海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
「死ぬほどお腹すいた」「殺されるかと思った」――こうした大げさな言い回しを、誰かに文字どおり受け取られて、慌てて「いや、ただの言葉のあやだよ」と説明した経験はありませんか。
その「言葉のあや、比喩的な言い回し」を指すのが「figure of speech」です。『ビッグバン★セオリー』シーズン3第6話、ペニーの何気ない一言に、理屈っぽいレナードがつい引っかかってしまうシーンから、一緒に見ていきましょう。
「figure of speech」の意味とニュアンス
figure of speech
意味:比喩的な言い回し、言葉のあや、慣用的な表現
文字どおりの意味ではなく、比喩や誇張、慣用として使われる表現をまとめて指す言葉です。figure には「数字」だけでなく「形・あや・装飾的な型」という意味があり、言葉に施された飾りのような言い回し、というイメージが核になっています。
日常でよく登場するのは、「It’s just a figure of speech.(ただの言葉のあやだよ)」という形です。誇張や比喩を相手に真に受けられたくないとき、あるいは真に受けられてしまったときに、それを和らげる弁明として使われます。隠喩や直喩といった修辞の用語としても使われますが、会話では「言葉どおりに受け取らないでね」という合図として働くことが多い表現です。
【ここがポイント!】
- 「figure of speech」の核は、言葉に施された装飾的な型=文字どおりではない言い回し
- 比喩や誇張を真に受けられたときの「言葉のあやだよ」という弁明で頻出
- 隠喩・直喩などの修辞用語にもなる、会話と文法の両方で使える表現
『ビッグバン★セオリー』S03E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。ペニーが友人たちと観戦したフットボールについて「私たちが勝った」と話すと、レナードはその言い方に理屈っぽく反応します。距離を縮めたいのに、つい言葉のロジックに口を出してしまう、彼らしい場面です。
Penny: It was pretty good. We won.
(なかなか良かったよ。私たちが勝ったの)Leonard: Oh, that’s excellent. It’s a weird figure of speech, isn’t it, we won when you weren’t actually playing. When we watch Star Wars, we don’t say, we defeated the Empire.
(へえ、すごいね。でも変な言い回しだよね、自分は実際にプレーしてないのに「勝った」なんて。スター・ウォーズを観るとき「我々が帝国を倒した」とは言わないのに)Penny: I’m glad to hear it.
(それは良かったわね)The Big Bang Theory Season3 Episode6(The Cornhusker Vortex)
シーン解説と心理考察
このやり取りには、言葉の厳密さにこだわらずにいられないレナードの理系的な性分が表れています。ペニーが何気なく口にした「We won」を、「自分はプレーしていないのに勝ったと言うのは変だ」と分析し、スター・ウォーズのたとえまで持ち出して理屈をこねる様子に、彼の生真面目さがにじみます。
見どころは、ペニーとの仲を深めたいという思いと、つい言語のロジックに口を出してしまう不器用さのギャップです。せっかくの楽しい話題を、figure of speech という概念で腑分けしてしまうレナードに対し、ペニーの「それは良かったわね」というそっけない返しが、二人の感覚の違いをやわらかく見せています。figure of speech が、文字どおりに取ると確かに奇妙だけれど、誰もが慣用的にそう言う――という言葉の性質を、シーンそのものが体現しているのが面白いところです。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
figure という単語に、「数字」のほかに「形・姿・装飾的な型」という意味があることを思い出してみてください。言葉に施された装飾的な型、つまり飾って言い表したもの――それが figure of speech です。ありのままではなく、ひとひねり加えた言い方、とイメージすると核がつかめます。
レナードが「自分はプレーしてないのに『勝った』なんて変な figure of speech だ」と理屈っぽく指摘する場面とセットにすると、「文字どおりに取ると変だけど、みんな慣用的にそう言う」というこの表現の本質が記憶に残ります。困ったときの決まり文句「It’s just a figure of speech.」を、ひとかたまりで覚えてしまうのも有効な手です。
例文で覚える「figure of speech」
比喩や誇張をめぐる弁明や説明に使える figure of speech。3つの例文で、その使い方の幅をつかんでいきましょう。
Don’t take it literally — it’s just a figure of speech.
(文字どおりに受け取らないで。ただの言葉のあやだから)
大げさな言い回しを真に受けられたときの、最も定番の弁明です。it’s just a figure of speech が、誤解を和らげる決まり文句として機能しています。
Metaphors and similes are common figures of speech.
(隠喩や直喩は、代表的な比喩表現です)
文章やレトリックを学ぶ、ややフォーマルな場面です。figure of speech が、修辞の用語として使われる例で、複数形は figures of speech になります。
A: You said you’d “die” if you missed the concert. Are you okay?
B: Relax, it was just a figure of speech. I really wanted to go, that’s all.
(A:コンサートに行けなかったら「死ぬ」って言ってたけど、大丈夫?)
(B:落ち着いて、ただの言葉のあやだよ。すごく行きたかった、それだけ)
誇張を心配されて釈明する会話です。figure of speech が、言いすぎた表現をやわらげるクッションとして使われています。
あわせて覚えたい関連表現
manner of speaking
(言い方、言い回し)
in a manner of speaking(言ってみれば)の形で、断定を和らげる前置きに使われます。figure of speech が「比喩そのもの」を指すのに対し、こちらは表現の曖昧さを補う役割に寄ります。
turn of phrase
(言い回し、表現の仕方)
特定の気の利いた、あるいは特徴的な言い回しを指します。figure of speech が比喩全般を表すのに対し、turn of phrase は個々の表現の妙に注目する点で違いがあります。
idiom
(慣用句)
意味が固定された決まり文句を指します。figure of speech は比喩や誇張なども広く含むのに対し、idiom はより限定的に「慣用句」を表す、より狭い概念です。
Note|「It’s just a figure of speech」という弁明の定番
figure of speech は、辞書的な定義以上に、ある決まった場面で頻繁に登場します。それが「It’s just a figure of speech.(ただの言葉のあやだよ)」という弁明です。
英語圏の会話では、誇張や比喩を文字どおりに受け取られたとき、この一言で軽く釈明するのがごく自然な流れになっています。例えば「I could eat a horse(馬一頭でも食べられそう)」と言って「本当に?」と返されたら、笑いながら It’s just a figure of speech. と添える、といった具合です。この弁明が定着している背景には、英語の日常会話に誇張表現が数多く溶け込んでいる事情があります。「死ぬほど〜」「殺されるかと思った」のような大げさな言い回しを、話し手も聞き手も額面どおりには受け取らない――その暗黙の了解があるからこそ、もし誰かが真に受けてしまったときに、figure of speech という一語で「いや、本気じゃないよ」と素早く軌道修正できるわけです。劇中のレナードは逆に、ペニーのごく普通の言い回しをわざわざ figure of speech として分析してしまい、その生真面目さが笑いを生んでいます。
この使われ方を知っておくと、figure of speech が単なる文法用語ではなく、会話の行き違いをそっと整えるための実用的な一言だと感じられます。
言葉を額面どおりに取らない余裕が、会話を軽やかにしているのですね。
まとめ|レナードの理屈っぽさから学ぶ「言葉のあや」
figure of speech は、文字どおりではない比喩的な言い回しを指し、誇張を真に受けられたときの弁明としても活躍する表現です。figure の「装飾的な型」というイメージを押さえておくと、その守備範囲の広さが見えてきます。
「It’s just a figure of speech.」という決まり文句を覚えておけば、言いすぎた表現を笑いとともに収めることができます。idiom や turn of phrase との違いも、指す範囲の広さで整理しておくと混同を避けられます。
レナードのように真面目に分析するもよし、ハワードのように軽く受け流すもよし。言葉の遊びと向き合うための一語として、表現の引き出しに加えてみてください。


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