレベルを調整する感覚がつかめます。
まとめ|同じ「別れ」を、違う言葉で語る
hit a reef、splitsville、boom-boom、そして would imply や whatever the hell this is ―― 同じ「別れ」という出来事も、話す相手や場面によって、まったく違う言葉で語られることが見えてきます。婉曲な言い換えの階段を知っておくと、会話のニュアンスをより細かく読み取れるようになります。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、婉曲な言い換えの感覚を探っていきましょう。
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