海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
友だち同士で誰かのちょっとした失敗や口ぐせをネタにして、わいわい笑い合った経験はありませんか。からかいには、親しみのこもった軽いものから、相手を傷つける刺のあるものまで、いろいろな温度があります。
今回は、そんな「からかう」を表す「make fun of」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン2第17話の冒頭、レナードがシェルドンをApple store行きに誘う場面から、一緒に見ていきましょう。
「make fun of」の意味とニュアンス
make fun of
意味:〜をからかう、〜をばかにする、笑いものにする
make fun of は、ある人や物を笑いのネタにする、からかいの対象にする、という意味の表現です。fun(楽しみ)を of 以下の相手から「作り出す」という組み立てで、対象をいじって面白がる構図が見えてきます。
温度感には幅があります。仲のいい相手を軽くいじる親しみのこもったからかいから、相手を見下して嘲るような刺のあるものまで、文脈と話し手のトーンで意味合いが変わります。誰を、どんな調子でからかっているのかを読み取ることが、このフレーズを正しく理解するポイントになります。日本語の「からかう」「ばかにする」「いじる」のどれに近いかは、その場の空気しだいで決まる、というわけです。
【ここがポイント!】
- 「fun を相手から作り出す」=笑いのネタにする、が核となるイメージ
- 軽い親しみから刺のある嘲りまで、温度に幅のある表現
- 誰をどんな調子でからかっているか、前後の文脈で読み取るのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S02E17のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
旅行の荷造りに没頭するシェルドンの部屋に、レナードが顔を出します。みんなで出かけようと誘うのですが、その行き先がいかにもこのグループらしい場所でした。からかいの対象が誰なのか、セリフの中にはっきり出てきます。
Leonard: Hey, we’re all going over to the Apple store to make fun of the guys at the Genius Bar. You want to come?
(やあ、これからみんなでApple storeに行って、Genius Barの店員をからかうんだ。来る?)Sheldon: Oh, I always enjoy that, but I’m a little busy.
(ああ、それはいつも楽しんでるけど、今ちょっと忙しくてね。)The Big Bang Theory Season2 Episode17 (The Terminator Decoupling)
シーン解説と心理考察
理系オタクの彼らにとって、Apple storeのGenius Barに集う店員をからかうことは、ちょっとした娯楽になっています。専門知識で他人をやり込めることへの自負が、この何気ない誘いの一言ににじむ場面です。make fun of という表現が、悪意というより仲間内のいつもの遊びとして使われているのが伝わってきます。
それを断るシェルドンの理由が、RFIDタグを服に取りつけて荷造りを「効率化」するという作業だというのが、このグループらしさを一段と際立たせています。からかう側も、それを断る理由も、どちらも常人の感覚から少しずれている。その温度差が、make fun of の軽さと相まって会話の温度を決めています。誰かをからかう余裕すら、彼らにとっては日常の一部として描かれていると言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
make fun of は、誰かを輪の中央に置いて、その人を指さしながらみんなで笑っている場面を思い浮かべると覚えやすい表現です。fun という楽しみのかたまりを、of の先にいる相手から引っぱり出しているイメージです。
このシーンのように、からかう対象(the guys at the Genius Bar)が of のうしろにすっと置かれる形を、絵としてつかんでおくと、いざ使うときに語順で迷いません。指さす先に相手がいる、その身ぶりごと覚えておくのがおすすめです。
例文で覚える「make fun of」
make fun of は日常のやわらかい場面でよく登場します。温度の違いがわかる3つの例文で、使い方の幅を見てみましょう。
Stop making fun of my accent.
(私のなまりをからかうのはやめて。)
からかいが相手を傷つけている場面です。やめてほしいと伝えるときの、はっきりした一言として使えます。
They made fun of him for crying during the movie.
(映画で泣いたことで、彼はからかわれた。)
make fun of A for B で「BのことでAをからかう」という形です。何をネタにされたのかを for のうしろで示せます。
A: Are you laughing at me?
B: No, I’m not making fun of you. I just think it’s cute.
(A:私のこと笑ってる?)
(B:いや、ばかにしてるんじゃないよ。ただ、かわいいなと思っただけ。)
からかいではないと弁解する会話です。make fun of に「悪意のあるからかい」のニュアンスがあるからこそ、それを否定する返しが生きてきます。
あわせて覚えたい関連表現
poke fun at
(〜をからかう、ちゃかす)
make fun of とほぼ同じ意味ですが、poke fun at のほうがやや軽く、ユーモラスな響きがあります。深刻な嘲りよりも、軽妙にいじるニュアンスで使われます。
laugh at
(〜を笑う、笑いものにする)
相手を笑う、という直接的な表現です。make fun of が「ネタにして面白がる」一連の行為を指すのに対し、laugh at は笑うという反応そのものに焦点があります。
pull someone’s leg
(〜をかつぐ、からかって冗談を言う)
冗談で相手をだましてからかう表現です。悪意は薄く、make fun of よりも「いたずらっぽい冗談」に寄った言い回しです。
Note|tease・mock・ridicule、からかいの強さの段階
「からかう」と一口に言っても、英語には強さの違う表現がいくつもあります。make fun of はそのちょうど真ん中あたりに位置しています。
弱いほうから見ていくと、まず tease は「軽くいじる、じらす」で、親しい相手への愛情のこもったからかいによく使われます。次に make fun of は「笑いのネタにする」で、文脈しだいで親しみにも刺にもなる中間の表現です。さらに強いのが mock で、相手の口ぶりや仕草をまねて「あざ笑う」という侮蔑の色がはっきり出ます。最も強いのが ridicule で、公然と、しばしば大勢の前で相手を「嘲笑する」という、刺の強い語です。tease が肩をつつくくらいの軽さだとすれば、ridicule は壇上で名指しするような重さがある、と段階で並べてみると違いがつかめます。
この階段の中で、make fun of はどちらの方向にも転びうる柔軟な位置にいます。だからこそ、このシーンのように仲間内の娯楽として軽く使うこともできれば、相手を傷つける場面でも使えるわけです。
どの段に立つ言葉なのかを意識すると、からかいの英語はぐっと選びやすくなります。
まとめ|オタクたちの娯楽から学ぶ「からかう」
make fun of は、誰かを笑いのネタにする、からかいの対象にするという表現です。fun を相手から引き出すという組み立てを押さえておけば、語順にも迷いません。
親しい相手を軽くいじるときにも、相手を強く非難するときにも使える、温度の幅が広い言い回しです。tease や mock といった仲間の語と並べて段階で覚えておくと、その場にふさわしい強さの「からかう」を選べるようになります。
Genius Barの店員いじりを娯楽にするオタクたちの一場面から、からかいの温度を測る感覚を、表現の引き出しに加えてみてください。


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