海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
立ち居振る舞いや暮らしぶりから、「あの人、もしかして良いところの育ちかも」と感じる瞬間が、ときどきありますよね。
そんな「育ちの良さ」を一言で言い表す「come from money」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン6第11話、バーで女性を紹介してもらおうとするラージが、自分の出自について妙な条件をつけるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「come from money」の意味とニュアンス
come from money
意味:裕福な家の出である、金持ちの家庭で育つ
come from は本来「〜から来る」と出身地を示す表現です(I come from Japan など)。その「from のうしろ」に money を置くことで、「お金のある家から来た」、つまり「裕福な家庭の出身である」という意味になります。
ポイントは、これが「本人が稼いだお金」ではなく、「生まれ育った家庭が裕福だった」という出自・背景を指すことです。自力で財を成した人ではなく、もともと恵まれた家に生まれた人について使われます。そのため、お金の有無だけでなく「育ちの良さ」というニュアンスがほんのり漂うこともあります。英語圏には old money(代々続く富裕層)と new money(一代で築いた富)を区別する感覚があり、come from money はとくに前者を連想させやすい表現です。
【ここがポイント!】
- come from の「from」のうしろに money を置く形が核
- 自分で稼いだのではなく「裕福な家に生まれ育った」出自を指す一言
- 「育ちの良さ」がにじむこともある、背景に注目する表現
『ビッグバン★セオリー』S06E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
女性を紹介してもらえることになったラージが、いくつか条件を出しはじめます。「素の自分を愛してほしい」という殊勝な願いから始まるのですが、その注文はだんだん怪しい方向へ転がっていきます。
Raj: Okay. Well, a couple of things. Don’t tell them I come from money. I want them to love me for me.
(わかった。ええと、いくつか条件があるんだ。僕が裕福な家の出だってことは言わないで。素の僕を愛してほしいんだよ。)Raj: They must be insanely hot. Like, nines or tens.
(それと、めちゃくちゃ美人じゃなきゃダメだ。9点か10点クラスのね。)Penny: Nines or tens?
(9点か10点?)The Big Bang Theory Season6 Episode11(The Santa Simulation)
シーン解説と心理考察
「素の自分を愛してほしい」という言葉と、その直後の注文との落差に、このシーンの笑いがあります。ラージはまず「裕福な家の出だと言わないで」と、お金目当てで好かれたくないという誠実そうな願いを口にします。ところが間髪入れず「相手は9点か10点の美人で」と、自分の外見へのこだわりを棚に上げた高望みを始めてしまいます。
come from money というセリフは、ラージがインドの裕福な家庭の出身だという設定をさらりと示しています。お金で寄ってこられたくない、という悩みは富裕層ならではのもの。けれど、その上品な悩みと、続く身勝手な注文とのギャップが、彼の自己矛盾とコミカルさを一段と際立たせています。誠実さと欲望が同居しているところに、このキャラクターの愛嬌がにじみます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
その人が歩いて「やって来た出どころ(come from)」が、お金で満ちた家だった——そんな映像を思い浮かべてみてください。come from は、I come from Japan のように出身を示すおなじみの表現です。
その行き先を「国」ではなく「money」に置き換えると、「お金のある家から来た=裕福な家の出」と覚えられます。ラージが「come from money だと言わないで」と頼むこのシーンは、お金持ちゆえの恋愛の悩みを描いています。その背景事情とセットにすれば、フレーズの意味がぐっと記憶に残ります。
例文で覚える「come from money」
人の経済的な出自や育ちを語るときに使う表現です。三つの場面で使い方を見ていきましょう。
You can tell she comes from money by the way she carries herself.
(立ち居振る舞いを見れば、彼女が裕福な家の出だとわかる。)
人の育ちを話題にするときの最もよくある形です。「振る舞いから出自がにじむ」というニュアンスが自然に伝わります。
She built her business herself; she didn’t come from money.
(彼女は自力で事業を築いた。裕福な家の出ではなかったんだ。)
否定形で「自力で成功した」ことを強調する使い方です。come from money が「生まれ育ち」を指すからこそ、その対比がくっきりします。
A: How can he afford that house so young?
B: Oh, he comes from money. His family owns half the town.
(A:あんなに若いのに、どうしてあの家が買えるんだ?)
(B:ああ、裕福な家の出なんだよ。彼の一族はこの町の半分を持ってるんだ。)
意外な経済力の理由を説明する会話です。ドラマのラージのように、本人の稼ぎではなく家庭の背景を示す典型的な使い方です。
あわせて覚えたい関連表現
be well-off
(裕福である、暮らし向きが良い)
be well-off は「今、経済的に恵まれている」という現在の状態を指します。come from money が「生まれ育った家庭」の裕福さを指すのに対し、こちらは出自を問いません。
born with a silver spoon in one’s mouth
(裕福な家に生まれる、何不自由なく育つ)
同じ「裕福な生まれ」でも、こちらは「恵まれて甘やかされた」という皮肉が混じることが多い表現です。come from money はより中立的で、皮肉のトーンはありません。
old money
(代々続く富裕層、旧家の富)
old money は「世代を超えて受け継がれた富」という具体的な階層を指す名詞句です。come from money はそれより広く、「裕福な家の出」全般を指して使えます。
Note|old money と new money ―― 富にまつわる英語圏の階層意識
come from money がときに「育ちの良さ」をにじませるのは、英語圏に独特の、富をめぐる感覚が背景にあるからです。お金は「あるかないか」だけでなく、「どれだけ古いか」でも語られます。
英語圏には、old money と new money を区別する文化があります。old money は、何世代にもわたって受け継がれてきた富のこと。代々の資産家、いわゆる名家の富を指します。一方 new money は、起業や投資などで一代のうちに築かれた富を指します。同じ「お金持ち」でも、この二つはしばしば対比的に語られ、old money のほうに「洗練」「育ちの良さ」といったイメージが結びつけられることがあります。come from money という表現は、「家庭の中で受け継がれてきた裕福さ」を示すため、どちらかといえば old money 寄りの響きを帯びやすいのです。お金そのものより、その「年季」や「育ちの蓄積」に目を向ける——そんな感覚が、この言い回しの奥にはあります。
ラージがインドの裕福な家庭の出だという設定も、まさにこの「家に根づいた富」のイメージと重なります。だからこそ come from money という言葉が、彼の育ちのよさと、お金で好かれたくないという繊細な悩みを、さりげなく物語っているのです。
お金の「ある・なし」だけでなく「古さ」も語る——そこに英語ならではの感覚がのぞきます。
まとめ|ラージの出自がのぞく「裕福な家の出」の一言
come from money は、本人の稼ぎではなく「裕福な家庭に生まれ育った」という出自を表す表現です。come from が出身を示すこと、その先に money を置くという形を押さえれば、意味はすんなり頭に入ります。
人の背景や育ちについて語るとき、この一言があれば、「もともと恵まれた家の出だ」というニュアンスを的確に伝えられます。be well-off など似た表現との違いも意識すると、表現の幅が広がります。
人の出自や背景を語る表現として、会話のレパートリーに加えてみてくださいね。


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