海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回取り上げるのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン10 第3話に登場する、約束の期限に間に合わないことを伝える英語です。空軍に納める研究を進めるレナード、シェルドン、ハワードの3人のうち、シェルドンが計算の行き詰まりを仲間に打ち明け、後の場面ではウィリアムズ大佐に遅れが報告されます。
身内に打ち明けるときと、約束した相手に報告するときでは、選ばれる言葉が変わります。その違いを、場面の順に見ていきます。
「I’ve got nothing」と「figure something out」で行き詰まりを共有する
冒頭の研究室の場面で、レナードが期限の短さをシェルドンに突きつけます。
Leonard: We only have two months to deliver this to the Air Force because of you.
(君のせいで、空軍にこれを納めるまで2か月しかないんだよ。)TBBT Season10 Episode03
deliver は「届ける」のほかに、仕事の成果物を約束どおり納めるという意味でも使われます。この話全体を通して、期限と納品をめぐる会話の軸になる動詞です。
後の研究室の場面では、ホワイトボードの前で作業するよう促されたシェルドンが、計算が進んでいないことを打ち明けます。
Sheldon: No, I can’t figure out the math. I’ve been racking my brain for days, and I’ve got nothing.
(いや、計算が解けないのだ。何日も頭をひねっているが、何も出てこない。)Leonard: Seriously?
(本気で言ってるの?)Sheldon: I can’t do it. I’m not as smart as I think I am. I’m so sorry. This is all my fault.
(僕にはできない。僕は自分で思っているほど賢くはないのだ。本当にすまない。すべて僕のせいだ。)TBBT Season10 Episode03
I’ve got nothing. は、考え抜いた結果として何の案も出てこないことを認める短い一言です。rack one’s brain は「頭を絞る」に近い言い回しで、手を尽くしたうえでの行き詰まりであることが伝わってきます。
Leonard: It’s okay, we’ll figure something out.
(大丈夫、何か方法を考えよう。)Sheldon: But what if we can’t?
(だが、もし考えつかなかったら?)Leonard: It’ll be fine. You’ll see.
(きっと大丈夫だよ。今に分かるさ。)TBBT Season10 Episode03
シェルドンが「解けない」と言うのに使った figure out を、レナードは figure something out の形で返しています。目的語を something にすることで、正解そのものではなく、何らかの打開策を一緒に探そうという響きになるのが面白いところです。このやり取りの直後、シェルドンは眠り込んでしまいます。
「hit a snag」と「behind schedule」で遅れを報告する
場面が変わり、3人はウィリアムズ大佐の部屋を訪れます。最初に口を開くのはレナードです。
Leonard: Um, I don’t really know how to say this.
(えっと、どう申し上げればいいのか分からないのですが。)Colonel Williams: Well, you could try starting with sir.
(では、「サー」から始めてみてはどうだ。)Leonard: Right. Sorry, sir.
(そうですね。すみません、サー。)TBBT Season10 Episode03
I don’t really know how to say this. は、言いにくい内容の前に置く前置きです。大佐はそこで、呼びかけの sir から始めるよう求めます。ところがレナードは謝罪の後ろに sir を付けてしまい、この後シェルドンから最初に付けるよう言われたのだと指摘される流れです。
続いて、ハワードが遅れの中身を伝えます。
Howard: We’ve hit a bit of a snag. We’re already behind schedule.
(ちょっとした問題にぶつかりまして。すでに予定より遅れているんです。)TBBT Season10 Episode03
hit a snag は、計画が思わぬ障害にぶつかったことを表すイディオムです。a bit of を挟むことで、深刻さを少し和らげています。behind schedule は「予定より遅れて」という状態を伝える表現で、ahead of schedule(予定より早く)や on schedule(予定どおり)と並べると整理しやすくなります。
この後シェルドンが理由を説明し、レナードが we’re not gonna be able to deliver in the time we promised と、約束した期間内には納められないことを正面から認めます。
Colonel Williams: How long do you need?
(どれくらい必要なんだ?)Howard: We, we’re thinking, two years.
(僕たち、その、2年と考えています。)Colonel Williams: All right.
(いいだろう。)TBBT Season10 Episode03
How long do you need? は、遅れを聞いた側が必要な期間を尋ねる問い返しです。冒頭で「2か月」とされていた期限に対して「2年」という答えが返り、それが一言で了承される流れが、この場面の可笑しさと言えます。
まとめ|打ち明ける言葉と報告する言葉
今回は、I’ve got nothingやfigure something outで行き詰まりを共有する言い方と、hit a snagやbehind scheduleで遅れを報告する流れを見てきました。相手との距離に合わせて言葉を選ぶと、言いにくい知らせも伝えやすくなります。
期限に追われる研究室の会話から仕事の英語が見えてくるのも、『ビッグバン★セオリー』の面白さです。
同じエピソードを扱ったほかのコラムやフレーズ記事も、この回の英語を別の角度から見せてくれます。


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