海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
うまくいかないことが続いて、つい「どうして自分ばかり」と落ち込んでしまう――そんな気分から、なかなか抜け出せない日が誰にでもありますよね。
そんな心の状態を表す「feel sorry for oneself」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン7第23話の終盤、仕事をクビになったペニーが突然レナードに結婚を持ちかけるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「feel sorry for oneself」の意味とニュアンス
feel sorry for oneself
意味:自分を哀れむ、いじける、めそめそする
「sorry for(〜を気の毒に思う)」を、ほかの誰でもなく「oneself(自分自身)」に向けているのがこの表現の核です。つらい状況にある自分を必要以上に憐れんで、くよくよしたり自己憐憫に浸ったりすることを表します。
ニュアンスとして覚えておきたいのは、これがしばしば否定的な文脈で使われる点です。「いつまでもめそめそしてないで」と、その態度をたしなめたり、立ち直りを促したりする場面でよく登場します。”Stop feeling sorry for yourself.” は「いじけるのはやめなよ」という定番のフレーズです。失恋や失敗のあとに落ち込み続ける人への忠告、自己憐憫を戒める励ましなど、相手を前向きにさせたい場面で使われることが多い表現です。
【ここがポイント!】
- 核は「気の毒に思う気持ちを自分自身に向けている」という構図
- 「いつまでもめそめそするな」とたしなめる否定的な文脈で使われやすい一言
- “Stop -ing” の形で「いじけるのはやめて」と励ましに転じるのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S07E23のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
映画の仕事をクビになったペニーが、自分の人生を見つめ直し、突然レナードに結婚を持ちかけます。長年それを望んできたレナードですが、すぐには喜ばず、彼女の本心を確かめようとします。
Penny: I don’t know. We could get married.
(わからない。私たち、結婚してもいいんじゃない)Leonard: You know I want to marry you, but you’re only doing this because you got fired and you’re feeling sorry for yourself.
(君と結婚したいのはわかってるだろう。でも君がこんなことを言うのは、クビになって自分を哀れんでるからだよ)The Big Bang Theory Season7 Episode23(The Gorilla Dissolution)
シーン解説と心理考察
レナードが “feeling sorry for yourself” と指摘するのは、ペニーの突然の決断が、本心からのものか、それとも一時の自暴自棄なのかを見極めようとしているからです。長く待ち望んだプロポーズだからこそ、勢いや逃避で受けたくないという彼の誠実さが伝わってきます。落ち込んだ勢いで大きな決断をしようとするペニーを、レナードは冷静に押しとどめます。
注目したいのは、この問いかけが物語を前に進める鍵になっている点です。「自分を哀れんでいるだけ」と核心を突かれたペニーは、「クビになったのはむしろ良いことだった、本当にあなたを選びたい」と本心を語り出します。否定的な響きを持つ feel sorry for oneself が、ここでは二人の関係を深める転換点として機能しているのが見どころです。相手の自己憐憫を見抜いたうえで、その先の本音を引き出していく――丁寧なやり取りだと言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
雨の日に部屋の隅で膝を抱え、「どうして自分ばかりこんな目に」とつぶやきながら、自分で自分の頭をそっとなでている――そんな自己憐憫に浸る姿を思い浮かべてみてください。誰かを気の毒に思う「sorry」の矢印が、ぐるりと自分自身に向いている。その構図が「feel sorry for oneself」のイメージです。
このシーンが記憶に効くのは、クビになった落ち込みの勢いで結婚を持ちかけるペニーと、それを「自分を哀れんでいるだけ」と見抜くレナードの対比があるからです。いじけた勢いで大きな決断をしようとする姿と結びつけておくと、「めそめそした状態」という否定的なニュアンスごと、すっと思い出せるようになります。
例文で覚える「feel sorry for oneself」
落ち込んだ相手を励ます場面でよく使われます。3つの場面で、その使い方を見てみましょう。
Stop feeling sorry for yourself and do something about it.
(自分を哀れむのはやめて、何か行動を起こしなよ)
くよくよする友人の背中を押す場面です。”Stop -ing” の形で「いじけるのはやめて」と、最も定番の戒め方になっています。
After the breakup, he spent a week just feeling sorry for himself.
(別れたあと、彼は一週間ただ自分を哀れんで過ごした)
失恋後の様子を描く場面です。「spend + 期間」と組み合わせて、どれだけの間めそめそしていたのかを伝えています。
A: I’ll never get a job at this rate.
B: You won’t if you just sit there feeling sorry for yourself. Let’s redo your resume.
(A:この調子じゃ一生仕事が見つからないよ)
(B:そうやって座っていじけてたら、本当に見つからないよ。履歴書を書き直そう)
落ち込む相手を励ます会話です。自己憐憫に浸る態度を指摘しつつ、次の行動へ促す、口語らしい使い方になっています。
あわせて覚えたい関連表現
wallow in self-pity
(自己憐憫に浸る)
「どっぷり浸かって抜け出せない」という、より強い否定的なニュアンスを持ちます。feel sorry for oneself の度合いをさらに強めた、やや硬めの表現です。
throw a pity party
((大げさに)自分を哀れんでみせる)
くだけた口語表現で、自己憐憫を半ば揶揄するニュアンスがあります。feel sorry for oneself よりカジュアルで、皮肉っぽく使われる点が違いです。
mope around
(ふさぎ込む、めそめそうろつく)
落ち込んで元気なく動き回る「様子・動作」を表す動詞です。feel sorry for oneself が「自分を哀れむ心理」に焦点を当てるのに対し、こちらは沈んだ立ち居振る舞いを描きます。
Note|「自己憐憫」と「自分への思いやり」をめぐる心理学
feel sorry for oneself は「自分を哀れむ」という、どちらかというと否定的に語られがちな心の動きです。ところが近年の心理学では、これとよく似て見えて、まったく別物とされる概念が注目されています。
それが「セルフ・コンパッション(self-compassion)」、日本語でいう「自分への思いやり」です。心理学者クリスティン・ネフらの研究で広く知られるようになった考え方で、つらいときに自分を責めすぎず、友人にかけるような優しさを自分にも向ける姿勢を指すとされます。ここで大切なのは、これが「自己憐憫(self-pity)」とは区別されている点です。研究上の整理では、自己憐憫が「自分だけが不幸だ」と問題に飲み込まれ、孤立感を深めていくのに対し、自分への思いやりは「つらさは誰にでもあるもの」と捉え直し、そこから立ち直る力につながると説明されます。つまり、同じ「自分にやさしくする」ように見えても、片方は沼にはまり込み、もう片方は前を向く――そんな違いがあると考えられています。
ペニーの場面に戻ると、レナードが見抜いた “feeling sorry for yourself” は、まさに前者の「沼にはまった」状態でした。だからこそ彼は、その勢いのプロポーズを一度押しとどめます。そして結果的にペニーは、自己憐憫から抜け出して「本当に選びたい」という前向きな本心へとたどり着きました。feel sorry for oneself という表現の否定的な響きの裏には、こうした「立ち直りとの境目」が隠れているわけです。
哀れむのか、いたわるのか。その一歩が、行き先を分けるのかもしれません。
まとめ|ペニーのプロポーズから学ぶ feel sorry for oneself
feel sorry for oneself は、つらい状況にある自分を必要以上に憐れんで、めそめそしたりいじけたりすることを表す表現です。「いつまでも落ち込んでいないで」とたしなめる、否定的な文脈で使われることが多いのが特徴です。
この一語を知っておくと、落ち込む相手に「いじけるのはやめよう」と声をかけたり、自分の沈んだ気分を客観的に言い表したりできるようになります。”Stop feeling sorry for yourself.” の形は、励ましの定番として覚えておくと便利です。
自己憐憫を見抜かれたペニーが本心へとたどり着くこの場面を入り口に、feel sorry for oneself を表現の引き出しに加えてみてください。落ち込みに名前をつけられると、抜け出す一歩も見えてきます。


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