海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
ネットのコメント欄やきょうだいのからかいで、わざと神経を逆なでするようなことを言われて、つい反応してしまった経験はありませんか。相手は本気ではなく、こちらがムキになる様子を面白がっているだけ——そんな構図を、英語ではひとことで言い当てられます。
そんな場面にぴったりの「get a rise out of someone」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン8第14話の後半、匿名コメントに激怒するシェルドンを、ラージが冷静に諭すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「get a rise out of someone」の意味とニュアンス
get a rise out of someone
意味:(わざと)人を怒らせる、挑発して反応を引き出す
直訳すると「人から rise(反応・興奮)を引き出す」です。からかいや挑発によって、相手の感情的な反応——特に怒りやムキになった反応——を引き出すことを指します。
引き出す側が「相手の反応を面白がっている」というニュアンスを含むのが特徴です。本気で傷つけようというより、相手がムキになる様子を楽しんでいる、という軽さがあります。ネット上の煽り合いや、きょうだい・友人同士の軽いいじりの文脈でよく使われます。
「He’s just trying to get a rise out of you(彼はただ君を怒らせようとしてるだけ)」のように、挑発に乗らないよう諌める場面でも頻出します。相手の狙いを見抜いて「乗っちゃだめだよ」と伝えるときの、定番の言い回しです。
【ここがポイント!】
- 核は「相手をつついて、ムキになった反応を釣り上げる」イメージ
- 本気の攻撃ではなく、反応を面白がる軽い挑発を表す一言
- 「乗っちゃだめ」と諌めるときにもよく使われるのがポイント
『ビッグバン★セオリー』S08E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
物理ブログの匿名コメント欄で、二人の論文を執拗に挑発する人物に、シェルドンが激怒しています。ラージは、相手はただ反応を楽しんでいる「荒らし」だと冷静に見抜き、相手にするなと諌めます。エピソードのタイトルにもある「troll(荒らし)」を象徴する場面です。
Sheldon: Engineers? Do you know how insulting that is?
(エンジニアだと? それがどれだけ侮辱的か分かるか?)Raj: Guys, this person’s just going out of their way to get a rise out of you.
(みんな、この人はわざわざ君たちを怒らせようとしてるだけだよ。)The Big Bang Theory Season8 Episode14(The Troll Manifestation)
シーン解説と心理考察
匿名の挑発コメントに我を忘れて反応するシェルドンと、その構図を一歩引いて見抜くラージ——二人の対比がこのシーンの見どころです。get a rise out of you というラージの一言には、「相手は本気の批判ではなく、君が怒る様子そのものを楽しんでいる」という鋭い観察が重なっています。
挑発に乗れば乗るほど、相手の思うつぼ——ラージはその現代的なネット心理を的確に突いています。一方のシェルドンは「でもやっぱり腹が立つ」と返し、頭では分かっていても感情を抑えられない様子がにじむ場面です。理屈の人であるはずのシェルドンが、匿名の煽りには無防備に反応してしまう——そのギャップが笑いを生んでいます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
釣り人が水面に餌をちらつかせ、魚が思わず食いついて勢いよく跳ね上がる(rise)——そんな場面を思い浮かべてみてください。get a rise out of someone の rise は、まさにこの「反応を釣り上げる」感覚です。
このシーンでは、匿名の荒らしが挑発という「餌」を投げ、シェルドンが見事に食いついて跳ね上がっています。ラージが「あいつは君を釣ろうとしてるだけだよ」と言っている構図を思い浮かべると、get a rise out of someone の「わざと反応を引き出す」イメージが、釣りの動きごと記憶に残しやすくなります。
例文で覚える「get a rise out of someone」
ネットの煽りから家庭内のからかいまで、「わざと反応を引き出す」さまざまな場面で使える表現です。3つの使い方で感覚を掴んでみましょう。
He says those things just to get a rise out of you. Ignore him.
(彼はただ君を怒らせたくてそう言ってるだけ。無視しなよ。)
挑発に乗りそうな相手を諌める場面です。劇中のラージのセリフに最も近い、実用的な使い方になります。
My little brother loves getting a rise out of me.
(弟は私を怒らせるのが大好きなの。)
家庭内の軽いからかいを語る場面です。きょうだい間のじゃれ合いにも自然に使えます。
A: Why does he keep posting those comments?
B: He’s just trying to get a rise out of people online. Don’t feed the troll.
(A:なんであの人、ああいうコメントばかり書くんだろう?)
(B:ネットでみんなを怒らせたいだけだよ。荒らしは相手にしないこと。)
SNSの煽りへの対処を語る会話です。don’t feed the troll(荒らしに餌をやるな)とセットで覚えると、ネット文脈で役立ちます。
あわせて覚えたい関連表現
push someone’s buttons
(人の神経を逆なでする、カチンとさせる)
相手の弱点やツボを突いて苛立たせることを指します。get a rise out of someone が「反応を引き出して面白がる」点に重きがあるのに対し、こちらは「ツボを突く」ことに焦点があります。
wind someone up
(人をからかって怒らせる)
イギリス英語で、冗談半分にいじって苛立たせることを表します。get a rise out of someone とほぼ同じ意味ですが、地域による言い回しの違いがあります。
egg someone on
(人をけしかける、煽り立てる)
相手を行動するよう煽ることを指します。get a rise out of someone が「感情的な反応を引き出す」のに対し、こちらは「行動を促す」点で、煽る対象が異なります。
Note|ネットの「troll(荒らし)」文化とこの表現
このエピソードのタイトル「The Troll Manifestation」に登場する troll(荒らし)は、get a rise out of someone と切っても切れない関係にあります。両者を重ねると、この表現が現代でどう生きているかが見えてきます。
ネットの世界で troll と呼ばれるのは、わざと挑発的な書き込みをして、他人が怒ったりムキになったりする反応を引き出すことを目的とする人々です。つまり troll の行動原理そのものが、まさに get a rise out of others——他人から反応を釣り上げることなのです。この文化の中で生まれた有名な助言が「Don’t feed the troll(荒らしに餌をやるな)」というもので、挑発に反応する=餌を与えることが、かえって相手を喜ばせてしまう、という構図を一言で表しています。劇中でラージがシェルドンに「相手は君を怒らせたいだけだ」と諌めるのは、この「餌をやるな」の精神そのものです。get a rise out of someone を「釣り上げる」イメージで捉えると、troll が餌を投げ、ターゲットが食いついて跳ね上がる、という現代ネットの構図がそのまま重なります。匿名性が人を大胆にさせ、面と向かっては言わないことも書き込んでしまう——劇中でハワードが指摘するこの心理も、troll 文化の背景にあります。
この表現を知っておくと、ネット上の煽りに出会ったとき、「ああ、これは get a rise out of me しようとしているんだな」と一歩引いて構えられます。
挑発に乗らないことが、いちばんの返し技になる——そんな知恵の宿る言葉です。
まとめ|ラージの冷静さを一言で
get a rise out of someone は、からかいや挑発で相手の感情的な反応を引き出すこと、そしてその反応を面白がる軽さを表す表現です。本気の攻撃ではなく、相手がムキになる様子を楽しんでいる、というニュアンスが核にあります。
ネットの煽り合いから、きょうだいや友人のじゃれ合いまで、「わざと反応を引き出す」場面でこの一言があれば、相手の狙いを言葉で言い当てられます。挑発に乗らないよう諌めるときにも、自分が誰かをからかったと振り返るときにも使える、便利な一語です。劇中のラージのように、煽りの構図を一歩引いて見抜く——そんな冷静さとセットで覚えておくと、いざというときに役立ちます。
ムキにならず受け流したい場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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