海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン9 第3話に登場する、同じ単語なのに発音が割れる、という場面の英語です。舞台はメキシコの路上で、車のホイールのナットがどうしても外れず、四人が知恵を絞っています。
英語を聞いていると、同じ語なのに人によって読み方が違い、戸惑うことがあります。この場面では、その読み方の割れそのものが笑いの中心になっていて、作業に取りかかるときの言い回しもあわせて拾える一幕です。
「leever」か「lehver」か、作業より先に発音会議
外れないナットを前に、てこ(lever)を作ろうという方針が固まり、三人が材料探しに動き出します。
Raj: Of course. All we need is to find stuff to make a lever big enough to fix this.
(もちろんだよ。これを直せるくらい大きなてこを作る材料を見つければいいんだ。)
Howard: Exactly. I’ll bet there’s something around here that could be a lever.
(そのとおり。この辺に、てこになりそうなものがきっとあるはずだぜ。)
Leonard: Let’s see, a lever, a lever.
(どれどれ、てこ、てこっと。)TBBT Season9 Episode03
All we need is ~ は「必要なのは〜だけ」、I’ll bet ~ は「きっと〜のはずだ」と見込みを口にする言い方です。方針が決まって動き出す場面らしい、テンポのいい掛け合いになっています。
ところが、ここで一人だけ別の問題に取り組み始める人物がいます。
Sheldon: Everybody hold on. Let’s take this problem one step at a time. First, we need to decide whether we’re calling it leever or lehver. And the sooner we decide it’s leever, the sooner we can roll up our sleeves, not slehves, and get to work.
(全員ストップ。この問題は一度に一歩ずつ進めよう。まず、これを「リーバー」と呼ぶか「レバー」と呼ぶかを決める必要がある。「リーバー」だと早く決まれば、それだけ早く「スリーブス」を、「スレーブス」じゃなくね、まくり上げて作業に取りかかれるんだから。)
Leonard: We’re gonna be here foreever.
(僕たち、ここに「フォリーバー」いることになるよ。)TBBT Season9 Episode03
lever は、綴りは一つでも読み方が話者によって割れることのある単語です。台本はその二通りを leever / lehver と書き分けていて、シェルドンは作業よりも先に、どちらで呼ぶかを決めようと言い出します。
レナードの返しは、forever をわざと foreever と綴った一行です。シェルドン式の読み替えを forever に当てはめて、この調子では作業がいつまでも始まらないと切り返す、言葉遊びの応酬になっています。
袖をまくって取りかかる言い回し
シェルドンの長いセリフには、発音ネタと同じ行の中に、実用的な表現が三つ同居しています。
一つ目は Let’s take this problem one step at a time. です。one step at a time は「一度に一歩ずつ」、つまり手順を欲張らずに一つずつ進めようと仕切る言い方で、混乱した場面を整理する一言としてそのまま使えます。
二つ目は roll up one’s sleeves です。文字どおりには「袖をまくる」で、そこから「本腰を入れて取りかかる」姿勢を表す言い回しとして使われます。ここでは直後に、シェルドンが sleeves の読み方にまでこだわりを見せるのが笑いどころです。
三つ目は get to work で、「作業に取りかかる」を最短で言う形です。roll up our sleeves and get to work とつなげると、さあ本腰を入れて始めよう、という号令のひとまとまりになります。
なお、こうした読み方の割れは、どちらかを正解と一律に決めにくいものです。実際の会話では相手に通じる言い方を選べば十分で、違いに気づけること自体が聞き取りの引き出しになります。
材料探しの三人と、発音会議のシェルドン。同じ問題を前にしても、どこから手を付けるかが人によってここまで違うのが面白いところです。
まとめ|読み方の割れは間違い探しではない
同じ綴りの単語で発音が割れるという主題を軸に、All we need is ~、I’ll bet ~、one step at a time、roll up one’s sleeves、get to work と、作業前の英語を拾ってきました。発音の違いに出会ったら、正誤を競うのではなく通じるほうを選ぶ。その構えでいれば、聞こえ方の違いはむしろ学びの種になります。
外れないナット一つでここまで会話が転がる『ビッグバン★セオリー』の世界を、これからも一緒に楽しんでいきましょう。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。


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