「in spades」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S06E19で学ぶ英会話

「in spades」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

「足りない」どころか「むしろ余っている」。才能でも自信でも困りごとでも、何かがこれでもかというほどたくさんある、そんな状態を一言で言いたくなることはありませんか。

そんなときに使える「in spades」が、たっぷり・有り余るほど、という意味で飛び出すシーンがあります。『ビッグバン★セオリー』シーズン6第19話、洗濯室で作業中のシェルドンに、ペニーとエイミーが意味深に詰め寄る場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「in spades」の意味とニュアンス

in spades
意味:たっぷり、有り余るほど、これでもかというほど

in spades は、何かの量や程度が「これ以上ないほど多い」ことを強調する口語表現です。have や got と結びついて「ふんだんに持っている」を表したり、名詞や形容詞のうしろに置いて「この上なく〜だ」と程度を強めたりします。

おもしろいのは、この表現が良いことにも悪いことにも使える点です。talent in spades(才能が有り余るほど)のように褒め言葉として使うこともあれば、problems in spades(問題が山ほど)のようにネガティブな名詞に付くこともあります。中身の善し悪しを問わず、ただ「量・程度が圧倒的に多い」ことだけを強める、日本語の「たっぷり」に近い感覚です。

a lot や plenty が中立的に「多い」を表すのに対し、in spades には「これでもかというほど」という勢いや誇張がこもります。会話で一段強く言いたいときに重宝する表現です。

【ここがポイント!】

  • トランプのスペードをひと組ごっそり抱えるイメージ、「有り余るほど」が核の一言
  • have / got と一緒に「ふんだんに持っている」、名詞や形容詞の後ろで「この上なく」とも使える
  • 良いことにも悪いことにも付く、中身ではなく「量の多さ」だけを強めるのがコツ

『ビッグバン★セオリー』S06E19のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ハワードの父からの手紙の中身を聞き出したいペニーとエイミーが、洗濯室にいるシェルドンを訪ねます。二人の思わせぶりな切り出し方を、シェルドンは一瞬とんでもない方向に勘違いし、得意げに応じます。

Amy: You have something we want.
(あなた、私たちが欲しいものを持ってるでしょ)

Penny: No, we just want information.
(違うの、ただ情報がほしいだけ)

Sheldon: Oh. Oh, I’ve got that in spades. Ravage me.
(なんだ。情報なら売るほど持ってるよ。さあ、好きにしてくれ)

The Big Bang Theory Season6 Episode19(The Closet Reconfiguration)

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シーン解説と心理考察

このやり取りには、シェルドンらしい誇張と芝居がかった物言いが表れています。情報が欲しいと言われた瞬間、彼は「I’ve got that in spades」と胸を張ります。「少しある」でも「持っている」でもなく、「有り余るほど持っている」と言い切るところに、自分の知識量への揺るぎない自負がにじみます。

in spades という強調表現は、このシェルドンの自慢げなトーンと見事にかみ合っています。ありふれた量ではなく、これでもかというほど、という誇張のニュアンスが、彼のキャラクターをくっきりと際立たせています。

続く「Ravage me(好きにしてくれ)」のおどけと合わせると、二人の切り出し方を勘違いしたまま得意になっている、そのズレが笑いを生む場面です。たった一言の強調表現が、シェルドンという人物の濃さをまるごと運んでいると言えます。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

in spades の spades は、トランプのスペードのこと。一枚二枚ではなく、スペードのカードをひと組まるごと、両手で抱えきれないほどごっそり持っているイメージを思い浮かべてみてください。その「抱えきれないほどの量」が、そのまま「有り余るほど」につながります。

シェルドンが「情報なら in spades 持っている」と胸を張ったとき、彼の頭の中には知識のカードが山と積まれている。あの自信満々の表情と、黒く尖ったスペードがびっしり詰まった絵を重ねておくと、「量がこれでもかと多い」という核が一発で定着します。

例文で覚える「in spades」

何かが「有り余るほどある」と強調したいとき、in spades は会話に勢いを添えてくれます。良い場面でも困った場面でも使える幅広さを、3つの例文で見ていきましょう。

She has talent in spades.
(彼女には才能が有り余るほどある)
だれかの能力を素直にほめるときの言い方です。名詞 + in spades という形で、「ちょっとある」どころではない、という強い肯定が伝わります。

This job comes with challenges in spades.
(この仕事には課題が山ほどついてくる)
大変な仕事を説明する場面のひとことです。challenges のようなネガティブな名詞にも付けられ、「問題が次から次へと」という重さを強調できます。

A: Is he confident about the presentation?
B: Confidence? He’s got that in spades.
(A:彼、プレゼンに自信あるのかな?)
(B:自信? そんなのあり余ってるよ。)
相手の問いを受けて「むしろ余っているくらいだ」と返す往復です。ときにちょっとした皮肉も込められる、口語ならではの軽快さがあります。

あわせて覚えたい関連表現

in abundance
(豊富に、ふんだんに)
中立的からややフォーマルまで使える表現です。in spades が口語的で勢いがあるのに対し、in abundance は落ち着いた文章にもなじむ点が異なります。

galore
(〜がいっぱい)
bargains galore(掘り出し物がいっぱい)のように、名詞の直後に置く語順が特徴です。in spades が程度の強調にも使えるのに対し、galore は名詞にぴたりと添える形に限られます。

to spare
(余るほど、有り余って)
「使い切れずに余る」という余剰のニュアンスを持ちます。in spades が「最初から大量にある」を表すのに対し、to spare は「足りるどころか余る」という結果に光を当てます。

Note|in spades はなぜ「スペード」なのか、カードゲームから生まれた強調表現

in spades の spades は、トランプのスペードを指すと考えられています。「たっぷり」を意味するのに、なぜ黒い尖ったマークが出てくるのでしょうか。

その背景には、ブリッジというカードゲームがあるとされます。ブリッジでは4つのスート(マークの組)に強さの序列があり、スペードが最も強いスートとして扱われます。最上位の札であるスペードを多く持っていることは、それだけ手札が強く有利であることを意味しました。ここから、「スペードでたっぷり」というイメージが「最上のものを有り余るほど」へと広がり、やがてカードゲームを離れて「量や程度がこれでもかというほど多い」を表す in spades という言い回しになったとされています。20世紀前半のアメリカ英語で広まった表現と説明されることが多く、now では日常会話でも気軽に使われています。spade(シャベル)の方ではなく、あくまでトランプのスペードが出発点というのが面白いところです。

シェルドンが「情報なら in spades 持っている」と言うとき、その裏には「最強の手札をごっそり握っている」という勝ち誇った感覚が透けて見えます。語源を知ると、彼の得意げな表情がいっそう腑に落ちます。

カードの強さが、言葉の強さに姿を変えた一例です。

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