海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン5 第21話に登場する、頼み事を呑ませるために代償を大げさに例える場面です。スティーヴン・ホーキング博士に会いたいシェルドンが、なかなか首を縦に振らないハワードに何度も頼み込み、ハワードが条件を出して交渉に応じるまでのやり取りが描かれています。
引かない頼み方から、要求の重さを比喩でほのめかす切り出し方まで見ていきます。
頼み込みを畳みかけ、周りに念押しさせる言い方
ハワードのもとにホーキング博士のオフィスから届いたメールをめぐって盛り上がったあと、話はホーキング博士への同行を巡る交渉に移ります。アパートでのやり取りです。
Sheldon: Howard, please, I’m begging you.
(ハワード、頼む、お願いだ。)Leonard: Raj, you’re our group historian. Has Sheldon ever begged before?
(ラージ、お前はグループの歴史家だろ。シェルドンが今まで頼み込んだことなんてあったか?)TBBT Season5 Episode21 (The Hawking Excitation)
I’m begging you. は、丁寧な依頼の一歩先にある、後がない頼み方です。Has Sheldon ever begged before? はレナードが本人にではなく周囲に問いかけ、事の異例さを確認させる言い方で、頼み込みの重みを間接的に強調しています。
この後もシェルドンは引き下がらず、頼み込みの理由を自分のためではないと言い換えます。
Sheldon: I’m not asking for me, I’m asking for Hawking.
(僕は自分のために頼んでいるんじゃない、ホーキングのために頼んでいるんだ。)TBBT Season5 Episode21 (The Hawking Excitation)
I’m not asking for me, I’m asking for X. は、自分の願いを他者のための頼みごとに言い換える型です。私利私欲ではないと示すことで、相手に断りにくくさせる効果があります。
交渉に持ち込み、代償を大げさな比喩でほのめかす言い方
根負けしたハワードが持ち出したのが、代償としていくつか用事をこなす条件でした。
Howard: But in exchange, I’d like you to do a few things for me.
(だがその代わり、いくつか俺のために用事をやってもらいたいんだ。)Sheldon: What kinds of things?
(どんなことだ?)Howard: Are you familiar with the 12 labours of Hercules?
(ヘラクレスの12の功業を知ってるか?)Sheldon: Of course.
(もちろんだ。)Howard: You should be so lucky.
(そうなったら、お前は相当運がいいってことになるな。)TBBT Season5 Episode21 (The Hawking Excitation)
But in exchange, I’d like you to do a few things for me. は、要求をそのまま突きつけるのではなく、交渉の切り出しとして条件を提示する言い方です。Are you familiar with the 12 labours of Hercules? は、ギリシャ神話の英雄が課された12の難業を引き合いに出し、これから頼むことの重さを比喩でほのめかしています。You should be so lucky. は、字面通りには幸運を願う言葉ですが、実際の要求はそれ以上に大変だという皮肉な含みを残す返しです。
まとめ|頼み込みも交渉も、型を知れば読み解きやすくなる
I’m begging you.、Has Sheldon ever begged before?、I’m not asking for me, I’m asking for X、in exchange, I’d like you to do a few things for me、Are you familiar with the 12 labours of Hercules?。畳みかける頼み方から、代償を大げさな比喩でほのめかす切り出し方まで、一連のやり取りを見てきました。相手を動かすために頼み方を言い換えたり、要求の重さを神話の例えで匂わせたりする型は、日常の頼みごとの言い回しにも応用できそうです。
次回のコラムでも、『ビッグバン★セオリー』の会話を通して英語表現の型を見ていきましょう。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。


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