海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
気になる相手や手に入れたいポジションに向けて、思いきって一歩踏み出してみたものの、あっさり空振りに終わってしまった——そんな経験は、恋愛でも仕事でも誰にでもあるものです。
そんな「狙いを定めて動く」場面にぴったりの「make a play for」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン10第24話の中盤、シェルドンに近づく女性研究者ラモーナの本心を探ろうと、ラージが自ら彼女を誘ってみるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「make a play for」の意味とニュアンス
make a play for
意味:〜を口説きにかかる、〜を手に入れようと動く
make a play for は、好きな相手にアプローチを仕掛けたり、欲しいものを得ようと戦略的に動いたりすることを表します。恋愛で「口説く」意味と、ビジネスや競争で「〜の獲得を狙う」意味の両方で自然に使われるのが特徴です。
この play は、スポーツやゲームで打つ「一手・作戦」を指すとされます。つまり make a play for は「〜に向けて勝負の一手を仕掛ける」というイメージです。ただ漠然と好意を持つのではなく、相手やポジションを射程に入れて、具体的なアクションを起こすところに重みがあります。恋愛の告白から企業の買収まで、対象の幅が広い表現です。
【ここがポイント!】
- play(ゲームの一手)を for(〜に向けて)仕掛ける、というイメージの表現
- 恋愛でも、ビジネスでの獲得競争でも使える守備範囲の広さが魅力
- 「狙いを定めて具体的に動く」ニュアンスなので、ただの好意とは一線を画すのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S10E24のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
シェルドンに親しげに近づく女性研究者ラモーナ。彼女が本当にシェルドンを狙っているのか確かめるため、ラージが「自分が誘ってみる」と買って出ます。そして、その結果を仲間に報告するのがこのシーンです。
Leonard: Yeah, she’s definitely going after Sheldon.
(ああ、彼女は完全にシェルドンを狙ってるよ。)Raj: I made a play for her and she shot me down.
(僕が口説いてみたんだけど、振られちゃったよ。)Bernadette: Yeah, there’s a million reasons a woman would shoot Raj down.
(そうね、女性がラージを振る理由なんて100万個はあるもの。)The Big Bang Theory Season10 Episode24(The Long Distance Dissipation)
シーン解説と心理考察
ラージの空回りと、仲間たちの容赦のなさが会話の温度を変えています。ラモーナの本心を探るという「作戦」のつもりで彼女に声をかけたラージですが、結果はあっさり撃沈。その事実を「彼女はシェルドン一筋だから」という証拠として持ち出すあたりに、振られたショックを少しでも前向きに処理したい心理がにじみます。
さらに追い打ちをかけるのが、バーナデットの「ラージを振る理由なんて100万個ある」という軽口です。冗談と分かっていても本気で傷つくラージの自己肯定感の低さが、コミカルに表れています。made a play for という「勝負を仕掛けた」感のある表現を使うほど、その後の shot me down(振られた)との落差が際立つ場面と言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
野球やアメフトで、選手が狙いを定めて一手を繰り出す——そんな「プレー(play)」を、相手に向けて(for)放つ動作をイメージしてみてください。make a play for は、その一手を恋愛や競争の相手に対して仕掛けることです。
ラージが「自分のプレーを仕掛けた(が空振りに終わった)」場面を思い浮かべると、このフレーズの「狙って動く」感覚が掴みやすくなります。漠然と好意を抱くのではなく、グラウンドで作戦を実行するように一歩踏み出す。その能動的な動きとセットで覚えておくと、いざというときに口から出てきます。
例文で覚える「make a play for」
恋愛のアプローチからビジネスの獲得競争まで、make a play for は対象を選びません。3つの例文で、その振れ幅を体感してみましょう。
He made a play for her at the party, but she wasn’t interested.
(彼はパーティーで彼女を口説いたけど、相手はその気がなかった。)
恋愛のアプローチとその結果を語る、劇中とよく似たカジュアルな場面です。「狙って動いたが届かなかった」という流れが、このフレーズの典型的な使われ方を示しています。
The company is making a play for the European market.
(その会社はヨーロッパ市場の獲得に動いている。)
ビジネス戦略を説明するフォーマルな一文です。恋愛以外でも「〜を手に入れようと本気で動く」という意味で自然に使えることが分かります。
A: If you like her, you should make a play for her before someone else does.
B: You’re right. I’ve been hesitating for too long.
(A:彼女が好きなら、誰かに先を越される前にアプローチした方がいいよ。)
(B:そうだよね。ずっと迷いすぎてた。)
友人の背中を押す場面です。before someone else does(誰かに先を越される前に)と組み合わせると、行動を促す自然な助言になります。
あわせて覚えたい関連表現
hit on someone
(〜を口説く、ナンパする)
その場での軽い口説きやナンパを指す、くだけた表現です。make a play for が「狙いを定めた戦略的な一手」なのに対し、hit on はもっと衝動的でカジュアルな点が違います。
go after someone
(〜を追いかける、狙う)
恋愛にも目標にも使え、粘り強く追い求める継続性を強調します。劇中でもレナードが going after、ラージが made a play for と使い分けており、go after が「追跡」、make a play for が「ひと仕掛け」という違いが見えます。
make a move on someone
(〜にモーションをかける)
ほぼ恋愛専用で、具体的な誘いの行動を指します。make a play for よりも恋愛色が濃く、ビジネスでの「獲得を狙う」用法はほとんどない点が異なります。
Note|hit on / go after / make a play for、アプローチの温度差
同じ「相手を狙う」でも、英語にはいくつもの言い方があり、それぞれ温度感が微妙に違います。劇中でこの回は、go after と make a play for が同じ会話の中で使い分けられていて、その差を観察するのに格好の題材になっています。
まず hit on someone は、バーやパーティーでその場の勢いで声をかける、もっとも軽くてカジュアルな口説きです。次に go after someone は、相手を諦めずに追い求める継続的な姿勢を表し、恋愛だけでなく「目標を追う」場面にも広く使えます。そして make a play for someone は、スポーツの一手のように「狙いを定めて勝負を仕掛ける」戦略的なニュアンスを帯びます。劇中ではレナードがラモーナの行動を she’s going after Sheldon(彼女はシェルドンを狙い続けている)と継続的に描写する一方、ラージは自分の行動を I made a play for her(僕は一手を仕掛けた)と、一回限りのアクションとして語ります。同じ「狙う」でも、追い続けるのか、一手を打つのかで、選ぶ動詞が変わるわけです。
このグラデーションを知っておくと、make a play for が持つ「計算された一歩」という色合いが、より鮮明に感じられます。ラージの一手が一回きりで終わったことも、この動詞選びとよく噛み合っています。
どの表現を選ぶかで、アプローチの本気度や粘り強さまで伝わるのが面白いところです。
まとめ|ラージの一手から学ぶ「狙って動く」表現
make a play for は、好きな相手やほしいものに向けて、狙いを定めて具体的な一手を仕掛ける「口説きにかかる・獲得を狙う」という表現です。漠然とした好意ではなく、行動を起こすところにこのフレーズの核があります。
恋愛の告白でも、仕事でのポジション争いでも、「ここぞ」という場面で一歩踏み出す感覚を、この一言は的確に言い表してくれます。go after や hit on との違いを押さえておけば、自分の動きの本気度まで言葉にできます。
迷っている誰かの背中を押すときにも使える、行動を後押しする一言です。


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