海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン10 第11話から、内緒にしておくべきことを口にしてしまい、相手に責められる場面の英語を取り上げます。ハワードとバーナデットが知らずにいた赤ちゃんの性別を、ラージがうっかり口にしてしまうやり取りです。
「How could you?」と言われた側は、何と返すのか。責める側の短い一言と、言い訳する側の苦しい返しを、対にして見ていきます。
口を滑らせた直後の「I said she, but ~」
舞台はハワードとバーナデットの家の台所です。いつか赤ちゃんが見るためだと言って、ラージがビデオを撮っています。バーナデットに撮る必要があるのかと聞かれ、ハワードにもカメラはもういいと止められたところで、ラージはこう答えます。
Raj: Well, this is not for me, this is for the baby. Some day she‘s gonna want to see this.
(いや、これは僕のためじゃなくて、赤ちゃんのためなんだ。いつか彼女がこれを見たくなるはずだよ。)Howard: I’m sorry, who’s gonna want to see this?
(待て、誰が見たくなるって?)Raj: I, I said she, but lot’s of things are she, boats and cars, whales,
(い、今「彼女」って言ったけど、「彼女」って呼ぶものはいろいろあるだろ、船とか車とか、クジラとか)TBBT Season10 Episode11
ラージは赤ちゃんをshe(彼女)と呼んでしまい、ハワードがそこを聞きとがめます。ハワードのI’m sorryは謝罪ではなく、「今なんて言った?」と聞き返す前置きです。聞き捨てならない一言があったとき、文頭に置くと聞き返しの合図になります。
I said she, but ~は、「彼女と言ったけど、それは〜だから」と自分の発言を取り繕う形です。英語には船や車などの乗り物をsheで受ける古い用法があり、ラージはそれを持ち出して言い逃れようとしています。ただ、現在の英語では乗り物もitで受けることが多く、苦しい言い訳になっているのが笑いどころです。なお、台本の「lot’s」は原文の表記のままで、通常の綴りはlotsです。
その後、バーナデットはラージの名前だけを短く呼びます。名前だけで呼びかける言い方には、日本語の「ちょっと」に近い、たしなめる響きがあります。それを受けたラージは、I’m gonna sign off now.(じゃあ、このへんで撮影を終わります)と切り上げようとします。sign offは、放送や配信、手紙などを締めくくるときに使われる言葉です。
「How could you?」と「You have no idea how hard it is to ~」
続いて、バーナデットとハワードがラージを責め始めます。
Bernadette: How could you?
(どうしてそんなことができるのよ?)Howard: We made it this far without knowing, and you’ve ruined it.
(俺たちはここまで知らずにやってきたのに、お前が台無しにしたんだぞ。)Raj: Well, you guys have no idea how hard it is to know something like this and not say it.
(だって、こういうことを知っていて黙っているのがどれだけ大変か、君たちには分からないんだよ。)TBBT Season10 Episode11
How could you?は直訳すると「どうしてそんなことができたの?」ですが、理由を尋ねる質問ではありません。後ろのdo thatなどを省いた形で、相手の行為を強く責める一言です。ハワードのmake it this farは「ここまでたどり着く」で、知らないまま過ごしてきた時間を台無しにされた不満が込められています。
ラージの返しのYou have no idea how hard it is to ~は、「〜がどれだけ大変か、あなたには分からない」と自分の苦労を訴えて、非難をかわそうとする型です。know somethingとnot say itの対比で、知っているのに言えないつらさが強調されています。謝罪の言葉が一つも入っていないところに、ラージの言い分らしさが出ています。
この弁明の直後、同席していたスチュアートが口を挟みます。
Stuart: You told me it was a girl, and I didn’t say it.
(僕は女の子だって聞いたけど、言わなかったよ。)Bernadette: Raj.
(ラージ。)Raj: You were supposed to keep that to yourself.
(それは君の胸にしまっておくはずだっただろ。)Stuart: Oh, yeah. I guess it is hard.
(ああ、そうか。確かに難しいね。)TBBT Season10 Episode11
スチュアートは「自分は言わなかった」と言いながら、その一言で性別を口にしてしまいます。be supposed toは「〜することになっている」で、過去形にすると「〜するはずだったのに」と相手を責める響きが加わります。keep ~ to yourselfは「〜を自分の胸にしまっておく」という意味です。スチュアートの最後の一言が、ラージの言い分をそのまま裏づけてしまう流れと読み取れます。
実際にHow could you?と言われたときは、苦労を訴える前にI’m sorry.と謝るほうが角が立ちにくいと言えます。
まとめ|責める言葉と言い訳の言葉
今回は、責める側のHow could you?やYou were supposed to ~と、言い訳する側のI said she, but ~やYou have no idea how hard it is to ~を見てきました。両方の立場の英語を知っておくと、気まずい場面のやり取りも聞き取りやすくなります。
4人の短い応酬を見返すと、責める言葉と言い訳の言葉が交互に出てくる流れがよく分かります。
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