海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
仲のいい相手につい軽口を叩いたり、ちょっといじって反応を楽しんだり。そんな「からかい」が仲間内のコミュニケーションになっている、という場面に心当たりはありませんか。
そんなときに使える「give someone a hard time」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン4第11話の中盤、ザックへの謝罪の場でレナードが「いじり合いは仲間の証だ」と弁明するシーンから、一緒に見ていきましょう。
「give someone a hard time」の意味とニュアンス
give someone a hard time
意味:(人を)からかう/きつく当たる/手こずらせる
文字どおりには「誰かに hard time(つらい時間)を与える」という形で、相手を困らせたり、責めたり、からかったりする様子を表します。give のあとに人が入り、そのうしろに a hard time が続く語順が基本です。
文脈によって表情が大きく変わるのが特徴です。仲間内なら「軽くいじる・冷やかす」という親しみのある意味になり、対立した相手になら「きつく当たる・なじる」という批判の意味になります。さらに「子どもが言うことを聞かなくて手こずらせる」のように、困らせる対象が人とは限らない使い方もあります。Don’t give me a hard time(あんまりいじめないでよ)のように、自分が受ける側として使うこともよくあります。トーンと相手との関係によって、温かいいじりにも厳しい非難にもなる、振れ幅の大きい表現です。
【ここがポイント!】
- 核は「相手につらい時間を与える=困らせる・からかう」イメージ
- 仲間内なら親しいいじり、対立相手なら厳しい非難に変わる
- トーンと関係性で温度が決まる、振れ幅の大きい表現
『ビッグバン★セオリー』S04E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
からかわれて気を悪くしたザックに、レナードは「あれは仲間同士のいじり合いなんだ」と弁明します。そして自分の主張を証明するように、その場でシェルドンをからかってみせるのです。言葉どおりに「いじり」を実演する流れが見どころです。
Leonard: that’s what we do. We give each other a hard time. Hey, Sheldon, you look like a praying mantis.
(俺たちはいつもこうなんだ。お互いにいじり合ってる。おいシェルドン、お前カマキリみたいだぞ)Sheldon: That’s very hurtful.
(それはすごく傷つくな)Leonard: See?
(な?)The Big Bang Theory Season4 Episode11(The Justice League Recombination)
シーン解説と心理考察
ここでの give each other a hard time は、まさに親しい仲間内の「いじり合い」を指しています。レナードはこの表現を、攻撃ではなく友情の証として持ち出しています。からかい合えるのは仲がいいからだ、という理屈で、ザックを和ませようとする意図が伝わってきます。
巧みなのは、説明だけで終わらせず、その場でシェルドンを「カマキリみたい」とからかって実演してみせるところです。すかさず「すごく傷つくな」と返すシェルドンと、「ほらね?」と勝ち誇るレナードのテンポが、いじり合いの軽さをそのまま見せています。直前にザックが「making fun of me(バカにしていた)」と非難したのと対照的に、レナードは同じ行為を「a hard time(いじり)」と言い換えている。同じからかいでも、呼び名一つで印象が変わる構図がにじむ場面です。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
相手に「ちょっと大変な時間」が詰まった小箱を手渡す場面を思い浮かべてみてください。give(与える)という動詞のとおり、困りごとやからかいを相手にぽんと差し出す。その手渡しの動きが「give someone a hard time」のイメージです。
大切なのは、渡す中身が「つらい時間」だという点です。深刻な箱なら非難、軽い箱ならいじり、と中身の重さで意味が変わります。レナードがシェルドンに手渡したのは、ごく軽いジョークの箱でした。give=手渡す動作で覚えると、「困らせる」も「からかう」も同じ一本の線でつかめます。
例文で覚える「give someone a hard time」
親しいいじりから厳しい非難まで、幅広く使える表現です。三つの場面で確かめてみましょう。
My coworkers always give me a hard time about my messy desk.
(同僚はいつも私の散らかった机のことでからかってくる)
仲間内のいじりの場面です。aboutで「何について」からかうのかを示し、親しみのある冷やかしのニュアンスが出ています。
The teacher gave him a hard time for skipping class again.
(先生はまたサボった彼をきつく叱った)
非難の場面です。同じ表現でも、立場と文脈によっては「厳しく当たる」という批判の意味に傾きます。
A: Sorry I’m ten minutes late!
B: Relax, I’m just giving you a hard time. We’ve got plenty of time.
(A:10分遅れてごめん!)
(B:落ち着いて、ちょっといじっただけだよ。時間はたっぷりある)
冗談だと明かす場面です。「just giving you a hard time」で、本気で責めているわけではないと伝えています。
あわせて覚えたい関連表現
have a hard time
(苦労する/つらい思いをする)
giveとhaveで主役が入れ替わる、対比して覚えたい表現です。giveは「人にきつく当たる」、haveは「自分が苦労する」と、苦労する側が逆になります。
tease
(からかう/冷やかす)
親しみを込めてからかう点でgive a hard timeのいじり寄りの意味と重なります。一語で済むぶん、より軽くカジュアルな響きを持ちます。
pick on
(いじめる/目の敵にする)
こちらは一方的に攻撃するニュアンスが強く、give a hard timeの厳しい側面に近い表現です。仲間内のいじりには使いにくい点が違います。
Note|give a hard time と have a hard time ―― 動詞一つで入れ替わる主役
「a hard time(つらい時間)」という同じ言葉を使いながら、頭に置く動詞が give か have かで、苦労する人がまるで入れ替わってしまう。この対比を知っておくと、二つの表現がすっきり整理できます。
give someone a hard time は、主語が誰かに「つらい時間」を与える側です。つまり、からかったり責めたりして相手を困らせるのは主語のほうで、苦労を受けるのは someone にあたる相手です。「My boss gives me a hard time(上司が私にきつく当たる)」なら、つらい思いをしているのは me です。一方 have a hard time は、主語自身が「つらい時間」を持っている、つまり苦労している側になります。「I had a hard time finding the place(その場所を見つけるのに苦労した)」では、困っているのは主語の I です。同じ a hard time でも、give なら苦労を渡す側、have なら受け取る側。動詞一つで主役が反転するのです。日本語に訳すと「いじめる」と「苦労する」でまったく別の表現に見えますが、英語では a hard time という同じ核を共有しているのが面白いところです。
レナードのセリフ give each other a hard time は、giveの形なので「お互いにいじり合う」という相互の意味になります。もしhaveを使えば、まったく別の「みんなで苦労する」という意味になってしまいます。
核となる名詞が同じでも、動詞が向きを決める。そう捉えると、英語の表現はぐっと見通しがよくなります。
まとめ|レナードのいじりから学ぶ、からかいの言葉
「give someone a hard time」は、相手に「つらい時間」を手渡すという発想から生まれた、振れ幅の大きい表現です。仲間内なら親しいいじり、対立相手なら厳しい非難と、トーンと関係性しだいで温度が変わります。
この表現が使えると、友達との軽い冷やかしから、誰かを困らせる状況まで、一つの型で柔軟に言い表せます。have a hard time との対比で覚えておけば、動詞の向きで意味が反転する英語の感覚も一緒に身につきます。
仲間との軽妙なやり取りを語るとき、表現の引き出しに加えてみてください。


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