「soldier through」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S10E03で学ぶ英会話

「soldier through」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

気乗りしない作業や終わりの見えない残業を前にして、文句を言いたいのをぐっとこらえ、とにかく手を動かし続けるしかない——そんな夜を過ごした経験はありませんか。

そんな状況にぴったりの「soldier through」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン10第3話の冒頭、締め切りに追われて深夜のラボでいがみ合う仲間たちをレナードがなだめるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「soldier through」の意味とニュアンス

soldier through
意味:つらくても弱音を吐かず、最後までやり抜く

soldier は名詞では「兵士」、動詞として使うと「(兵士のように)耐えて進み続ける」という意味になります。soldier through で、面倒なこと・しんどいこと・気乗りしないことを、不平を漏らさず黙々とやり遂げることを表します。

ポイントは、前提として「楽しくない・つらい状況」があること。順調に楽しく進めている場面では使いません。疲れていても、退屈でも、体調が悪くても、それでも投げ出さずに踏ん張る——その我慢と完遂のニュアンスが込められています。through(最後まで突き抜ける)が付くことで、「途中で止めず終わりまで」という到達点まで含むのが特徴です。

【ここがポイント!】

  • 核は「兵士のように、つらくても黙って進み続ける」イメージ
  • 前提に「気乗りしない・しんどい状況」があるのが効きどころ
  • through が付くことで「最後までやり遂げる」完遂のニュアンスが出る一言

『ビッグバン★セオリー』S10E03のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

空軍への納品期限が縮まり、深夜のラボで作業を続ける3人。眠りたいシェルドンと働かせたいハワードがコーヒーをめぐって言い争いを始め、板挟みになったレナードがついに割って入ります。

Sheldon: And look how irritable it’s making you!
(ほら、そのせいでこんなにイライラしてるじゃないか!)

Leonard: Guys, we’re not gonna get anything done if we start fighting. Now, can you please try to soldier through?
(なあ二人とも、けんかし始めたら何も終わらないぞ。頼むから、歯を食いしばってやり抜いてくれないか?)

The Big Bang Theory Season10 Episode3 (The Dependence Transcendence)

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シーン解説と心理考察

このやり取りには、グループのまとめ役としてのレナードの立ち位置がよく表れています。眠気とコーヒーをめぐる子どもじみた口論に、彼は感情で対抗するのではなく、「けんかしていたら作業が進まない」という現実的な一点に絞って割って入ります。

命令ではなく can you please try to と頼む形をとっているのも見どころです。苛立つ二人を刺激せず、それでいて前に進ませたい——その配慮が soldier through という一言に重なっています。「兵士のように耐えてくれ」という比喩には、しんどい状況そのものは認めたうえで、それでも完遂を求める切実さがにじみます。シットコムらしい騒がしい応酬の中で、レナードだけが場の温度を下げようとしている構図が伝わってきます。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

泥だらけでくたくたになりながらも、命令どおり前へ進み続ける兵士の姿を思い浮かべてみてください。足取りは重い。それでも止まらない。その「重いのに前進する」身体の感覚が、soldier through の芯にあります。

このシーンでは、けんか腰の同僚たちを前に、レナードが「ここは兵士のように耐えて進もう」と呼びかけていました。楽しくはないけれど投げ出さない——その情景と「兵士の行軍」のイメージを重ねておくと、しんどい場面で自然と口から出てくる表現になります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「soldier through」

つらい状況を「それでもやり抜いた」と伝えたいときに活躍するフレーズです。3つの場面で使い方を見てみましょう。

I wasn’t feeling well, but I soldiered through the presentation.
(体調は良くなかったが、なんとかプレゼンを最後までやり切った。)
体調不良でも仕事をやり遂げた場面です。through のあとに乗り切った対象(the presentation)を置くと、「何を耐え抜いたか」がはっきり伝わります。

The hike was exhausting, but we soldiered through to the summit.
(登山は過酷だったが、私たちは頑張って頂上までたどり着いた。)
体力的なきつさを乗り越えた場面にも使えます。to the summit のように到達点を添えると、「最後までやり抜いた」完遂のニュアンスが際立ちます。

A: This report is so boring, I can barely keep my eyes open.
B: I know, but let’s just soldier through it and get it done tonight.
(A:この報告書、退屈すぎて目を開けていられないよ。)
(B:わかる、でもとにかく踏ん張って今夜中に終わらせよう。)
面倒な作業を仲間と乗り切ろうと声をかける、劇中のレナードに近い使い方です。会話の中では「一緒に耐えて進もう」という励ましの一言として機能します。

あわせて覚えたい関連表現

push through
(押し進む、なんとかやり通す)
soldier through とほぼ同義ですが、push は「障害を押しのける」力強さが前面に出ます。soldier through のほうが「黙って耐える」忍耐の色合いが濃い表現です。

tough it out
(歯を食いしばって耐える)
弱音を吐かず我慢する点は共通していますが、こちらは「その場を耐えしのぐ」感覚が中心です。soldier through は耐えつつ前進し、やり遂げるところまで含みます。

grin and bear it
(笑顔を作って我慢する)
不満を表に出さず耐える点は近いものの、こちらは「諦めて受け入れる」受け身の色が濃い表現です。soldier through が持つ「能動的にやり抜く」前向きさとは温度が異なります。

Note|なぜ「兵士」が「耐え抜く」になったのか

何気なく使われる soldier through ですが、その中心には「兵士(soldier)」という言葉が据えられています。なぜ兵士が「耐えてやり抜く」という意味につながったのでしょうか。

soldier はもともと名詞の「兵士」で、これが動詞として使われるようになったものとされています。命令を受ければ、悪天候でも疲労困憊でも、隊列を崩さず前進し続ける——そうした兵士のイメージが、「つらくても黙って職務を全うする」という比喩に発展したと言われています。実際、soldier through と並んで soldier on(困難な状況でも黙々と続ける)という言い回しもあり、どちらも「兵士のように」という発想を土台にしています。軍隊や戦争に由来する表現は英語の日常会話に意外なほど多く、bite the bullet(覚悟を決めて困難に立ち向かう)などもその一例です。

こうして見ると、soldier through が単なる「我慢する」ではなく、「責務として、最後まで耐え抜く」という重みを帯びていることが分かります。レナードが仲間に求めたのも、まさにこの「兵士のような完遂」でした。

言葉の背景を知ると、同じ「頑張る」でも選ぶ表現の手触りが変わってきます。

まとめ|深夜のラボで交わされた「やり抜こう」の一言

soldier through は、楽しくない状況を前提に、それでも弱音を吐かず最後までやり遂げる——そんな「耐えて完遂する」姿勢を一語で表す表現です。

退屈な作業、終わりの見えない残業、気の進まない用事。そうした場面で「とにかく踏ん張って終わらせよう」と自分や仲間に声をかけたいとき、この一言があると気持ちの切り替えがしやすくなります。

締め切りに追われる深夜のラボで、いがみ合う仲間をなだめようとしたレナードの「soldier through」。その後ろには、誰もが経験する「やりたくないけど、やるしかない」という小さな葛藤が透けて見える場面でした。

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