海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
ちょっとした一言で相手がカッとなってしまったり、寝る前の子どもをはしゃがせてしまったり——気持ちを高ぶらせてしまう場面は、日常のあちこちにあります。
そんなときに使える「get someone worked up」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン10第4話、身体的な接触を当面なしにする約束ができて、ほっとしたシェルドンが半分本気の冗談を口にするシーンから、一緒に見ていきましょう。
「get someone worked up」の意味とニュアンス
get someone worked up
意味:(人を)興奮させる、感情を高ぶらせる
get someone worked up は「相手の感情を高ぶった状態にする」という表現です。落ち着いていた気持ちを、興奮・動揺・怒りといった高ぶりへ持っていくことを指します。
ポイントは、高ぶる感情の種類が一つに限られないことです。文脈によって、わくわくした興奮にも、いらだちや動揺にもなります。get the kids worked up なら「子どもをはしゃがせる」、get worked up over a mistake なら「ミスでカッカする」と、場面に応じて色合いが変わります。
しばしば all を挟んで get someone all worked up とすると、「すっかり高ぶらせる」と程度が強調されます。また、相手ではなく自分のことを言う get worked up(感情的になる)の形も頻出で、Don’t get worked up.(熱くならないで)は、興奮した相手をなだめる定番のフレーズです。
【ここがポイント!】
- 核は「静かな状態から感情を高ぶった状態へ持っていく」イメージ
- 興奮・動揺・怒りと、文脈しだいで高ぶりの色が変わる表現
- all を挟むと「すっかり」と強調、なだめる Don’t get worked up も定番
『ビッグバン★セオリー』S10E04のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
同じベッドで眠ることになったエイミーとシェルドン。エイミーが「身体的な接触は当面なしにして、落ち着いてからまた考えよう」と提案し、シェルドンは心からほっとします。その安堵のあまり、彼は思わずひねった一言を返します。
Amy: I’ve never lived with someone, either. This is a lot for me, too.
(私も誰かと暮らすのは初めてなの。私にとっても大変なことなのよ)Sheldon: This is such a relief. Honestly, if it didn’t get you all worked up, I’d kiss you right now.
(すごくほっとしたよ。正直、これで君を興奮させてしまわないなら、今すぐキスするところだ)The Big Bang Theory Season10 Episode4(The Cohabitation Experimentation)
シーン解説と心理考察
プレッシャーから解放された安堵が、シェルドンらしいねじれた愛情表現に変わる場面です。普通なら「キスしたい」で終わるところを、「君を worked up させてしまうから我慢する」と逆さまに言う。接触を避けたい本心と、エイミーへの好意とが、一つの軽口の中に同居しているのが見どころです。
get you all worked up に all が入っているのも効いています。「ちょっと」ではなく「すっかり高ぶらせてしまう」と大げさに言うことで、照れ隠しのユーモアになっています。安心と気恥ずかしさが入り混じったシェルドンの表情が、この一言に重なっています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
work up は、エンジンの回転数を少しずつ上げて機械を動かしていくようなイメージです。それを人の気持ちに当てはめると、静かだった感情がじわじわ熱を帯びて、興奮や動揺の状態まで「仕上がっていく」感覚になります。
劇中のシェルドンが、「君を worked up させたくないからキスは我慢する」と、照れと安堵をにじませながら言う——あの妙なテンションの上がり方とセットにしておくと、get someone worked up が「感情のメーターを上げていく」方向の表現だと、自然に思い出せるようになります。
例文で覚える「get someone worked up」
感情を高ぶらせる場面で幅広く使えるフレーズです。良い意味でも悪い意味でも、また自分が高ぶる形でも使えます。
Don’t get him all worked up right before bedtime.
(寝る直前に、あの子を興奮させないでね)
子どもを落ち着かせたい場面の言い方です。all を挟むことで「すっかりはしゃがせる」という程度が伝わります。
The coach’s speech really got the players worked up.
(コーチのスピーチは、選手たちを大いに奮い立たせた)
良い意味で気持ちを高ぶらせる場面です。worked up は怒りだけでなく、前向きな興奮や士気の高まりにも使えます。
A: I’m so done with this project. It’s a complete mess.
B: Hey, don’t get worked up. Let’s go through it step by step.
(A:このプロジェクト、もう嫌だ。めちゃくちゃだよ)
(B:まあ、熱くならないで。一つずつ片づけていこう)
いらだつ相手をなだめる会話です。自分が高ぶる get worked up の形と、Don’t 〜 でなだめる定番の使い方が見て取れます。
あわせて覚えたい関連表現
wind someone up
(人をイライラさせる、からかう)
わざと相手を怒らせたり、からかったりする、意図的なニュアンスが強い表現です(イギリス英語でよく使われます)。get someone worked up が怒り以外の高ぶりにも使えるのに対し、wind up は挑発の色が濃くなります。
stir someone up
(人を煽る、かき立てる)
人を扇動して行動や騒ぎを引き起こす、外向きの含みがあります。get someone worked up が感情が内側で高ぶる状態に焦点を当てるのとは、向きが少し異なります。
rile someone up
(人を苛立たせる)
get someone worked up とほぼ同義ですが、いらだちや怒りに寄った表現です。高ぶりの色が「怒り」に偏る点が、より中立的な worked up との違いです。
Note|worked up / wound up / riled up の感情の違い
「感情が高ぶる」と言いたいとき、英語には worked up のほかにも、よく似た言い方がいくつかあります。並べてみると、それぞれが指す高ぶりの色合いが少しずつ違うことが見えてきます。
整理すると、get worked up は興奮から動揺まで幅広い高ぶりをカバーする、いわば中立的な表現です。これに対して get wound up は、ぜんまい(wind)を巻き上げるイメージから、緊張やいらだちで張りつめた状態を指すことが多くなります。そして get riled up は、三つの中でもっとも怒りに寄っていて、「カッカする」「いきり立つ」に近い色合いです。たとえば同じ「彼は高ぶっていた」でも、He was worked up なら興奮か動揺、He was wound up なら緊張やピリピリ、He was riled up なら怒り——と、選ぶ語によって相手の感情の中身が変わってきます。
シェルドンが使ったのは worked up でした。怒りでも緊張でもなく、エイミーの気持ちを「興奮させてしまう」という意味で使っているからこそ、あの照れ混じりの軽口として成立しています。
似た表現の色の違いを知っておくと、感情の描写がぐっと細やかになります。
まとめ|感情のメーターを動かす一言
get someone worked up は、落ち着いていた相手の気持ちを、興奮や動揺へと高ぶらせることを表す表現です。高ぶりの種類は文脈しだいで、はしゃぎにも、いらだちにも、わくわくにもなります。
相手を盛り上げてしまったときも、つい焦らせてしまったときも、この一言があれば「感情を高ぶらせた」という動きを的確に言い表せます。Don’t get worked up. と返せば、ヒートアップした相手をやわらかくなだめることもできる——使い道の広さが、この表現の便利なところと言えます。
気持ちの高ぶりを描く表現として、会話のレパートリーに加えてみてください。


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