「go all A on someone」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S12E16で学ぶ英会話

「go all A on someone」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

誰かの激しい振る舞いを、よく知られた人物にたとえて表現したくなったことはありませんか。

そんなときに使える「go all A on someone」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン12第16話の後半、D&Dのテーブルを囲むウィリアム・シャトナーの一言から、一緒に見ていきましょう。

目次

「go all A on someone」の意味とニュアンス

go all A on someone
意味:Aのように激しく振る舞う、Aばりの勢いで臨む

go all A on someoneは、go all(すっかりその状態になる)にA(何らかの人物・キャラクター)を挟み、on someone(誰かに対して)と続ける口語的な構文です。Aの部分に有名なキャラクターや作品名を入れることで、「そのAのように極端な態度・行動を取る」ことを表します。実際の会話では、AにはWrath of Khan(『スタートレックII カーンの逆襲』)のような固有名や、drill sergeant(鬼軍曹)のような役割を表す名詞が入り、go all X on someoneという型として機能します。

Aを差し替えるだけで、さまざまな人物像を借りた表現を自在に作れる柔軟さこそが、この構文の大きな特徴だと言えます。相手や場面が変わるたびに、Aの部分を入れ替えて使ってみることができます。決まった単語を暗記するタイプの表現とは違い、話し手の発想次第で無数のバリエーションが生まれる点も面白いところです。

【ここがポイント!】

  • 「go all A on someone」の核は、Aという人物像にすっかりなりきって振る舞うイメージ
  • Aの部分に有名なキャラクターや作品名を入れる、自由度の高い構文
  • 固有名詞をそのまま代入できるので、話し手のセンスが表れやすいのもコツ

『ビッグバン★セオリー』S12E16のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ウィル・ウィートンが電話を終えてD&Dのテーブルに戻ると、ウィリアム・シャトナーが自分の代表作を引き合いに出して戦況を語ります。ケヴィン・スミスの茶々に対するウィリアム・シャトナーの返しにも注目です。

Wheaton: Bye. Okay, where were we?
(じゃあね。さて、どこまで話したっけ?)

Shatner: I was about to go all Wrath of Khan on the ogres.
(オーガども相手に『カーンの逆襲』ばりに大暴れするところだったんだ。)

Smith: Oh, man, that’s it. Put another dollar in the Star Trek jar, Bill.
(ああ、もう、それだ。『スタートレック』貯金箱にまた1ドル入れてくれ、ビル。)

Shatner: Worth it.
(それだけの価値はあるさ。)

The Big Bang Theory Season12 Episode16 (The D&D Vortex)

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シーン解説と心理考察

ウィル・ウィートンは電話を切ると、「じゃあね。さて、どこまで話したっけ?」とすぐさまゲームのテーブルに向き直ります。ウィリアム・シャトナーが「オーガども相手に『カーンの逆襲』ばりに大暴れするところだったんだ」と続けるところに、自分の代表作を引き合いに出して戦況を語る、この場ならではの軽妙な自虐ネタが表れています。

ケヴィン・スミスが「それだ、また『スタートレック』貯金箱に1ドル入れてくれ」と茶化すと、ウィリアム・シャトナーは悪びれもせず「それだけの価値はある」と返します。スタートレック絡みの発言に1ドル、というお約束を逆手に取り、開き直って楽しむ様子からは、気を遣わずに軽口を叩き合える内輪の場ならではの空気感が伝わってきます。1ドルというお約束があってもなお同じネタを繰り返してしまうところに、自分の代表作への愛着の深さも同時ににじみ出ています。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

go all(すっかりその状態になる)のあとにAの部分を差し込み、on someone(誰かに対して)へとつなげる構造をそのままイメージすると、go all A on someoneの形が頭に入りやすくなります。

ウィリアム・シャトナーが自分の代表作『カーンの逆襲』を引き合いに出したように、Aの部分には話し手にとって馴染みのある人物やキャラクターを当てはめるのがコツです。ものまねをするような感覚で、場面に合わせてAを自由に入れ替えて使ってみましょう。相手が知らない人物名を選んでしまうと伝わらなくなってしまうため、聞き手と共有できる知識かどうかを一瞬確認する習慣をつけておくと、より自然に使いこなせるようになります。

例文で覚える「go all A on someone」

Aの部分に固有名や人物像を当てはめる使い方を中心に、3つの例文でgo all A on someoneを確認していきましょう。

He went all drill sergeant on the new interns during training.
(彼は研修中、新人インターンたちに鬼軍曹のように厳しく振る舞った。)
厳しい指導者について話すビジネスの場面です。drill sergeant(鬼軍曹)という具体的な人物像が、振る舞いの激しさをはっきりと伝えています。

Don’t go all Sherlock Holmes on me, I just misplaced my keys.
(シャーロック・ホームズみたいに詮索しないでよ、ただ鍵をどこかに置き忘れただけなんだから。)
相手が過剰に推理し始める日常会話の場面です。よく知られた探偵の名前を挟むことで、大げさな推理ぶりが伝わりやすくなっています。

A: Why is she yelling like that?
B: She went all mama bear on the coach who benched her son.
(A:どうして彼女、あんなに怒鳴っているの?)
(B:息子を控えにしたコーチに対して、母熊みたいに猛烈になったんだよ。)
誰かの激しい反応の理由を説明する会話です。mama bear(母熊)という比喩が、守ろうとする気迫の強さを印象づけています。

あわせて覚えたい関連表現

go off on someone
(誰かに対して激しく怒鳴る、まくし立てる)
go all A on someoneがAという人物像にたとえて振る舞いを表すのに対し、go off on someoneは単に激しく怒る様子を表し、たとえの要素は含まれません。

channel someone
((ある人物)を彷彿とさせる振る舞いをする、乗り移ったようになる)
go all A on someoneが口語的でくだけた表現であるのに対し、channel someoneはやや文学的・比喩的な響きを持つ表現です。

act like someone
((ある人物)のように振る舞う)
act like someoneは中立的で一般的な言い方ですが、go all A on someoneは極端さや勢いの強さを強調する、よりくだけた言い回しです。

Note|誰の名前でも当てはめられる、go all A on someoneという自由な型

go all A on someoneは、Aの部分に人物名や作品名を差し込むだけで、まったく違う意味合いの表現に早変わりする柔軟な構文です。

英語の口語表現には、こうした空欄に固有名詞を代入する型の言い回しがいくつも存在します。話し手と聞き手の両方がその人物像を知っていることが前提になるため、共通の話題や文化を共有している者同士でこそ成立する、いわば内輪向けの言い回しでもあります。この構文の面白いところは、Aに何を選ぶかによって表現のニュアンスが大きく変わる点です。鬼軍曹を選べば厳しさが、探偵を選べば詮索好きな様子が、母熊を選べば我が子を守る気迫が、それぞれ一瞬で伝わります。単語ひとつを差し替えるだけで印象をがらりと変えられる、応用範囲の広い型だと言えます。同じ構文でも選ぶAによって笑いにも、称賛にも、皮肉にも転じるという振れ幅の広さは、他の定型表現にはなかなか見られない特徴です。

今回のシーンでウィリアム・シャトナーが選んだAは、自分が主演したSF映画『カーンの逆襲』でした。他人の名前ではなく自分の代表作を持ち出すことで、自虐と自慢を同時に成立させる、絶妙な選び方になっています。D&Dというファンタジーの戦闘場面に、自分が演じたSF映画の主人公を重ね合わせるという発想自体、D&Dのテーブルならではの言葉選びだと言えます。

Aに何を選ぶかで印象が変わるからこそ、この構文は使うたびに新しい面白さを生み出せます。

まとめ|Aを自由に差し替えて振る舞いを描く一言

go all A on someoneは、Aの部分に人物やキャラクターを当てはめて、その人物のように激しく振る舞うことを表す表現です。

Aを差し替えるだけで印象を大きく変えられる、応用の利く構文としてさまざまな場面で使えます。

自分の代表作『カーンの逆襲』を引き合いに出しながら、悪びれずに「それだけの価値はある」と返すウィリアム・シャトナーの姿には、自虐と誇りが同居する、この場面ならではの軽妙さが表れていました。周りの茶々をそのまま笑いに変えてしまう返しが、この場の空気をよく表しています。

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