海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン2 第23話に登場する、本音を隠しながら答える英語表現です。北極遠征を翌朝に控えたペニーとレナードの間で交わされる、贈り物と別れ際のやり取りから、言葉の裏にある気持ちの伝え方を見ていきます。面と向かって言えることと、ドアを閉めた後に初めて漏れる本音との落差が印象的な場面です。素直に言葉にできない気持ちが、行動や物にどう表れるかにも注目です。
さりげなく贈り物を差し出す言い方から、相手の真意を確かめる問いかけ、はぐらかしながら答える言い方まで、順を追って見ていきます。
さりげなく贈り物を差し出す言い方
出発前夜、ペニーはレナードに少し話したいことがあると声をかけ、周りの騒がしさから離れて二人だけで部屋の外に出ます。差し出したのは、遠征への餞別でした。
Penny: Well, I got you a little going away present.
(ねえ、ちょっとした送別のプレゼントを用意したの。)Leonard: Oh, a blanket.
(へえ、毛布か。)Penny: Oh, no, no, no, not just a blanket. See, it has sleeves. Yeah! So, you can, you know, be all snoodled up while you do your science stuff.
(ううん、ただの毛布じゃないの。ほら、袖がついてるのよ。だから、科学のお仕事をしながらでも、すっぽりくるまっていられるでしょ。)Leonard: Oh, wow, cool.
(へえ、それはいいね。)TBBT Season2 Episode23 (The Monopolar Expedition)
I got you a little going away present. は、贈り物を差し出すときの控えめな言い方です。little を添えることで、大げさな贈り物ではないという体裁を取りながら、実際には相手のことを考えて用意した気遣いを伝えています。going away present という言い方自体、しばらく会えなくなる相手に向けた餞別を指す定番の表現で、贈る理由をひとことで説明できる便利な言い回しでもあります。レナードが「毛布か」とあっさり受け取ろうとすると、ペニーは not just a blanket とすぐに言い直し、袖がついている工夫を See, it has sleeves. と力を込めて説明しています。snoodled up という珍しい言い方も、辞書的な正確さよりも、暖かく包まれている様子をそのまま伝えたいペニーらしい口ぶりを表しています。
ちょっとした贈り物を渡すときの謙遜混じりの切り出し方として、また、単なる実用品として片付けられそうになった瞬間に工夫の意味を伝え直す、というやり取りの運び方としても参考になる言い回しです。Yeah! と勢いよく畳みかける口調にも、実用性だけでなく思い入れを分かってほしいという焦りに似た気持ちが表れています。
レナードの Oh, a blanket. という第一声は、深い意味を読み取らないまま素直に受け取った反応です。ペニーがすかさず訂正を入れる勢いには、単なる実用品ではなく、遠征に向かう相手のことを考えて選んだという事実を伝えたい気持ちが表れています。相手の反応があっさりしているほど、贈った側がつい言葉を継ぎ足したくなる、というやり取りの温度差もこの場面らしいところです。言葉ではっきり気持ちを述べないまま物の説明だけで伝えようとするこのやり方は、次に見る朝の会話、そして本音が別の形でしか出てこない結末への伏線にもなっています。
真意を確かめる問いかけと、はぐらかしながら答える言い方
翌朝、出発を控えたレナードはペニーの部屋を訪ね、朝早くに訪ねたことを詫びながらも、前夜の言葉の真意を確かめに行きます。
Leonard: What did you mean when you said you’re going to miss me?
(君が僕のことを恋しくなるって言ったのは、どういう意味だったんだ?)Penny: Um, I don’t know. You’ll be gone and I’ll notice.
(うーん、わかんない。あなたがいなくなったら、私が気づくってだけよ。)Leonard: Okay, well, um, what about this? What does this mean?
(じゃあ、これはどうなんだ? これはどういう意味なんだ?)Penny: Wine, credit card and late night television are a bad combination.
(ワインとクレジットカードと深夜のテレビ番組が重なると、ろくなことにならないのよ。)TBBT Season2 Episode23 (The Monopolar Expedition)
What did you mean when you said …? と What does this mean? は、どちらも相手の言葉や行動の真意をそのまま尋ねる型です。特に後者は、贈られた毛布を示しながら「これは何を意味するのか」と直接尋ねており、物そのものに気持ちを語らせようとする問いかけになっています。対するペニーの I don’t know. You’ll be gone and I’ll notice. は、質問には答えているようで核心には触れない切り返しです。Wine, credit card and late night television are a bad combination. に至っては、毛布を衝動買いの産物だと説明することで、贈り物に込めた気持ちそのものをはぐらかしています。
最初の問いへの答えの冒頭に置かれた Um という言いよどみも見逃せないところです。即答できない気まずさが、はっきりした否定の言葉よりも先に音として表れています。深く考えていないふりをしながら、実は答えたくない核心を巧みに避けている様子が、短いやり取りの端々ににじんでいます。
レナードとペニーの挨拶を最後に、ペニーはドアを閉めます。誰もいなくなった部屋で、ひとりごとのように本音がこぼれます。
Penny: Means I wish you weren’t going.
(あなたに行ってほしくない、って意味よ。)TBBT Season2 Episode23 (The Monopolar Expedition)
相手の前でははぐらかしていた What does this mean? への答えが、ドアの向こうでようやく明かされる構成です。Means I wish you weren’t going. は “It means I wish you weren’t going.” の It を省いた言い方で、先ほど答えをはぐらかした問いかけへの返事を、相手のいないところで初めて本音として言い直したものです。主語の It を省いた分だけ、ひとりごとらしい素っ気なさが残り、誰かに聞かせるための言葉ではないことも伝わってきます。
面と向かって聞かれれば茶化して答えるのに、相手が去った後にだけ本心を口にする。この落差こそが、はぐらかしの言葉の裏に何が隠れていたかを何よりも雄弁に語っています。何と答えるかよりも、いつ、誰に向けて口にするかで言葉の重みが変わる、という会話ならではの機微が、この短い一言に集約されています。
まとめ|本音は、はぐらかした言葉の裏にある
I got you a little going away present.、What did you mean when you said …?、Means I wish you weren’t going.。贈り物を差し出す控えめな言い方も、真意を確かめる問いかけも、はぐらかしながら答える言い方も、直接言わない気持ちを伝える手段としてつながっています。言葉のタイミングひとつで意味合いが変わる面白さも伝わる場面です。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話を通して、英語表現の型を見ていきましょう。
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